日記

2023-10-01 19:59:00

コーヒーの効能

◆コーヒーは薬なのか
コーヒーは発見された当時から薬として利用されてきました。胃の薬、頭痛の薬、心臓の薬などなど。中には全く効用の無かったものもあったでしょうが、その殆どは現代でも再認識されています。最近、様々なメディアでも取り上げられましたが、コーヒーには実に多くの効用(効能)があります。カフェイン、カフェー酸、クロロゲン酸、タンニン、ポリフェノール、褐色色素、ニコチン酸(ナイアシン)、トリゴネリンなどの薬理作用のある成分が含まれていますが、その中でもっとも良く知られていながら、誤解も多いのがカフェインでしょう。

 

◆コーヒーの効用 (効能)
カフェインは植物界に広く存在するアルカロイド(含窒素塩基性物質)の一種でコーヒー豆の他にお茶の葉やカカオの種子などに含まれています。※実際にはメチルキサンチン類と呼ばれるカフェイン様物質を総称してカフェインと言っています。

お茶にはテアニン、カカオにはテオブロミンがそれぞれ含まれ、薬理作用は似ていますが効果に強弱があります。以前「カフェインには発ガン性がある」とささやかれたこともありましたが、様々な研究の結果、現在では「カフェインには発ガン性や変異原性はない」という認識で落ち着いているようです。なにかと話題の多いカフェインですが、薬理作用としては以下のものがあります。
・平滑筋を弛緩させることによって気管支喘息や狭心症の改善に作用する(効果は弱いです)
・大脳皮質に作用して精神機能、知覚機能を刺激する結果、眠気や疲労感を取り除き、思考力や集中力を増す
・中枢神経に作用し、呼吸機能や運動機能を高める
・心臓の収縮力を高めることによる強心作用(低血圧を一時的に改善)
・腎臓に作用して利尿効果を促進する
・胃液分泌を促進し、消化を助ける
・アセトアルデヒド(二日酔いの原因)の排泄を促進する。(二日酔いの頭痛に効果)
・脳内の血流を良くすることによって、脳血管性の偏頭痛を静める
・ボケやパーキンソン病の予防効果
・ポリフェノールなどが活性酸素を除去し、過酸化脂質の発生を抑えることにより、肝臓ガンや消化器官のガンなどを予防する
・飲酒による肝臓の負担を軽減する。(カフェインの作用とは別に)
・ニコチン酸(ビタミンB群に属する必須栄養素)が血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化を予防する
・皮下脂肪の分解を促進し血液中の脂肪酸を増加させる。結果、持久力が増す。(ダイエット効果あり!?)
・コーヒーに含まれるフラン類がニンニクやニラ等の臭いの元を消すことによる口臭予防
などがあります。

更に興味深いのは"アロマ"と呼ばれるコーヒーの香りの成分で、DNAの酸化や心臓の老化を妨げる抗酸化作用のある物質が300種以上含まれていると言われています。その効果は1杯のコーヒーでオレンジ3個分と言われるそうですが、残念なことに淹れたてのコーヒーの香りだけで、5分もするとその効果が無くなってしまうそうです。
コーヒーは肉体的にも精神的にも効用のある飲み物です。集中力と持久力を増すため、一流のスポーツ選手(マラソンやサッカー、プロ野球の投手など)の中には、二時間ほど前にコーヒーを飲んで競技や試合に望む方もいると聞きます。

 

○糖尿病を予防する
コーヒーを1日3~4杯飲んでいる人とコーヒーを飲んでいない人とでは、糖尿病にかかる人や血糖値が上昇する人の割合に差が出たという実験があります。実験の結果では、コーヒーを1日に3~4杯飲んでいる人は飲んでいない人に比べて、糖尿病になったり、血糖値が高い状態のままの人が少ないことがわかりました。このことから、コーヒーを1日3~4杯飲むことで、糖尿病の発症リスクを下げる効果が期待できると言われていますが、そのメカニズムはいまだ解明は出来ていないそうです。しかし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値の調整に一役かっているのではないかと言われています。


○アルツハイマー型認知症や、パーキンソン病などのリスクを下げる
アルツハイマー型認知症とは、脳神経系が徐々に侵され、脳が委縮し記憶障害などをもたらす病気です。また、パーキンソン病も、脳神経系の細胞が侵されることによって発症します。コーヒーに含まれるカフェインには、解熱鎮痛作用があり、炎症を抑える効果が期待出来ると言われています。この炎症を抑えるはたらきが、アルツハイマー型認知症とパーキンソン病を予防すると言われています。
コーヒーを1日に3~5杯飲むと、アルツハイマー型認知症の発症リスクが70%も下がるという実験結果があります。同様に、コーヒーを毎日飲んでいる人は、飲んでいない人に比べてパーキンソン病の発症リスクが低いという実験データも出ているようです。
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸(ポリフェノール)の抗酸化作用により、脳の細胞の老化を防いでくれており、これもまた予防効果があるとされています。これらの疾患は、同じカフェインが含まれているお茶よりも、コーヒーの方が予防効果は高いという実験結果もあるそうです。


○がんを予防の効果が期待できる
コーヒーを毎日飲む人は、飲まない人に比べて、肝臓がんになるリスクが半分になるという報告があります。そして、毎日5杯以上飲んでいる人は、さらにリスクが低下するという結果も上がっています。詳しい因果関係は、まだ解明できていませんが、おそらくコーヒーに含まれるクロロゲン酸が関与しているのでは?と言われています。
加えて、コーヒーを1日に3杯以上飲む女性は、子宮体がんのリスクが飲まない人に比べて6割も低下するという大規模な疫学調査の結果があります。子宮体がんは、エストロゲンやインスリンなどのホルモンが関与していると言われており、コーヒーを飲むことでそれらのホルモン濃度が低下するためと言われています。さらに、コーヒーを1日5杯以上飲む女性は、乳がんの発症リスクも下がるそうです。


○隠れ脳出血や脳卒中のリスクを下げる
自覚症状がないまま起こる「微小脳出血」を、隠れ脳出血と言います。コーヒーを飲む男性は、この微小脳出血の発症リスクが少ないという報告があります。この、脳出血ですが、高齢者、血圧が高い人、そして男性に起こりやすいと言われています。症状がないならいいのではと思いがちですが、この微小脳出血を繰り返し起こしていると、将来的に脳卒中になりやすいようです。症状がなくても怖いものです。
コーヒーを1日1杯飲むことで、脳卒中や隠れ脳出血を予防する効果が期待できると言われていますがその明確な理由はまだ解明されていません。おそらく、コーヒーに含まれる、クロロゲン酸が糖尿病を予防することで脳卒中を予防してくれるのではないか、またコーヒーを飲むことでほっとしたリラックスタイムが出来るので、ストレスの軽減に繋がっていてそれが脳卒中の予防になっているのではと言われています。


○コーヒーの美容効果
ダイエットをしても、なかなか効果がない。そんな時は、コーヒーのパワーを借りてみるのもお勧めです。コーヒーに含まれるカフェイン、先ほど脂肪燃焼に効果が期待できると書きました。そのカフェイン、運動の30分前に摂取すると、効率的に脂肪を燃焼させてくれると言われています。カフェインを摂取することで、血中の脂肪酸濃度が上がり、脂肪を燃焼しやすくしてくれるのです。ダイエットに運動やウォーキングを取り入れている人には、ぜひとも試していただきたい。


○美白美肌になるのを助けてくれる
コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、老化を促進させる「活性酵素」のはたらきを除去するはたらきがあります。活性酵素は、シミ・シワ・たるみなどの原因となる物質です。また、クロロゲン酸の殺菌作用により、睡眠不足やストレスからくるニキビや肌荒れを抑える効果も期待できると言われています。


○シミを予防してくれる。
年齢とともに、気になってくるのがシミ。日焼けには十分気をつけてきたはずなのに、気づいたらこんなところにも、あんなところにもシミが出来ていたなんてことありませんか。そんな女性の強敵、シミがコーヒーを飲むだけで予防できそうなのです。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールが(抗酸化物質)のはたらきによって、シミの原因となるメラニンの生成がおよそ3割も抑えられると言われています。1日2杯以上のコーヒーを飲むことで、シミを予防する効果があると言われていますので、シミが気になるお年頃の皆さん、1日2杯はコーヒーを飲む習慣をつけましょう。


○リラックス効果が期待できる
コーヒーの香りを嗅ぐと、脳にα波が発生するという実験報告があります。そのα波がストレス軽減に効果があると言われています。コーヒーの香りの効果はもちろんですが、コーヒーを飲んでほっと一息をつく、そんなリラックスできる至福の時間もストレス社会を生きる現代人には必要です。
そして、なんとこのコーヒー、うつ病の発症リスクまでも下げてくれると言われていますので、コーヒーのリラックス効果は絶大なようです。


○デトックス効果が期待できる
コーヒーに含まれるカフェインの利尿作用により、デトックス効果が期待出来ます。身体の中にたまった老廃物を体外に出してくれるので、デトックス目的で飲むのも有りです。


◆淹れ方による効能の有る無し
寝起きのコーヒーの効果は、期待できないと言われています。寝起きの午前8時から午前9時のあいだは、覚醒ホルモンと呼ばれるホルモンがピークに体内で分泌されているからです。この時間に、カフェインを摂取しても効果はなく、ただカフェインによる耐性が作られるだけとのことです。
では、いつ飲むのが効果的か、午前9時半から午前11時半の間と言われています。この時間にコーヒーを飲むことで、カフェインによる効果が得られやすいとの報告があります
インスタントコーヒーでも、コーヒーによる効果を得ることは出来ると言われていますが、深煎りや浅煎りなど煎り方を選ぶためには、ドリップコーヒーがおすすめです。カフェインやクロロゲン酸は、熱に弱いので煎れば煎るほど減るので、ダイエット目的には浅煎りがおすすめということになります。
また、コーヒーには、ジテルペン類と呼ばれる血中コレステロールや中性脂肪を上昇させる物質が含まれています。これをドリップすることで、ペーパーフィルターで除去することが出来ます。コーヒーを作る際、お湯の温度は80℃前後が良いと言われています。80℃より高い温度だと、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が壊れてしまい、クロロゲン酸による効果が失われてしまいます。

 

◆コーヒーの害 
色々と効用のあるコーヒーですが、では全く害はないかというと残念ながらそうではありません。基本的にコーヒーは胃にやさしい飲み物で、ドイツでは開腹手術をした患者さんが術後最初に口に入れる飲み物としてコーヒーを勧める病院もあるようです。


○消化性胃潰瘍
健胃効果のあるコーヒーですが、胃液分泌を促進するため消化性胃潰瘍を助長する働きもあります。このような方やコーヒーを飲んで胃が痛くなる方はコーヒーを控えてください。


○貧血
コーヒーに含まれるタンニンなどの成分は鉄イオンと結びついて難溶性の物質に変わります。このため、鉄分の吸収を阻害してしまうことがありますので、貧血気味の方は食後30分はコーヒーを飲まないようにした方が良いでしょう。(良質なコーヒー豆を使用して適切に淹れたコーヒーならばこの影響は少ないはずです。)


○胎児への影響
コーヒーに含まれるカフェインが、胎児に影響を与えると言われています。お母さんと胎児をつなぐ胎盤の血流量が低下したり、大量のカフェインが胎児の体内に流れると胎児はそのカフェインを処理できないので、落ち着きがなくなったり、身体に負担がかかり早産や流産にもなりかねませんので飲みすぎは気をつけましょう。妊娠中でも、カフェインの摂取は1日300ミリグラムまでは、胎児に影響がないことがわかっていますので、1日2杯程度におさめておきたいものです。

 

○発ガン性
昔からコーヒーとガンの発生について色々取りざたされてきましたが、実際のところはどうなのでしょうか。厳密に言えば、コーヒーの成分の中には発ガン性の疑いのあるものが少なからず含まれています。2002年末現在話題になったものではアクリルアミドという物質がその代表です。
アクリルアミドはアミノ酸の一つであるアスパラギンとブドウ糖が高温で反応することで生成され、加熱調理した食品の多くに含まれています。ごはんやパンにも含まれますが、最も濃度が高いのはポテトチップスです。国立医薬品食品衛生研究所によると467~3,544μg/kg含まれているそうです。コーヒー(液体)に関しては詳しい数値がちょっと分からないのですが、ごく微量含まれているようです。
国際ガン研究機関(IARC)による発ガン性分類によると、アクリルアミドはディーゼルエンジンの排気ガス等と同類の『2A(人に対しておそらく発ガン性がある)』にランクされています。なお、コーヒーは『2B(人に対して発ガン性を示す可能性がある)』に、カフェインは『3(人に対する発ガン性については分類できない)』にランクされます。
他にもコーヒーに含まれる成分にはカフェー酸と呼ばれるものがあります。この物質は先程の分類によると「グループ2B(人に対して発ガン性を示す可能性がある)」にランクされています。ところが、このカフェー酸は抗酸化作用をもつことから、活性酸素を除去するような働きもあります。メリットもあればデメリットもあるということですが、実際にはコーヒーに含まれているカフェー酸の量で発ガン性を示すことはまずありえないようです。
ただ、気をつけなくてはならないのは、『発ガン性の疑いのある物質が含まれている=発ガンする』ことではないということです。上記の分類も絶対ではありません。どちらかと言えば物質の種類よりも含まれる量や摂取の仕方の方が問題となります。
アクリルアミドに関しては人間は何世紀も前から摂取してきているわけで、今更取り立てて騒ぐものではありません。そもそも人間の体の中では毎日がん細胞が生まれています。
このあたりは勘違いというか思い込みをなさっている方が結構おられるのですが、『100%安全』という食べ物や飲み物(更に言えば物質)は存在しません。どんなに安全だと謳われている食べ物でも、摂り過ぎれば健康に害を及ぼします。要は程度の問題です。これはコーヒーについても同様で、100%安全ではないけれども、必要十分な程には安全である、と言えます。

 


○口臭
ニンニクなどの食べ物に起因する口臭予防効果があるコーヒーですが、逆に口臭の原因になることもあります。コーヒーの成分が舌の表面に付着したまま口腔内のpHが下がると特有の口臭を発するようです。
コーヒーに限らずお茶などは多量に摂取するとその渋みの元(クロロゲン酸、タンニン)が唾液分泌を抑制し、口腔内が乾くことによってpHも同時に下がります。それによって口臭の成分が生成されるようですが、その特定の成分が何であるか私には分かりません。コーヒーに限って言えば恐らくフミン酸(腐植酸)が主な原因であるように思えますが確証はありません。
コーヒーを飲んで口臭が発生しやすい状況としては起床直後や空腹時など、元々唾液分泌が少ない状態などが挙げられます。食中食後であれば唾液分泌も盛んで口腔内のpHも安定しており、コーヒーに起因する口臭は殆ど起こりません(逆に食物由来の口臭を防ぐことが出来ます)また、淹れたてのコーヒーより長時間保温したコーヒーの方が口臭を起こしやすいようです。
コーヒーやお茶に起因する口臭を防ぐには、飲んだ後、舌を動かすなど唾液分泌を促して口腔内のpHを上げるか、水を含み舌を口蓋にこすりつけるようにして残渣を洗い流すようにすれば良いと思います。

 

コーヒーは嗜好品であるため「コーヒー中毒」という言葉がありますが、タバコやアルコールのような中毒性や依存性はありません。ただし、度を過ぎて飲むのは良いことではありませ。コーヒーは基本的に体にやさしい飲み物なのです。

2023-10-01 10:19:00

コーヒーの栄養価 炭酸ガス

◆コーヒーの栄養価
コーヒー(液体)の約99%は水分です。たんぱく質や脂質なども含まれていますが極わずかで、コーヒーから栄養を摂ることはまず出来ません。もちろんブラックコーヒーならカロリーも殆どありませんから、栄養を摂取できない反面、カロリーを気にすることもありません。

 

■炭酸ガス
コーヒー豆を焙煎すると、加熱による化学反応で炭酸ガス(二酸化炭素ガス)が発生します。この炭酸ガス(二酸化炭素ガス)は、コーヒー豆の脂質中に溶解したり、焙煎によって発生したコーヒー豆内部の細孔の表面に吸着されたり、細孔内の隙間に潜んでいたりと、焙煎したコーヒー豆の内部に存在しています。そして、この焙煎コーヒー豆内の炭酸ガス(二酸化炭素ガス)は、時間の経過とともに外部に放出されて行きます。コーヒー豆を焙煎することで発生する二酸化炭素ですが、深煎りの焙煎コーヒー豆だと、1kgにつき約10リットル発生していると考えられています。
この焙煎コーヒー豆に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)は、時間(or日数)の経過とともに焙煎コーヒー豆から放出されます。
最初の24時間はものすごく素早く、それから1週間くらいは素早く、それ以後の数週間は徐々に、焙煎コーヒー豆から放出されます。焙煎コーヒー豆から二酸化炭素(炭酸ガス)が放出される期間を、脱ガス期間と呼んでいます。二酸化炭素(炭酸ガス)は、焙煎コーヒー豆を酸化から守っています。二酸化炭素(炭酸ガス)が焙煎コーヒー豆から放出されて、焙煎コーヒー豆に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)の量が少なくなるに従って、最初の頃は焙煎コーヒー豆の熟成が進行して、一定の期間が経過すると劣化が開始されるようです。

珈琲の粉に湯を注ぐと、ぷくぷくと泡が出て、全体がふっくらと膨らみますが、泡がたくさん出たり、大きく膨らんだり、時には凹んだり様々です。この泡の正体って何だかわかりますか、泡の中身=焙煎豆の中に閉じ込められていた二酸化炭素なんです。抽出する際に生じる泡は、良く見るときめ細かい泡、大きな泡、ほとんど泡なしなど、いろんな種類の泡が出ています。これは、泡の中身である二酸化炭素の出方の違いなのです。焙煎したばかりの豆は、大量の二酸化炭素を含みます。よって、その豆で抽出すると大きな泡が出ます。この場合、二酸化炭素がお湯と粉の接触を妨げ、いつもより薄めの珈琲が抽出されることが多いんです。よって、焙煎したての「一番新鮮な豆=一番美味しい状態」ではないことが多いといえます。では、一番おいしい状態はいつなのでしょうか。一般的に、焙煎したての豆を一晩おくことで、適度に二酸化炭素が抜けて最良の状態と言われてます。逆に、焙煎してからかなり時間が経過した豆で抽出すると、泡の出が悪く、粉がふくらまずに凹みます。これは二酸化炭素が少ないときに起こる現象なんです。つまり、二酸化炭素が適度に含まれた状態で抽出すると美味しい珈琲が抽出できるといえことです。それは粉の中心部分がふっくらと膨らむ状態です。

 

2023-09-30 18:32:00

3.コーヒーの成分と効能

3.コーヒーの成分と効能
◆浸出液100g中の成分
・カロリー 4kcal
・水分 98.6g
・炭水化物 0.7g
・たんぱく質 0.2g
・脂質 Tr:微量
・灰分(カイブン) 0.2g ・・・食品を燃やした後に残る成分、栄養学では下記ミネラル成分のこと                                                                                                                                                                                                                                     ( )内は一日必要量
・カリウム 65mg    脳および神経などにおけるニューロンの情報伝達(2500mg)
・リン 7mg       遺伝情報、細胞膜、生体エネルギー代謝、骨質(1000mg)
・カルシウム 2mg      骨質、筋肉収縮(650mg)
・ナトリウム 1mg   体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持 (600mg)
・ナイアシン 0.8mg   代謝、エネルギー産生 (14mg)
・ビタミンB2 0.01mg  発育のビタミン(1.5mg)
・鉄 Tr:微量      ヘモグロビンとして酸素運搬、赤血球となる (6.5mg)

 

○カフェイン
上記の主な成分のほか、コーヒーの代表的な成分として「カフェイン」が挙げられます。この成分はコーヒーだけではなく、お茶や紅茶、ココアといった他の飲み物にも含まれています。カフェインは、植物に含まれる天然成分です。苦味が特徴と言われることから、コーヒーが苦いと感じるのはカフェインによるものと思われます。 カフェインの含有量は、コーヒー豆の焙煎の度合いによっても異なりますが、一般家庭でよく飲まれているミディアムローストのコーヒー1杯分(120ml)には、約69mgのカフェインが含まれていると考えられています。コーヒーに含まれる特徴的な成分としてお馴染みのカフェインは、昔は薬として使われていました。現在も一般の頭痛薬や風邪薬などに配合されています。 カフェインの摂取は、受験生やデスクワークの多い人、スポーツ好きの人などにお勧めです。毎日の立ち仕事が辛い人や、朝起きるのが辛い人もコーヒーを飲むといいでしょう。豊かな香りに包まれて、ゆったりとした気分に浸ることができます。カフェインの摂取量は、コーヒーを1日2~3杯を目安にお飲みください。

欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)は、健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量について、成人では1日400mg未満に抑え、1回の摂取量が200mgを超えないようにするべきとする提言を発表しました。 通常のコーヒーであれば、1日のカフェインの摂取量は4~5杯までが適当な量だということです。

カフェインは、アルカロイドと呼ばれる化合物の仲間です。覚醒作用や解熱鎮痛作用があります。カフェインは、中枢神経系に作用し、交感神経を刺激します。交感神経が刺激されると、エネルギーを消費しようと身体が反応します。また脂肪の分解を促進する酵素「リパーゼ」のはたらきを助ける作用があるため、脂肪燃焼効果があると言われています。また、カフェインは、内臓脂肪も減らす作用があるようです。ただし、砂糖なし、ミルクなしのブラックコーヒーを飲んだ場合ですので、肥満予防のためにコーヒーを飲みたい人は、ブラックコーヒーで飲むことをお勧めします。

 

○クロロゲン酸、ニコチン酸
 コーヒーの成分は、カフェインだけではありません。「クロロゲン酸(ポリフェノール)」と「ニコチン酸」について説明を加えます。
クロロゲン酸は、コーヒーの苦味と香り成分の一種になります。クロロゲン酸には、植物由来のポリフェノールが多く含まれています。このポリフェノールは、ワインやチョコレートにも豊富に入っていることで知られています。生豆に含まれていますが、焙煎すると減少します。
ニコチン酸は、コーヒーの甘味成分の一種になります。

ニコチン酸はビタミンBに属するもので、深煎りコーヒーに多い成分です。甘い物に目がない人や運動不足になっている人は摂取するといいでしょう。日頃から顔色の良くない人や、冷たい飲み物を多く摂る人にもお勧めです。

 

クロロゲン酸の効果・効能
コーヒーの成分としてカフェインに並んで注目されているクロロゲン酸ですが、その効果・効能は様々なものがあり、身体に良い影響を与えるのではないかと期待されています。

 

クロロゲン酸のダイエット効果
クロロゲン酸が注目されている理由の1つがダイエット効果があるためです。クロロゲン酸には糖質を分解する酵素を阻害する働きがあります。それが結果的に糖質の吸収を緩やかにすることにつながり、余分な脂肪の溜め込みをしないようにします。 またクロロゲン酸には脂肪の溜め込みを防ぐ以外に、脂肪燃焼を促進する効果もあります。体内にすでに溜まっている脂肪や新たに発生した脂肪を燃焼させます。特にメタボリックシンドロームの原因とも言われている肝臓脂肪の燃焼効果が期待されています。


クロロゲン酸の糖尿病予防効果
糖尿病は近年大きな問題になっている生活習慣病の1つですが、運動不足や肥満など不規則な生活習慣が原因で引き起こされます。クロロゲン酸はこの糖尿病の予防に関しても効果を発揮します。 クロロゲン酸には血糖値の上昇を抑える働きがあり、インスリンの分泌を抑えることができて糖尿病にかかりにくくなります。しかし、コーヒーに砂糖を入れ過ぎれば当然その分の糖分を摂ってしまうので、ブラックコーヒーの方が効果はあります。


クロロゲン酸の老化防止効果
クロロゲン酸には老化防止効果(アンチエイジング効果)もあります。これは抗酸化作用が働くために実現されており、体内の活性酸素を取り除き、シミやシワなどの老化を防ぎます。


クロロゲン酸の血糖値の上昇抑制効果
クロロゲン酸の効果として血糖値の上昇を抑制することも期待されています。なので食後にコーヒーを飲むことが勧められています。血糖値が気になる人にはクロロゲン酸は効果的です。


クロロゲン酸のデメリット
このようにコーヒーに含まれているクロロゲン酸には様々なメリットがあります。一方で、クロロゲン酸にもいくつかのデメリットが存在します。 最も大きなデメリットは胃液の分泌を活性化させることです。これはメリットでもあるのですが、クロロゲン酸には胃の働きを活性化させる効果があります。そのために、胃潰瘍や胃酸過多の人は胃に負担がかかります。 健康体の人でも、空腹時にコーヒーを飲むと、胃が荒れて胃もたれなどを起こすことがあるのですが、それはクロロゲン酸が1つの原因であると言われています。

他にもデメリットとして、ミネラルの吸収を妨げる作用などがあげられますが、これはコーヒーをたくさん飲み過ぎなければ気にすることはありません。どんなにコーヒーが好きでも1日に3杯〜4杯に抑えるようにしましょう。

2023-09-21 18:58:00

スペシャルティコーヒー

■スペシャルティ・コーヒー
ルーツはアメリカ。スペシャルティコーヒーという言葉は、アメリカのコーヒー会社オーナーであるErna Knutsenさんが1970年代の雑誌や国際会議で使ったのが始まりとされています。元々は、『特別な気象・地理的条件が生んだユニークな香りを持つコーヒー』のことを指した言葉でした。1982年になると、曖昧だったスペシャルティコーヒーの定義を定めようとアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が設立されました。SCAAはコーヒーを100点満点で採点する評価基準を設け、点数が80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼んでいます。その後、日本でも2003年に日本スペシャルティコーヒー協会が設立され、展示会や競技会等の広報活動を行い、徐々にスペシャルティコーヒーという言葉が浸透していきました。
日本スペシャルティコーヒー協会では、『消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。』がスペシャルティコーヒーの定義としています。
定義だけだと抽象的で伝わりにくいかもしれないので、具体的に説明すると、栽培、収穫、輸送、保管、焙煎、抽出までが一貫した管理体制で行われ、カップに独特な風味が表現され、コーヒーを飲む人が美味しいと思えるコーヒー、こがスペシャルティコーヒーになります。この一連の流れは『From seed to cup』という言葉でも表現されます。
スペシャルティコーヒーは生産農園が品質の良いコーヒー豆を作るだけではできません。農園から始まりコーヒー豆を輸送する人、焙煎をするロースター、そして抽出を行うバリスタ。それぞれが力を発揮しながらコーヒー豆というバトンを繋いでいくことで、ようやくスペシャルティコーヒーというゴールへとたどり着くことができるのです。


スペシャルティコーヒーは消費者の基準から始まった
一般的なコーヒーの品質はコーヒーが作られた場所の標高や豆の大きさで定められたもので、これはコーヒーを生産する側が決めた基準であり、必ずしも風味を保証したものではありません。また、豆の大きさを合わせるために色んな農園の豆が混ざられることもあります。これではせっかく美味しいコーヒー豆があっても、平凡なものと一緒になってしまいます。一方、スペシャルティコーヒーは消費者が美味しいコーヒーを飲みたいという思いから始まったものです。実際にテイスティングし、認められるには一定の評価を受ける必要があります。これはコーヒーの消費者の基準と言えます。なので、スペシャルティコーヒーを作ってもらうには、生産者に今までと違う基準を受け入れてもらう必要があります。そのためには、品質の良いコーヒーを作れば高い価格で買い取るよ、という仕組みを作る必要があります。そのために直接買付け等様々な仕組み作りがされていますが、特に有名なのはCOE(カップオブエクセレンス)です。


スペシャルティコーヒーの中でも極上品。COEとは?
COE(カップオブエクセレンス)とは、年に一度行われるコーヒー豆の品評会で、数ある品評会の中でももっとも権威のあるものとされています。低迷するコーヒー市場に対抗するため、1999年にブラジルで開催されたのに始まり、現在は、中米を中心に10ヵ国程で開催されています。生産農家にとってCOEに入賞することは大変名誉なことで、入賞すると農家の名前は一気に世界中に知られることになります。名前が知られる理由は、COEで選出されたコーヒー豆はインターネットオークションで販売されるから。世界中のコーヒー豆バイヤーがCOEの豆を競り落とそうとモニターに目を光らせています。これにより、落札されたコーヒー豆を作った農家は有名になり、多くの収益を得ることができます。
このCOEの取り組みにより、品質の良い豆を作れば正当な評価を受け、なおかつ高い価格で買い取られるということが実証されました。これはコーヒー農家の品質の良いコーヒー豆を作ろう、というモチベーションに繋がるのです。


スペシャルティコーヒーの定義
スペシャルティコーヒーの具体的な定義については、世界共通のものは存在せず、各国のスペシャルティコーヒーに関する業界団体が、それぞれの国の文化に合わせて定めています。日本では、一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が、下記のように定義しています。消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)


一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 -スペシャルティコーヒーの定義
具体的には、SCAJ、SCAA、COE(カップ・オブ・エクセレンス)等が定める評価基準(カッピングフォーム)で点数をつけて、高得点を取ったものをスペシャルティコーヒーと呼ぶのが一般的です。SCAJのカッピングフォームでは、カップ・クォリティのきれいさ/甘さ/酸味の特徴評価/口に含んだ質感/風味特性・風味のプロフィール/後味の印象度/バランスの7項目でコーヒーの評価を行います。特に、「風味特性・風味のプロフィール」は、スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを区別する最も重要な項目とされています。
ちなみに、Blackhole Coffee Roasterは、スペシャルティコーヒー専門をうたっていますが、SCAJの定義に加え、下記の客観的事実に当てはまるコーヒー生豆を使用することで、当店のコーヒー豆がスペシャルティコーヒーであることの根拠としています。
SCAA/COE/SCAJ等基準のカッピングにおいて、80点以上のスコアで評価されている輸出国の公的機関による公正なる評価により「スペシャルティ」と認証されている限定された希少コーヒーや産地が限定されるコーヒーで「スペシャルティ」に相当すると評価されている


トレーサビリティ(追跡可能性)
クヌッセン女史のコンセプトに「特別な地理条件や微小な地域の気候が…」とある通り、スペシャルティコーヒーにおいては、どのような環境でコーヒーが育てられたかの情報は重要です。どの国の、どのエリアの、どんな農園が、どんな方法で精製したかなどの情報を追跡することができる、トレーサビリティ(追跡可能性)が重視されています。


サステナビリティ(持続可能性)
スペシャルティコーヒーの世界だけではなく、様々な産業において注目されている「サステナビリティ(持続可能性)」。具体的には「現在のニーズを満たしながら、将来世代が自分たちのニーズを満たす能力を失わない発展」のことです。

 

■品質ピラミッド
コーヒーには、品質のピラミッドというのがあって、スペシャルティコーヒー→プレミアムコーヒー→コマーシャルコーヒーの順番に高い品質になります。スペシャルティコーヒーには、各国のトップであるカップオブエクセレンスも含まれます。


コマーシャルコーヒーとは?
最も多く消費されています。コモディティコーヒーやメインストリームコーヒーとも呼ばれています。一般的に、コーヒーとして扱われているコーヒーで「商品先物取引」で売り買いされているコーヒーのことです。スーパーなどに並んでいるコーヒーもこれに該当するものがほとんどです。値段を最優先しているコーヒー豆で、味香りを判定して、価格が決められます。つまり、香りも味も劣るコーヒーということになります。
銘柄は一見、1つの 産地名を指しているようですが、中身の豆は様々な農園から集められています。また、コーヒー豆は、生産者ごとではなく、全て混ぜられるため、頑張って品質向上に勤めている農家も他の農家と同じ評価になってしまいます。(日本の野菜などの市場でいうと共選と同じ仕組み。)美味しいコーヒーとして(味で)取引されているわけではありません。


プレミアムコーヒーとは?
ブランド名を最優先にしたコーヒーをさします。ブルーマウンテン、キリマンジャロ、ハワイコナなどの名前を聞くとピンとくる人も多いのではないでしょうか。
巷のコーヒー屋さんは、この品質のコーヒーを使っている場合が多いようです。


スペシャルティコーヒーとは?
品質や美味しさを最優先したもので、カッピングによるテストで一定の水準を超える品質であり、トレーサビリティが明確で、生産した生産者が特定できるコーヒー豆をさします。スペシャルティコーヒーの通販サイトで、生産者の顔がよく出ているのは、その生産者あってのそのスペシャルティコーヒーだからです。各国の生産者がその国の今年の一番を競うカップオブエクセレンス(COE)で受賞したコーヒー豆もスペシャルティコーヒーに該当します。

 

■COE/カップオブエクセレンス歴代の入賞豆
カップオブエクセレンスは参加国ごとに年1回、予選からオークションまで約2か月にわたって開催されます。開催時期は年によっても異なりますが、コーヒー豆の収穫期に合わせて国ごとに概ね決まっています。ニカラグア、グァテマラ、メキシコなど多くの国では5月下旬から準備が始まり、6~8月にかけて予選・国内審査員による審査、国際審査員による審査が行われています。ブラジル・エクアドル・ペルーでは11~12月にかけて行われ、インドネシアでは2~3月ごろです。1年に2回の収穫期があるコロンビアでは、3~5月ごろの年と9~11月ごろの年があります。
カップオブエクセレンスの開催国には、高品質の豆が生産できる地域が多い国と、そうでない国があるため、国によって全体的なレベルの差があります。例えば、ニカラグアCOE優勝豆の得点はメキシコの2位に及ばない得点です。

では、各国の大会で優勝したコーヒー豆について、その得点で比較した上位3位を紹介します。開催国名、生産地、品種、加工方法の順に記述。

 

2021年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 エルサルバドル Mileydi農園 パカマラ セミウォッシュド

2位 メキシコ Finca SantaCruz農園 ゲイシャ ナチュラル 

3位 ニカラグア Jesus MountainCoffee Company農園 パカマラ ウォッシュド

 

2020年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 ニカラグア Un Regalode Dios農園 マラカトゥーラ ナチュラル

2位 グァテマラ El Socorro農園 ゲイシャ ウォッシュド

3位 エチオピア Niguse GemedaMude農園 74158 ナチュラル

 

2019年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 ホンジュラス Santa Lucia農園 ゲイシャ ウォッシュド

2位 メキシコ Santa Cruz農園 ゲイシャ ナチュラル

3位 コロンビア Mikava農園 ゲイシャ ナチュラル

 

2023-09-21 11:10:00

2. コーヒー豆の産地と特徴について

2.コーヒー豆の産地と特徴について
植物にもいろいろ種類がありますが、コーヒーは育てるのに非常に難しい部類なのです。柿とか銀杏の木はあちらこちらで見かけますが、コーヒー豆の木は植物園でしか見たことがないと思います。つまり、コーヒー豆の木が育つには適切な環境が必要であり、その生産地固有の条件、そして味に直結する自然環境・風土があったのです。

■コーヒー豆をうまく栽培するための4つの条件(文献を参考に記述)
コーヒー豆の木が順調に育つには主に4つの条件が必要と言われており、それらの条件が満たされなければ、コーヒーの木を育てることはできません。


(1) コーヒー豆を栽培するには降水量が重要
コーヒー豆の木を上手に育てるには、当たり前ですが雨(水)が必要です。具体的には年間の降水量が1500mm〜2500mmと言われています。
日本の年間降水量が1700mmくらいです。ということは感覚的に日本よりちょっと雨が降るくらいの環境で育っていると思ってください。しかし、実はこの降水量ですが、ただ雨がいっぱい降ればいいわけではありません。コーヒー豆の木は繊細で手のかかるお子様だと思ってください。成長している時に雨がいっぱい降って、収穫する時に乾燥している必要があります。つまり、日本よりも少し雨が降って、雨季と乾季の2つが一定の間隔で存在しているエリアじゃないと育たないのです。


(2) コーヒー豆を栽培するには日照量が重要
コーヒー豆の木を上手に栽培する上で必要な2つ目の条件は日照量です。これも実は繊細であり日照量が強すぎても弱すぎてもダメなのです。
基本的にはコーヒー豆の木は日光を好むので、ある一定量の太陽の光が必要です。しかし、必要以上の太陽の光を浴びてしまうと紫外線の影響で、逆にへばってしまいます。そのために、実際のコーヒー豆の木が育っているエリアでは、コーヒー豆の木の横に身長が高い木を敢えて植えて、日差しを緩和して日陰を作る木を育てます。
この日陰を作るための木をシェイドツリーと言います。コーヒー豆の木をうまく育てるために敢えて近くに別の木を植えて日光を遮るような環境を整えています。


(3) コーヒー豆を栽培するには温度が重要
必要な3つ目の条件は温度です。温度については人間が快適と感じる温度に似ており平均気温は20度前後です。コーヒー豆の産地と聞くと、太陽が照りつける暑い場所をイメージする人も多いのですが、避暑地のような快適な温度の場所でしかコーヒー豆の木を育てることはできません。実際にコーヒー豆の産地に行ったことがある人の話では、日本の暑さよりも暮らしやすいとのことです。また、コーヒー豆の木は寒さに弱く、具体的には5度以下の低温がずっと続くと枯れてしまいます。昼と夜の温度差がある程度激しい地域が望ましいというのも特長です。


(4) コーヒー豆を栽培するには土壌が重要
コーヒー豆の木を栽培するのに必要な最後の条件が土壌です。当たり前のような話ですが、土壌は植物が育ち安い肥沃な土壌で、水はけが良いところがベストです。かつ土質が少し酸性の土壌がコーヒー豆の木には適しています。
肥沃な土壌を具体的に言うと、窒素とリン酸とカリウムを含んだ土壌です。
窒素の役割はコーヒー豆の木を大きく成長させることです。しかし窒素は逆にありすぎると虫が多く集まったり、病気になりやすくなったりするそうです。リン酸はコーヒーの花の開花とコーヒー豆の肝心な実を作るのに効果があります。そしてカリウムはコーヒー豆の木の根っこの成長に影響を与えます。
ちなみに、コーヒー豆の土壌は火山質の土壌が良いと言われています。有機物を多く含む火山灰の土壌は、コーヒー豆を成長させる上で重要になる先ほどあげた窒素、リン酸、カリウムが豊富に含まれており、かつ水はけが良いからです。
火山灰質の土壌はやわらかく、コーヒー豆の木の根っこが伸びやすく、栄養素を効率的に取れることもコーヒー豆の木がよく育つ理由なのではないかとも言われています。そのためにコーヒー豆の木の農園は標高の高い火山帯に多いのです。
しかしこの火山灰質の土壌も、火山が噴火した後の土壌だったらなんでもいいというわけではありません。火山灰質の土壌にも。石灰質土壌という栄養分の無い土壌と、火山性土壌という栄養分が含まれている土壌があります。当然ながら栄養のある火山性土壌である必要があります。


つまりコーヒー豆の木はコーヒーベルトで育つ
今まであげてきた、降水量、日照量、温度、土壌を満たすことができるエリアがどこかというと、それは赤道の前後付近です。具体的には北緯と南緯25度の範囲内と言われています。そしてこのエリアをコーヒーベルトと言います。
赤道付近だと考えると暑そうなイメージなのですが、コーヒー豆の木を育てるには温度が20度前後で快適な温度を必要とします。つまり熱帯付近の中でも山や高地である必要があるのです。暑い地域の中でも高い山で育てることで温度を下げることができます。実際に高い山で取れたコーヒー豆ほど味が美味しいと言われています。それは高い山では、昼と夜の温度差が大きくなり、コーヒー豆の実が引き締まって(栄養が蓄えられ)おいしくなるわけです。
また、コーヒー豆の木の絶対的な弱点が霜であり、霜の出るエリアでは基本的にはコーヒー豆の木を育てることができません。これら全ての条件を満たすコーヒーベルト付近の70か国でコーヒー豆は育てられています。
日本では沖縄や小笠原諸島でコーヒー豆が生産されています。高い山があるわけではなく、雨季と乾季もないので、本格的にコーヒー豆を育てるには大変だと言われています。

 

■コーヒー豆の木について
次にコーヒーの豆の木そのものについても触れてみます。


(1) コーヒー豆の木の正式名称は「コーヒーノキ」
コーヒー豆の木の正式名称は「コーヒーノキ」です。
誰が名づけたかは謎ですが、カタカナでコーヒーノキが正式名称です。アカネ科の常緑樹に属しており、そのまま野生で育てると10mくらいまで成長して伸びるそうですが、農園では収穫しやすいように1.5m〜2mに剪定されています。


(2) コーヒー豆の木は標高が高い方が高級
コーヒー豆の木は熱帯地方の高い山の中でよく育ちます。高い山とはどれくらいかと言うと、低いところで標高300m〜400mくらいです。しかし一般的に標高が1500mを超える産地が高級のコーヒー豆を栽培できると言われます。
交通網が発達したで、最近はある程度高いところでもコーヒー豆を収穫することができるようになりました。逆にそれを超えて標高が高すぎると霜が降りてくるのでコーヒーがうまく育ちません。しかし例外もあります。高級豆の代名詞でもあるジャマイカのブルーマウンテンのコーヒー豆は高い山で育てられていません。標高が高くなくても、降水量、日射量、気温、土壌の条件が合致すれば美味しいコーヒー豆を作ることができるのです。


 (3) コーヒー豆の木は収穫できるまで3年間かかる
コーヒーの木の成長には時間がかかり、ゼロからスタートすると収穫できるまでに3年かかると言われています。それまでの間も、コーヒー豆の木の健康状態をうまく維持する必要があります。コーヒー豆の実1つに対して葉っぱの枚数は3〜6枚くらいで、一本のコーヒー豆の木にできるコーヒー豆の実の数も決まっています。これはもともと吸収できる栄養の量が決まっているからです。木があまりにも大きくなるとコーヒー豆の実まで栄養がいきません。そのため何年かおきに枝などを刈り込み、適量になるようコントロールしています。

 

■コーヒー豆が取れる各エリアについて
コーヒー豆の木はコーヒーベルト付近で栽培されますが、具体的なエリアについて書きます。大きく分類するなら、南米エリア、中米・カリブ海エリア、中東・アフリカエリア、アジア・環太平洋エリアに分けられます。


(1) 南米エリアのコーヒー豆
コーヒー豆の産地を語る上で絶対に外せないのが、南米エリアです。理由はブラジルがコーヒー豆の生産において圧倒的に世界一だからです。コロンビアもコーヒー豆の産地として世界ではトップレベルであり、他にもベネズエラ、エクアドル、ペルー、ボリビアなどでコーヒー豆が作られています。世界一の生産量とだけあって、ブラジルではコーヒー農園の機械化なども進んでおり、大量のコーヒー豆が生産されています。


(2) 中米・カリブ海エリアのコーヒー豆
最高級コーヒー豆の代名詞としても使われているブルーマウンテンのコーヒー豆が取れるのがこの中米・カリブ海エリアです。その他にも高級と呼ばれるコーヒー豆が多く生産されています。メキシコは世界的にもコーヒー豆の産地として有名であり、カリブ海の島々でも地理的な面積が小さいものの、一定量のコーヒー豆が生産されています。


(3) 中東・アフリカエリアのコーヒー豆
中東やアフリカでも多くのコーヒー豆が生産されています。その中でも特にエチオピアとイエメンで生産されるモカは世界的に知名度の高い豆です。他にもタンザニアやケニアなどで取れるコーヒー豆はヨーロッパの人々に昔から愛されています。
そのコーヒー豆のほとんどは国内では消費されずに、換金作物として輸出されることでも知られています。


(4) アジア・環太平洋エリア
インドネシアは国内だけでもいくつもの種類のコーヒー豆があり、世界的なコーヒー豆の産地として知られています。他にもベトナムは近年生産量が急拡大しており、生産量で世界のトップレベルになっています。またハワイで取れるコナコーヒーは、高級コーヒー豆として多くの人から愛されています。


コーヒー豆の生産地を見分ける方法
市販のコーヒー豆からどうやってコーヒー豆の産地を見分けるのかを説明します。市販されているコーヒー豆はパッケージにその産地が書かれているので、直感的にわかるのですが、おしゃれなパッケージを採用しているメーカーでは、どこの国で取れた豆なのかわかりません。その場合は、裏側に貼ってある、商品の基本情報のシールを見てください。
シールに書かれているたくさんの項目の中に、生豆生産国名というものがあります。例えば「インドネシア」と表記されていれば、それはインドネシア産の豆です。また複数の国が書かれていることがあります。「ブラジル、コロンビア」と書かれていれば、それは複数の国で取れたコーヒー豆をミックスしてブレンドしたものです。

 

■コーヒー豆と大陸
同じ生産地でも環境・生育条件は異なるので味も異なるのですが、大きな特徴としてまとめられているものは以下となります。


中南米(アメリカ大陸)
エレガントな柑橘系の酸味を持つコーヒーを栽培するのが特性で、毎日飲んでも飽きがこず、 癖のないマイルドなコーヒーが特徴です。国による味の違いがわかりづらいと感じる事があるかと思いますが、飲み比べてみると、それぞれの産地の特徴が感じられ、繊細で高品質なコーヒー豆だという事を実感できます。


アジア大陸
ボディ感があり、癖が強く大地の様な力強いコーヒーが特徴です。コクや飲みごたえがあるコーヒー豆として紹介される事が多いようです。


アフリカ大陸
フレーバーの豊かなコーヒー豆を栽培しており、地域によりまったく違う香りや風味があり個性的な特性を持ちます。エチオピアやケニアは代表的なコーヒー豆で、豆の香りだけでもその産地が特定できるほど、香り高い芳香を放ちます。

この3大陸の特性を把握しておけば、アフリカ大陸のコーヒー(フレーバー感)は、休日の午後用に、アメリカ大陸のコーヒー(ストレート感)は日常用として飲むなど、時間や気分に合わせて選び、楽しむ事ができるのかもしれません。また、カフェでコーヒーを飲む時や、豆を買う時など、この3つの大陸の特性をイメージしながら選ぶことで楽しみも増えるかと思います。
有名な銘柄も補足しておきます。


1.北アメリカ大陸
<北米エリア>
・ハワイ(コナ)・・・強い酸味と甘い香り


<中米エリア> 
・メキシコ・・・・酸味と香りがともに適度で、やわらかい上品な味
・グァテマラ・・・甘い香り、上品な酸味、芳醇な風味
・エルサルバトル
・コスタリカ・・・芳醇な香りと適度な酸味が混ざりあい、上品な味
・パナマ(ゲイシャ種)・・・柑橘類やハーブティーを連想させる華やかな香り


<カリブ海>
・ジャマイカ(ブルマン)・・・すべてのコーヒーの良さをあわせ持つ、バランス良い
・キューバ(クリマン)・・・酸味と苦みのバランスがとれた上品な味が人気、最高級品
・ハイチ
・プエルトリコ


2.南アメリカ大陸
・ブラジル・・・雑味がなく中庸な味、香りが高く適度な酸味と苦味
・コロンビア・・・甘い香りとまるい酸味と、まろやかなコク
・ベネズエラ・・・軽い酸味とやや独特の苦み、そして適度な香り
・エクアドル
・ペルー


3.アフリカ大陸
・イエメン、エチオピア(モカ)・・・フルーツのような甘酸っぱい香りと、まろやかな酸味とコク
・ケニア・・・強い酸味が大きな特徴。キレがあり、後味もすっきり
・タンザニア(キリマン)・・・強い酸味と甘い香りと豊かなコクがあります。


4.アジア
・インドネシア(マンデリン)・・・コクのあるやわらかな苦味と、上品な風味
・インド
・カンボジア
・ニューギニア

 

■知っておきたい豆
・ブラジルNo2
コーヒーの基礎といわれる豆。バランスのとれた味。迷ったらこれで間違いなし。
控えめなブラジル人はNo1と言わないで(敢えて避けて)この名称となりました。


・モカマタリ
歌などでも有名な豆。上品な甘みと酸味がある。モカは色々と種類があるが、とりあえずこれは入門用


・マンデリン
苦味が強い豆としてよくあげられるのがこの豆。酸味が苦手だという人にはこれ。苦いのが好きならトラジャもオススメ。


・キリマンジャロ
独特の強い酸味があり、固定ファンも多い。苦手だという人もいるが一度は飲んでおくべき豆。


・コロンビアスプレモ
雑味が少なく、甘みとコクがある豆。輪郭ははっきりとしているがすっきり飲める。


・エメラルドマウンテン
缶コーヒーのエメマンとは別物。実はけっこうな高級品。甘みが強くブラックでも甘みを感じられる。苦味というより酸味系。


・ブルーマンマウンテン
ご存じNO1コーヒー豆。酸味、苦味、甘み、濃く、香りともにバランスが取れている。高いけれど一度は飲んでおきたい豆です。

 

・パナマ エスメラルダ農園 ゲイシャ

エスメラルダのゲイシャの特徴はスパイス感のある華やかなフレーバーとレモンのようなアシディティ、紅茶のような透き通ったクリーンカップ、およそ一般的なコーヒーとは一線を画すぶっ飛んだフレーバーです。レモネード、という言葉もしっくり来ます。「ゲイシャフレーバー」という言葉が生まれました。このフレーバーに欧米をはじめとしたスペシャルティコーヒーバイヤー達は虜になったというわけです。

スペシャルティコーヒーの場合、コーヒーの品種とコーヒーの品質には大きな相関関係は無いと考えられています。しかし原産地であるエチオピアやこのエスメラルダ・ゲイシャに限っては、その地域の微小気候(マイクロクライメイト)によって、独特なフレーバーを獲得しています。このエスメラルダ事件によって、ゲイシャは中米をはじめとする様々な産地で栽培されるようになりましたが、やはりこのエスメラルダ農園ほどのぶっ飛んだフレーバーを持つコーヒーは出てきていません。標高や気候の微妙な違いが影響しているのでしょう。

 

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