日記

2023-10-01 19:59:00

コーヒーの効能

◆コーヒーは薬なのか
コーヒーは発見された当時から薬として利用されてきました。胃の薬、頭痛の薬、心臓の薬などなど。中には全く効用の無かったものもあったでしょうが、その殆どは現代でも再認識されています。最近、様々なメディアでも取り上げられましたが、コーヒーには実に多くの効用(効能)があります。カフェイン、カフェー酸、クロロゲン酸、タンニン、ポリフェノール、褐色色素、ニコチン酸(ナイアシン)、トリゴネリンなどの薬理作用のある成分が含まれていますが、その中でもっとも良く知られていながら、誤解も多いのがカフェインでしょう。

 

◆コーヒーの効用 (効能)
カフェインは植物界に広く存在するアルカロイド(含窒素塩基性物質)の一種でコーヒー豆の他にお茶の葉やカカオの種子などに含まれています。※実際にはメチルキサンチン類と呼ばれるカフェイン様物質を総称してカフェインと言っています。

お茶にはテアニン、カカオにはテオブロミンがそれぞれ含まれ、薬理作用は似ていますが効果に強弱があります。以前「カフェインには発ガン性がある」とささやかれたこともありましたが、様々な研究の結果、現在では「カフェインには発ガン性や変異原性はない」という認識で落ち着いているようです。なにかと話題の多いカフェインですが、薬理作用としては以下のものがあります。
・平滑筋を弛緩させることによって気管支喘息や狭心症の改善に作用する(効果は弱いです)
・大脳皮質に作用して精神機能、知覚機能を刺激する結果、眠気や疲労感を取り除き、思考力や集中力を増す
・中枢神経に作用し、呼吸機能や運動機能を高める
・心臓の収縮力を高めることによる強心作用(低血圧を一時的に改善)
・腎臓に作用して利尿効果を促進する
・胃液分泌を促進し、消化を助ける
・アセトアルデヒド(二日酔いの原因)の排泄を促進する。(二日酔いの頭痛に効果)
・脳内の血流を良くすることによって、脳血管性の偏頭痛を静める
・ボケやパーキンソン病の予防効果
・ポリフェノールなどが活性酸素を除去し、過酸化脂質の発生を抑えることにより、肝臓ガンや消化器官のガンなどを予防する
・飲酒による肝臓の負担を軽減する。(カフェインの作用とは別に)
・ニコチン酸(ビタミンB群に属する必須栄養素)が血液中のコレステロール値を下げ、動脈硬化を予防する
・皮下脂肪の分解を促進し血液中の脂肪酸を増加させる。結果、持久力が増す。(ダイエット効果あり!?)
・コーヒーに含まれるフラン類がニンニクやニラ等の臭いの元を消すことによる口臭予防
などがあります。

更に興味深いのは"アロマ"と呼ばれるコーヒーの香りの成分で、DNAの酸化や心臓の老化を妨げる抗酸化作用のある物質が300種以上含まれていると言われています。その効果は1杯のコーヒーでオレンジ3個分と言われるそうですが、残念なことに淹れたてのコーヒーの香りだけで、5分もするとその効果が無くなってしまうそうです。
コーヒーは肉体的にも精神的にも効用のある飲み物です。集中力と持久力を増すため、一流のスポーツ選手(マラソンやサッカー、プロ野球の投手など)の中には、二時間ほど前にコーヒーを飲んで競技や試合に望む方もいると聞きます。

 

○糖尿病を予防する
コーヒーを1日3~4杯飲んでいる人とコーヒーを飲んでいない人とでは、糖尿病にかかる人や血糖値が上昇する人の割合に差が出たという実験があります。実験の結果では、コーヒーを1日に3~4杯飲んでいる人は飲んでいない人に比べて、糖尿病になったり、血糖値が高い状態のままの人が少ないことがわかりました。このことから、コーヒーを1日3~4杯飲むことで、糖尿病の発症リスクを下げる効果が期待できると言われていますが、そのメカニズムはいまだ解明は出来ていないそうです。しかし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値の調整に一役かっているのではないかと言われています。


○アルツハイマー型認知症や、パーキンソン病などのリスクを下げる
アルツハイマー型認知症とは、脳神経系が徐々に侵され、脳が委縮し記憶障害などをもたらす病気です。また、パーキンソン病も、脳神経系の細胞が侵されることによって発症します。コーヒーに含まれるカフェインには、解熱鎮痛作用があり、炎症を抑える効果が期待出来ると言われています。この炎症を抑えるはたらきが、アルツハイマー型認知症とパーキンソン病を予防すると言われています。
コーヒーを1日に3~5杯飲むと、アルツハイマー型認知症の発症リスクが70%も下がるという実験結果があります。同様に、コーヒーを毎日飲んでいる人は、飲んでいない人に比べてパーキンソン病の発症リスクが低いという実験データも出ているようです。
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸(ポリフェノール)の抗酸化作用により、脳の細胞の老化を防いでくれており、これもまた予防効果があるとされています。これらの疾患は、同じカフェインが含まれているお茶よりも、コーヒーの方が予防効果は高いという実験結果もあるそうです。


○がんを予防の効果が期待できる
コーヒーを毎日飲む人は、飲まない人に比べて、肝臓がんになるリスクが半分になるという報告があります。そして、毎日5杯以上飲んでいる人は、さらにリスクが低下するという結果も上がっています。詳しい因果関係は、まだ解明できていませんが、おそらくコーヒーに含まれるクロロゲン酸が関与しているのでは?と言われています。
加えて、コーヒーを1日に3杯以上飲む女性は、子宮体がんのリスクが飲まない人に比べて6割も低下するという大規模な疫学調査の結果があります。子宮体がんは、エストロゲンやインスリンなどのホルモンが関与していると言われており、コーヒーを飲むことでそれらのホルモン濃度が低下するためと言われています。さらに、コーヒーを1日5杯以上飲む女性は、乳がんの発症リスクも下がるそうです。


○隠れ脳出血や脳卒中のリスクを下げる
自覚症状がないまま起こる「微小脳出血」を、隠れ脳出血と言います。コーヒーを飲む男性は、この微小脳出血の発症リスクが少ないという報告があります。この、脳出血ですが、高齢者、血圧が高い人、そして男性に起こりやすいと言われています。症状がないならいいのではと思いがちですが、この微小脳出血を繰り返し起こしていると、将来的に脳卒中になりやすいようです。症状がなくても怖いものです。
コーヒーを1日1杯飲むことで、脳卒中や隠れ脳出血を予防する効果が期待できると言われていますがその明確な理由はまだ解明されていません。おそらく、コーヒーに含まれる、クロロゲン酸が糖尿病を予防することで脳卒中を予防してくれるのではないか、またコーヒーを飲むことでほっとしたリラックスタイムが出来るので、ストレスの軽減に繋がっていてそれが脳卒中の予防になっているのではと言われています。


○コーヒーの美容効果
ダイエットをしても、なかなか効果がない。そんな時は、コーヒーのパワーを借りてみるのもお勧めです。コーヒーに含まれるカフェイン、先ほど脂肪燃焼に効果が期待できると書きました。そのカフェイン、運動の30分前に摂取すると、効率的に脂肪を燃焼させてくれると言われています。カフェインを摂取することで、血中の脂肪酸濃度が上がり、脂肪を燃焼しやすくしてくれるのです。ダイエットに運動やウォーキングを取り入れている人には、ぜひとも試していただきたい。


○美白美肌になるのを助けてくれる
コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、老化を促進させる「活性酵素」のはたらきを除去するはたらきがあります。活性酵素は、シミ・シワ・たるみなどの原因となる物質です。また、クロロゲン酸の殺菌作用により、睡眠不足やストレスからくるニキビや肌荒れを抑える効果も期待できると言われています。


○シミを予防してくれる。
年齢とともに、気になってくるのがシミ。日焼けには十分気をつけてきたはずなのに、気づいたらこんなところにも、あんなところにもシミが出来ていたなんてことありませんか。そんな女性の強敵、シミがコーヒーを飲むだけで予防できそうなのです。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールが(抗酸化物質)のはたらきによって、シミの原因となるメラニンの生成がおよそ3割も抑えられると言われています。1日2杯以上のコーヒーを飲むことで、シミを予防する効果があると言われていますので、シミが気になるお年頃の皆さん、1日2杯はコーヒーを飲む習慣をつけましょう。


○リラックス効果が期待できる
コーヒーの香りを嗅ぐと、脳にα波が発生するという実験報告があります。そのα波がストレス軽減に効果があると言われています。コーヒーの香りの効果はもちろんですが、コーヒーを飲んでほっと一息をつく、そんなリラックスできる至福の時間もストレス社会を生きる現代人には必要です。
そして、なんとこのコーヒー、うつ病の発症リスクまでも下げてくれると言われていますので、コーヒーのリラックス効果は絶大なようです。


○デトックス効果が期待できる
コーヒーに含まれるカフェインの利尿作用により、デトックス効果が期待出来ます。身体の中にたまった老廃物を体外に出してくれるので、デトックス目的で飲むのも有りです。


◆淹れ方による効能の有る無し
寝起きのコーヒーの効果は、期待できないと言われています。寝起きの午前8時から午前9時のあいだは、覚醒ホルモンと呼ばれるホルモンがピークに体内で分泌されているからです。この時間に、カフェインを摂取しても効果はなく、ただカフェインによる耐性が作られるだけとのことです。
では、いつ飲むのが効果的か、午前9時半から午前11時半の間と言われています。この時間にコーヒーを飲むことで、カフェインによる効果が得られやすいとの報告があります
インスタントコーヒーでも、コーヒーによる効果を得ることは出来ると言われていますが、深煎りや浅煎りなど煎り方を選ぶためには、ドリップコーヒーがおすすめです。カフェインやクロロゲン酸は、熱に弱いので煎れば煎るほど減るので、ダイエット目的には浅煎りがおすすめということになります。
また、コーヒーには、ジテルペン類と呼ばれる血中コレステロールや中性脂肪を上昇させる物質が含まれています。これをドリップすることで、ペーパーフィルターで除去することが出来ます。コーヒーを作る際、お湯の温度は80℃前後が良いと言われています。80℃より高い温度だと、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が壊れてしまい、クロロゲン酸による効果が失われてしまいます。

 

◆コーヒーの害 
色々と効用のあるコーヒーですが、では全く害はないかというと残念ながらそうではありません。基本的にコーヒーは胃にやさしい飲み物で、ドイツでは開腹手術をした患者さんが術後最初に口に入れる飲み物としてコーヒーを勧める病院もあるようです。


○消化性胃潰瘍
健胃効果のあるコーヒーですが、胃液分泌を促進するため消化性胃潰瘍を助長する働きもあります。このような方やコーヒーを飲んで胃が痛くなる方はコーヒーを控えてください。


○貧血
コーヒーに含まれるタンニンなどの成分は鉄イオンと結びついて難溶性の物質に変わります。このため、鉄分の吸収を阻害してしまうことがありますので、貧血気味の方は食後30分はコーヒーを飲まないようにした方が良いでしょう。(良質なコーヒー豆を使用して適切に淹れたコーヒーならばこの影響は少ないはずです。)


○胎児への影響
コーヒーに含まれるカフェインが、胎児に影響を与えると言われています。お母さんと胎児をつなぐ胎盤の血流量が低下したり、大量のカフェインが胎児の体内に流れると胎児はそのカフェインを処理できないので、落ち着きがなくなったり、身体に負担がかかり早産や流産にもなりかねませんので飲みすぎは気をつけましょう。妊娠中でも、カフェインの摂取は1日300ミリグラムまでは、胎児に影響がないことがわかっていますので、1日2杯程度におさめておきたいものです。

 

○発ガン性
昔からコーヒーとガンの発生について色々取りざたされてきましたが、実際のところはどうなのでしょうか。厳密に言えば、コーヒーの成分の中には発ガン性の疑いのあるものが少なからず含まれています。2002年末現在話題になったものではアクリルアミドという物質がその代表です。
アクリルアミドはアミノ酸の一つであるアスパラギンとブドウ糖が高温で反応することで生成され、加熱調理した食品の多くに含まれています。ごはんやパンにも含まれますが、最も濃度が高いのはポテトチップスです。国立医薬品食品衛生研究所によると467~3,544μg/kg含まれているそうです。コーヒー(液体)に関しては詳しい数値がちょっと分からないのですが、ごく微量含まれているようです。
国際ガン研究機関(IARC)による発ガン性分類によると、アクリルアミドはディーゼルエンジンの排気ガス等と同類の『2A(人に対しておそらく発ガン性がある)』にランクされています。なお、コーヒーは『2B(人に対して発ガン性を示す可能性がある)』に、カフェインは『3(人に対する発ガン性については分類できない)』にランクされます。
他にもコーヒーに含まれる成分にはカフェー酸と呼ばれるものがあります。この物質は先程の分類によると「グループ2B(人に対して発ガン性を示す可能性がある)」にランクされています。ところが、このカフェー酸は抗酸化作用をもつことから、活性酸素を除去するような働きもあります。メリットもあればデメリットもあるということですが、実際にはコーヒーに含まれているカフェー酸の量で発ガン性を示すことはまずありえないようです。
ただ、気をつけなくてはならないのは、『発ガン性の疑いのある物質が含まれている=発ガンする』ことではないということです。上記の分類も絶対ではありません。どちらかと言えば物質の種類よりも含まれる量や摂取の仕方の方が問題となります。
アクリルアミドに関しては人間は何世紀も前から摂取してきているわけで、今更取り立てて騒ぐものではありません。そもそも人間の体の中では毎日がん細胞が生まれています。
このあたりは勘違いというか思い込みをなさっている方が結構おられるのですが、『100%安全』という食べ物や飲み物(更に言えば物質)は存在しません。どんなに安全だと謳われている食べ物でも、摂り過ぎれば健康に害を及ぼします。要は程度の問題です。これはコーヒーについても同様で、100%安全ではないけれども、必要十分な程には安全である、と言えます。

 


○口臭
ニンニクなどの食べ物に起因する口臭予防効果があるコーヒーですが、逆に口臭の原因になることもあります。コーヒーの成分が舌の表面に付着したまま口腔内のpHが下がると特有の口臭を発するようです。
コーヒーに限らずお茶などは多量に摂取するとその渋みの元(クロロゲン酸、タンニン)が唾液分泌を抑制し、口腔内が乾くことによってpHも同時に下がります。それによって口臭の成分が生成されるようですが、その特定の成分が何であるか私には分かりません。コーヒーに限って言えば恐らくフミン酸(腐植酸)が主な原因であるように思えますが確証はありません。
コーヒーを飲んで口臭が発生しやすい状況としては起床直後や空腹時など、元々唾液分泌が少ない状態などが挙げられます。食中食後であれば唾液分泌も盛んで口腔内のpHも安定しており、コーヒーに起因する口臭は殆ど起こりません(逆に食物由来の口臭を防ぐことが出来ます)また、淹れたてのコーヒーより長時間保温したコーヒーの方が口臭を起こしやすいようです。
コーヒーやお茶に起因する口臭を防ぐには、飲んだ後、舌を動かすなど唾液分泌を促して口腔内のpHを上げるか、水を含み舌を口蓋にこすりつけるようにして残渣を洗い流すようにすれば良いと思います。

 

コーヒーは嗜好品であるため「コーヒー中毒」という言葉がありますが、タバコやアルコールのような中毒性や依存性はありません。ただし、度を過ぎて飲むのは良いことではありませ。コーヒーは基本的に体にやさしい飲み物なのです。