日記

2023-12-22 06:29:00

9. コーヒーカップ

9.コーヒーカップ  

■種類・構造
コーヒーはアメリカやイタリアなど、それぞれの国の飲み方が日本に伝わっています。そのため、コーヒーカップもそれに合わせたものを使うようになりました。同じようにカップを使う飲み物として、紅茶がありますが、実は紅茶のティーカップとコーヒーカップにはわかりやすい違いがあるのです。
ティーカップは飲み口が広めに作られている一方で、コーヒーカップは飲み口を狭く小さめに作られていることが多くなっています。
その理由として、紅茶は高めの95℃ほどで淹れられることから、そのまま飲むと熱いため、少しずつ少しずつ冷ましながら飲むことを考えて、ティーカップは広めの飲み口となっています。なおかつ、紅茶の芳醇な香りを鼻からも楽しむという用途や意味も込められています。そしてコーヒーは、紅茶よりも低めの85℃から90℃程度で淹れるため、すぐに冷めないようにコーヒーカップの飲み口を狭く小さくしています。香りの楽しみ方も、紅茶のように飲む前というよりも、飲んだ瞬間に口から鼻にかけて広がる香りを楽しむので、その違いが、カップの形状に表されています。

レギュラーカップ
喫茶店で「ブレンド」などのコーヒーを注文した際に、使われることが多いカップです。カップに取っ手がついており、ソーサーと呼ばれるお皿とセットになっています。容量は120mlから150mlのものが多く、ドリップコーヒーの分量の目安である120から130mlに合わせていることと、冷めないうちに飲んでもらいたいということから、このタイプのカップが用いられています。陶器製や磁器製が一般的ではありますが、中にはガラス製のカップもあります。飲み口による違いや厚手や薄手といった違いがあり、お店によっては、コーヒーの風味ごとにカップを選ぶこともあるようです。例えば薄手で飲み口が広めのカップであれば、酸味があって軽めの味わいや、先に苦味を感じやすいことから、それを活かしたキリッとした味わいのコーヒーに向いています。厚手でなおかつ飲み口がストレートなカップなら、深煎りならではのコクと苦味を味わうのに向いています。

エスプレッソカップ
1800年代初頭のイタリアで誕生し、アメリカを経由して日本に伝わったエスプレッソを飲むための専用カップです。エスプレッソは、エスプレッソ用に細かい粉状に挽かれた豆を、エスプレッソマシンと呼ばれる機器を使用して20秒から30秒の短い時間で淹れるコーヒーです。ドリップコーヒーよりも使う豆の量が少なめですが、コーヒーの油分も含まれる製法のため、深みのあるコクと旨味、苦味や甘味や酸味の絶妙なバランスが特徴となっています。
エスプレッソカップは他のカップと比べてカップの大きさが小さめであり、20mlから30ml、または45mlから60mlのものがほとんどです。カップに小さめの取っ手がついており、飲む時はその取っ手をつまむようにして飲みます。エスプレッソはそのまま飲むこともありますが、本場のイタリアでは、食後に砂糖を入れて飲むことが一般的です。日本では、ミルクをたくさん使ったカプチーノやカフェラテとして飲むことが多いかもしれません。

デミタスカップ
デミタスカップはエスプレッソがちょうど2杯分入る程度の大きさのカップです。容量は60mlから90mlで、ソーサーつきで提供されます。デミタスはもともとフランス語の半分を意味する「デミ」と、カップを表す「タス」を合わせた言葉です。コーヒーのレギュラーカップよりも小さめのカップという意味合いで使用されています。エスプレッソの他、トルココーヒーやココアで使われるカップであり、カップとしての用途の他、砂糖やジャムの入れ物として使われることもあります。

マグ
日本ではマグカップと呼ばれて親しまれていますが、マグカップは和製英語であり、英語圏では「マグ」と呼ばれています。容量は200mlから250mlと多めであり、大きめの取っ手がついているのが特徴です。多めのドリップコーヒーやアメリカンコーヒー、カフェオレやココア、ホットミルクなどを飲む時に使われます。他にもポタージュなどのスープや、ヌードルを食べる時に使うこともあります。家庭用などに使われることが多く、オフィスでの休憩時や食事中に多く見かけるカップかもしれません。素材や色が豊富なため、プレゼントに使われることもあります。

カプチーノカップ
エスプレッソにミルクを加えた、カプチーノやカフェラテにて使われるカップです。ミルクを使用することが前提となっているせいなのか、保温効果を高めるために比較的厚めに作られているのが特徴です。あらかじめラテアートをすることを考慮して、カップの飲み口を広めにしたり、ミルクをカップに注いだ際に美しく流れるようにするために、カーブさせたデザインのものが多いようです。

タンブラー
もともとタンブラーというのは、取っ手のついていない筒状のグラスなどの容器全般を指すものなのですが、シアトル系カフェのおかげで、コーヒーカップの一種として認められるようになりました。容量は、マグカップと同じくらいの200mlから250mlのものから、より大容量の470ml程のタイプもあります。

アイスコーヒー用のコーヒーカップ
日本の喫茶店でアイスコーヒー用として使われる銅製のカップです。アイスコーヒーは日本で1891年(明治24年)に、東京神田小川町の氷屋にて、「氷コーヒー」として提供されたのが、文献として残っています。ただし、アイスコーヒーが喫茶店などのメニューとして普及し始めたのはもう少し後の1970年代以降。銅製のため、ヒンヤリとした冷たさがカップ全体に伝わることから、触れて楽しむカップでもあります。熱伝導の良さのため、ホットで使われることはほとんどありません。タンブラーの一種として紹介されるケースもあります。

コーヒーカップ・用途・容量
レギュラーカップ   ドリップコーヒー 120~150ml
エスプレッソカップ  エスプレッソ   20~60ml
デミタスカップ    エスプレッソ   60~90ml
マグ           ドリップコーヒー、カフェオレ、ホットミルク  200~250ml
カフェオレボウル  カフェオレ    200~250ml
カプチーノカップ   カプチーノ、カフェラテ  150?180ml
タンブラー      ドリップコーヒー等   200~470ml

一般的に米国ではティーカップよりも大きく、英国ではティーカップよりも小さい
手付き(取っ手付き・持ち手付き)、脚付き、これらの両方が付いた手脚付きがある。また、容器体と脚部(ホルダー)が分離しているものもある(インサートカップ)。
ティーカップと同様に取手付きのカップとソーサー(受け皿)をセットにしたものもある。また、コーヒーポット、ミルクピッチャー、砂糖入れなどとともにコーヒーセットを構成する。 一般なスタイルのコーヒーカップは、紅茶用のティーカップと比較して口が小さく、カップの上下での幅の違いが少ない。これは一説には、コーヒーの香りが飛んでしまうのを抑え、コーヒーが冷めるのを防ぐためだと言われる。 なお、北ヨーロッパでは、コーヒーカップの中でも特に背が高い、トールカップと呼ばれるコーヒーカップが好んで使用される。特に寒い時期は、このトールカップにホットコーヒーを注ぎ、それを両手で包むように持つことによって、手も温めている姿がしばしば見られる。
喫茶店の学校などでしっかりしたトレーニングを受けた店主や店員がコーヒーを提供する場合は、お客様から見て左側に「取っ手」が来るようにコーヒーカップを置く。これは「フレンチスタイル」などと呼ばれており、元をたどればフランス流である。なぜ左側に取っ手なのかというと、お客様はまずは砂糖やミルクなどを入れて、自然と(利き手のことが多い)右手でスプーンを持ってかき混ぜようとする。その時、カップをひっくり返さないようにそれを支えようとするが、それは自然と左手になるので、カップの取っ手は左側にあったほうが都合が良い(左側に取っ手が無いと、熱い部分を持ってしまうことになり、火傷をしかねない)。お客様はスプーンで混ぜた後にスプーンを置き(優雅に)カップを半回転させ右側に来た取っ手を持って飲む、というのがフレンチスタイルである。

 

■ソーサー
コーヒーソーサーは受け皿ではない。普段よく使う、マグカップという受け皿のないカップもありますが、来客時は、ソーサーの上にカップを置いてもてなすものです。しかし、カップだけでは粗相なので、上品に受け皿をつけてみただけなのでしょうか?もしくは、ただ単にこぼれた時の受け皿だと思っていませんか。実はどちらも違います。では一体、ソーサーの本来の使い方はどうなのか、現在のソーサーの使い道は何なのかをご紹介していきます。

コーヒーソーサー本来の使い方
18世紀ごろ主にフランスやイギリスでは熱いコーヒーを冷ますために、わざわざコーヒーソーサーにコーヒーを注ぎ、冷ましてからズルズルとすすって飲んでいたそうです。衝撃的な話ですが、これが本来のコーヒーソーサーの使い方のようです。
コーヒーの文化が入ってきた当初は、もともと茶碗のようなもので飲まれていましたが、もっと優雅にコーヒーを楽しみたいと、貴族達がコーヒーソーサーを使うようになりました。しかし、ヨーロッパの食器はほとんどが皿でしたので、その習慣のせいなのかコーヒーをソーサーに注いで飲むようになったのです。西洋人は猫舌で熱さに弱い人が多く、そのため中身の熱を冷ますためにわざわざ食事を移しかえて冷ましていたそうなのです。そのせいか、お皿もソーサーも、ほぼ同じ容量で作られていたようです。その後、やはりお皿が使いづらい事に気づき、今度はお皿に把手のような指を通して手で持てる部分を取り付けたのです。こうして、カップとソーサーが揃ったといわれています。

20世紀に役割を変えたソーサー
その後、その習慣は20世紀初頭まで続く事になり、20世紀中頃になってやっと、カップから直接飲む人が主流となりました。役目を失ったソーサーは深さも無くし、カップの収まりをよくするために「くぼみ」を作り、今の受け皿としての役割になったわけです。今でもコーヒーやスープなどに皿が用いられるのは、それの名残りだそうです。

現代のコーヒーソーサーの役割
ソーサーの深さは浅くなり、現代の形になりました。現代では昔のような飲み方をする人は実際にはいません。コーヒーを直接カップから飲むようになり、ソーサーの役割は、砂糖やミルクを置いたり、かき混ぜるスプーンを置くために使われるようになっています。

コーヒーソーサー本来の使い方と役割まとめ
ここで挙げた話からすると「必要ないのでは?」「ただ飾りとしてあるだけなんだ」と感じてしまうかもしれません。しかし、カップやソーサーがオシャレだと紅茶やコーヒーが美味しく感じるのは事実であり、「目で見て楽しむ」という役割があるように思います。一部のマニアの間では、皿にカップの中身を注いで飲んでいるらしいので、みなさんも1度試してみてはいかがでしょうか。

 

■カップの向き
マナー
スプーンは手前に置くのが基本です。スプーンは柄(え)の部分が右に来るようにします。カップの 持ち手の位置については、諸説あるのですが、コーヒーをブラックで飲む人がカップを持ってすぐそのまま飲めるように右側に来るようにするという考え方が主流のようです。
※ちなみに、正しいコーヒーの飲み方は、まずはミルクもシュガーも入れずにブラックでコーヒーそのものの味を味わってから、好みに応じて砂糖やミルクを入れる…とされます。まずブラックで飲むことを想定し、カップにワンポイントがないデザインの場合には、右側に来るようにするのが無難でしょう。

コーヒーカップの向きはカップの絵柄を最優先
カップの内側にワンポイントや絵が描かれている場合には、その絵が飲む人の正面に来るようにする(絵柄が正面に来るようにすると持ち手が右側に来るカップが多いようです)

しきたりに従う
喫茶店などでは、スタッフに持ち手の向きを決めて指導しているところもあるようです。例えば「持ち手が左側にくるように」という店では、ミルクやシュガーを入れるときにお客様が左手でカップを固定し、右手にスプーンを持ってかき混ぜたあと、持ち手をぐるりと右に持って来て「持ち手が左に来るようにし、スプーンは持つ部分が右に来るように」と統一しているお店もあるようです。

コーヒーカップ、取っ手の向きは右?左?
コーヒーカップをセッティングする時、取っ手は、右と左のどちらに向けても構わないようです。取っ手を右に向けるのは「アメリカ式」、左にするのは「イギリス式」といわれています。ブラックで飲むのであればスプーンを使う必要が無く、右手ですぐに飲めるアメリカ式は、ある意味アメリカらしい合理的なセッティングです。一方のイギリス式は、左手で取っ手を軽く持ち、右手で砂糖やミルクを入れてスプーンで混ぜるのに適しています。いただく時は、右手に取っ手を持ちかえ、ソーサーの上で右向きに半回転させてから持ちあげます。紅茶の文化があるイギリスらしいスタイルなのかもしれません。また、カップに模様がある場合、美しく見える方を手前にする、というのも基準になります。ソーサーに置くスプーンは、持ち手を右にしてセットするのが一般的です。使い終わったスプーンは、カップの向こう側に置きます。

 

■ハンドル
歴史
ヨーロッパにおけるイギリスの陶磁器産業はオランダ(デルフト)、ドイツ(マイセン)やフランス(セーブル)、さらにはオーストリア(ウイーン)などよりもはるかに遅れてスタートしました。イギリスでは、まず1740年代の後半より「チェルシー」に窯業が興りボウ、ダードー、ウースターなどが最盛期を迎え、染め付けはもとより、先発のマイセンなどのように日本の柿右衛門(色絵)様式や伊万里様式の写しの焼成もはじまりました。初期のものはデザインをハンドペイント(手描き)したもので生産量も多くありませんでした。そのうちに、素焼きの生地にデザインを焼き付ける「転写」(てんしゃ)の技術が開発されて、デザインもますます多様化していくと共に、食器の大量生産が徐々に行われるようになっていったのです。最初のうち、王侯貴族の茶会で使用される中国製の小型の茶碗は、我々が今日でも慣れ親しんでいる緑茶の茶碗と同じくハンドル(取っ手)がなく、英語で「ティーボウルTea-bowl)」と呼ばれていました。しかし、ティーが次第に普及していくにつれて、お茶会の席では優雅に"膝の上に受け皿にのせたティーボウルを持って上品な会話をしながら、塊になっていて溶けにくい砂糖をスプーンでかき混ぜる必要が多くなってきたために、1750年頃以降にはコーヒーカップと同様に、ティーボウルにもハンドルをつけて売られるようになりました。今日の「ティーカップ/ソーサー」(碗皿の組)の誕生です。しかし実際には1800年に入ってからも"ハンドル無しのティーボウル"は根強く多くの人達に使い続けられていたらく、その理由としてハンドル無しのティーボウルこそが「フォーマルなアフターディナー・ティにふさわしいものである」との考えと、そして、ホステス(茶席の女主人)としては「客人に小振りのボウルでティーを何杯もお代わりして楽しんでもらいたい」との願いも強くあったからです。
しかし、輸入茶の値段が下がり、少なくとも富裕階級に限られたとしても、より多くの人達が欲しいだけのティーを飲めるようになっていくと、一度のティーの席での飲用量が増えるとそれだけ茶碗のサイズが(当然、ティーポットのサイズも)大きくなっていきます。
そのうち、朝食にもエールなどに変わってティーが定番となるにつれて、より大型の茶碗が広く愛用される様になりました。こうした大振りの茶碗は "朝食用"としての位置付けがなされ「レス・フォーマルな機会」(フォーマルと呼べないような機会)にしばしば使用される様になっていったのです。
一方で"ハンドル"(取っ手)といえばアラブ人達の飲み物である「コーヒー用のカップ」には、相当早い時点でハンドルがつけられていました。ただし、このティーボウルにハンドルを付けるという発想は、たぶん「マグ」(Mugs)からきたものと考える人達もいますが、彼等の主張によると、古くからイギリス人達は、彼等の国民飲料であった「エール」(ビール)やホットワインなどを黒皮のジャグ、やマグ(いずれもハンドルつき)に注いで飲んでいた。だから少なくとも新興・中産階級以下の人達の選好としては、中国のモデルを東洋趣味そのもので模倣したりするのではなく、西洋における「茶道具」のモデルやデザインを、自分たちの創意と工夫で多種多様なものに発展させて、独自の文化を生み出していったのだ、というのです。
18世紀の後半から19世紀にかけて、上流階級の社交の手段として定着したイギリスの紅茶文化が、産業革命、そして商業革命などによって多数輩出した新興専門職・中産階級へと普及し定着していきましたが、丁度こうした時期にウースターやニューホールなどで生産され好評であった"スリーピースもののアンティーク現物"(受け皿1枚とハンドル付きのコーヒー・カップ、それにハンドル無しのティーボウルのセット)を手にしてみると、やはり彼等は「東洋の文化への憧れの象徴」として、長年にわたりハンドル無しの茶碗を使うこと自体に意義を見出していたのではないか、と考えさせられます。ちなみに、「セットとして受け皿一枚」というのは、1受け皿1枚でティーコーヒー兼用」という合理主義の精神がそこに見えるし、それは当時の陶磁器製品がまだまだ一般的にはとても貴重で高価であった証拠ではないでしょうか。

持ち方
慣れていないと持ちにくく感じるので、指を通した方が安定感があるから自然とみんなその持ち方になっているのでしょうか。親指と人差し指だけでつまむのではなく、中指、場合によっては薬指の先もちゃんと添えて持つのがポイントです。2本指で無理に持とうとすると落としかねないです。
「これからはちゃんと持とう!」と一念発起した方は一度家で練習しておくといいかもしれません。試すときは水を入れて実際の重さを合わせましょう。といっても、ちゃんと持っている人は本当に少数です。よほど上流階級な場所でなければ変に見られることもないと思うので、これでいーやって人はそれでいーと思います。(上のサイトでもありますが、映画やドラマなどでチェックしてみるのは面白いと思います)
ただ、正しい持ち方に慣れると指を通すのは逆に持ちにくくなります。だってよく考えてみてください。持ち上げて、下ろして、その度に指をわざわざ狭いところに通すなんて面倒なんです。
持ち手は指を通さない作りとして、リチャードジノリ等、指を通せないハンドルもあります。

 

■陶器 磁器
◇陶器と磁器の違い
1.原材料の面での違い
明らかな違いがあり、大雑把に言うと土と、石を砕いた粉(水など加えて粘土にして使いますが)の違いです。だから陶器を土もの、磁器を石ものと言う場合もあります。陶器と磁器の大きな違いは、その原料となる粘土の違いです。つまり、陶器はカオリンを含まない粘土(土質)を低温で焼いて作られるのに対し、磁器は石質即ち長石が主成分を成している磁土を高温で焼き使うのが大きな特徴です。陶器の起源は古く原始時代の土器から始まりますが、磁器が発明されたのは比較的遅く、北宋(960~1126)の景徳皇帝の時代(=景徳年間と称す1004~1007)ころと言われています(その磁土は、近くの「高領山」から採掘し、今ではその観音「カオリン」が磁土そのものの代名詞となっています)。

2.焼き方の面での違い
焼成温度は、陶器より磁器のほうが100度くらい高いのが普通です。陶器は主成分が粘土、磁器は主成分が陶石(とうせき)という石の粉末で陶石の方が耐火度が高いのです。陶器は800度~1250度 磁器は1200~1400度(せっ器は1000~1300度)焼き方には、大きく分けて酸化焼成と還元焼成があります。酸化焼成は、炎に対して空気を多く青っぽい炎で焼くもので、還元焼成はその反対に空気を少なくして赤黒い炎で焼くものです。陶器は、酸化焼成と還元焼成ともに使って焼成をします。磁器は還元焼成です。酸化焼成すると黄色っぽくなるので白い生地を見せたい場合普通はやりません。(全体に釉薬をかける場合はOK)

3.完成品を見ての陶器と磁器の違い
陶器を土もの、磁器を石ものというように、陶器は暖かい味わいや表面の素朴な風合いが楽しく、逆に磁器は白くガラスのような滑らかさ硬質さが魅力です。具体的に陶器にはどんなものがあるかというと、日本ではたぬきの置物で有名な信楽焼き、萩焼き、備前焼きなどがあり、西洋ではデルフト焼きなどです。磁器のほうは、普段よく見掛ける美濃焼きや骨董で人気の伊万里、西洋ではマイセンやリチャード・ジノリが製造しているようなツルツルとした表面のもの、中国や韓国の青磁や白磁と呼ばれるものなどです。

素人向きの見分け方
1.磁器の色は、(スーパーホワイトのようなもの、黄味がかったもの、磁器だけれど色釉をかけたもの、金箔で覆ったものなどもありますが)ほぼ白色だと思って大丈夫です。陶器は、色は釉薬によって白、赤、黒、青、緑等多種多様な色があります。

2.音は、フチを指ではじいてみると陶器は鈍い音がする、磁器はピンピンとかカンカンとか金属製の高い音がする。

3.透明性は、日にかざしてみると 陶器は透けません、磁器は若干透けて見える。

4.吸水性は、陶器は若干しみこむ程度ですが生地が水分を吸い込むことが知られています。磁器はまったく吸水性がありません。この吸水性により萩の七化け等、陶器に味が出てくる要因なのです。

5.貫入(細かなヒビが入ること)について、陶器は透明釉など厚くかかった釉薬(ゆうやく、うわぐすりのこと)に顕著に出る、磁器は上薬が薄いので肉眼ではほとんど見えない(実際には微細な貫入が入っているのですが)。
  貫入は釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉のヒビのことでキズではありません。

6.また壊れ方や様子にも違いが見られます。陶器はフチや肉厚の薄い部分が壊れやすいのに対して、磁器はそのような傾向は無くその硬さゆえ壊れると角がたち、角度が鋭利なためうかつに触ると危険です。

7.最後に取って置きの陶器と磁器の見分け方ですが、作品をひっくり返して丸い輪の部分これを高台(こうだい)と言いますが、高台が茶色くざらついているのは陶器、白くてなめらかできれいなのは磁器だと大体判別できます。

 

◇ボーンチャイナ
ボーンチャイナはJIS規格でも「ボーンチャイナ食器」として定義付けられています。それによると、「ボーンチャイナとは素地が少なくとも、りん酸三カルシウム、灰長石及びガラス質からなるもの」とあります。この中のりん酸三カルシウムというのが骨の主成分をなす物質で、ボーンチャイナ製品と表示するには、りん酸三カルシウムが30%以上含有することが定められています。ちなみにウェッジウッドのファインボーンチャイナは50%超の焼成牛骨灰を含有しています。ボーンチャイナがすべての白磁器に勝るかといえば、けっしてそういうわけではありません。日本の誇る高級洋食器ブランド大倉陶園や、世界的名窯マイセンなどはボーンチャイナではなく、通常の白磁器を使用しています。これらの窯は、上質のカオリンを吟味して原料とすることで、優れた白磁器を生み出しています。このようにボーンチャイナが絶対的なものではありませんが、例えば「ノリタケチャイナ」と「ノリタケ・ボーンチャイナ」あるいは、「ナルミチャイナ」と「ナルミ・ボーンチャイナ」の2種類の洋食器を比較した場合、「ボーンチャイナ」素材のほうが優れていると考えて間違いないでしょう。
kaolinite の名は、中国の有名な粘土の産地である江西省の高嶺(カオリン:Kaoling)に由来します。高嶺で産出する粘土は、景徳鎮で作られる磁器の材料として有名です。また、同質の粘土(鉱石)はカオリン(kaolin)と呼ばれています。

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