日記
27. コーヒーの滓(かす)
27.コーヒー豆の滓(かす)
インスタントコーヒーで有名なネスレ日本が、国内のコーヒー業界4団体から脱退しました。脱退理由は、「レギュラーソリュブルコーヒー」の商品表示を業界が認めないからということでした。業界定義が合わないゆえの選択です。名前を変えたから、また製法を変えたとしても、お湯を注いで飲むことに変わりありませんから、インスタントコーヒーがわかりやすかい表現かと思います。もし知らない人が「レギュラー」の表示で購入したら、ドリップしてしまうかもしれません。ネスレ日本ではレギュラーソリュブルについて、「この商品は、細かく砕いた焙煎豆を抽出液の中に混ぜ合わせ、インスタントコーヒーの中に包み込む製法で作ったものです。この細かく砕いた焙煎豆は、飲んだ後のカップの底に残ります。これを弊社では「クレッセント(三日月)」と呼んでおります。これこそが淹れたての香りと味わいの証です。」と説明しています。カップに残る滓(かす)といえばトルコ式が有名ですが、トルコ製小鍋を使い煮出して抽出するコーヒーです。それはもう滓を超えて泥状なのですが、泥の絵柄から運勢を占う習慣もあります。
●滓(かす)は病気のもとにもなる
滓は不味いコーヒーの象徴みたいなものです。エチオピアの生産地で、ヤカンとか鍋で煮出したコーヒーを飲むわけは、高価な道具が不足だからで、日本人には不慣れです。北欧でもつい最近までバイキング式の煮出コーヒーが飲まれていたようですが、国の健康施策も手伝って今では
ペーパードリップ式に変わったそうです。滓の何が悪いかと言うと、コーヒー滓にへばりついている化学成分ジテルペンが原因です。コーヒーのジテルペンには2つあって、そのどちらでも飲めば血中コレステロールと中性脂肪が上昇します。もう1つの影響は、飲んだ人の多くで血中ホモシステインが上昇します。コーヒーと病気の関係を調べた疫学調査では、高血圧と高脂血症の2つでは、コーヒー滓が良い影響を与えることはないという報告です。特に高脂血症の人がコーヒーを飲むとほぼ確実に血中脂質が上昇します。高血圧の人が飲めば、血管に悪いホモシステインで悪循環が起こります。それでもコーヒーを飲みたいというのなら、ろ過したコーヒーを飲むことだということです。
●メタボの人、メタボになりたくない人は、コーヒー滓は避ける
ドリップ式(ペーパー、コットンなど)で淹れたコーヒーにジテルペンはほとんど入っていませんが、コーヒー滓も飲んでしまうトルコ式や煮出コーヒーには50倍~100倍も入っています。そんなコーヒーを毎日飲んだら、高血圧、高脂血症が悪化しても不思議はありません。
コーヒーは淹れる道具によって抽出されるエキスも味も随分違ってきます。ドリップコーヒーは旨味成分だけを贅沢に抽出するコーヒーで、ブラックで飲む日本人には一番合っているのです。このドリップコーヒーは美味しいだけではなく健康にもとても良いコーヒーだということが、データから判明しました。コーヒーのエキスにはカフェストールとカフェオール(コーヒー・ジテルペンともいわれている)という物質が含まれいます。これを称して「コーヒー・ジテルペン」というそうですが、この成分は焙煎されたコーヒー豆そのものに多く含まれていて、肝臓のコレステロール分解酵素の働きを阻害する作用があり、高脂血症の発症を促します。要は、血糖値を上げる作用があるという事です。
コーヒージテルペンが多く含むターキッシュ・コーヒー
①「コレステロール値を高める成分カフェストールとカーウェオール」
コーヒー生豆には他の植物にはないジテルペン類が含まれています。カフェストール(C)とカーウェオール(K)です。どちらもパルミチン酸エステル(CPとKP)として含まれています。パルミチン酸は長鎖脂肪酸の1 種なので、CPとKPは中性脂肪に分類されます。中性脂肪は油に溶けるが水や湯には溶けません。しかもCPとKPは熱に強いので、焙煎しても分解しないのです。強く焙煎すると、CPとKPが油とともに豆の表面に浸み出して黒光りします。焙煎した豆を開封したまま何年も放置しておくと、黒光りすることもありますが。CPとKPを飲むと、消化酵素で分解され、CとK になって吸収されます。CとK の薬理作用として、発がん物質による発がんを抑制し、コレステロールから胆汁酸への代謝反応を抑制するといわれています。発がん抑制は人体にとって有益ですが、コレステロール代謝の抑制は高脂血症の原因となります。総じて言えば、CPもKP も健康にとっては有害であり、コーヒーの飲み方に工夫を要する理由となるのです。
②抽出液中のCPとKP
コーヒーには種々の抽出法があり、抽出液のCPとKP の濃度はまちまちです。CPとKP は湯に溶けないので、抽出液に溶け出すことはありません。CPとKP は「コーヒー滓」のなかに残っているのです。従って、コーヒー滓の混ざったコーヒーを飲むと、CPとKP が吸収されて血中で観察されます。
a.煮出コーヒー、トルココーヒー、プランジャーで淹れたコーヒーにはCP とKP が多い
この種のコーヒーを毎日飲んでいると血中総コレステロール値が高くなる。高脂血症の人が飲むと影響は更に大きい。
b.エスプレッソとモッカ(直火式エスプレッソ)にも滓が混ざるが、その量は(a)の3分の1 程度である
1日に2~3杯を飲む程度ならば健康への影響は少ないと考えられる。しかし5杯以上を飲むようだと高脂血症のリスクが高まる可能性は大きい。
c.安心して飲めるコーヒーはネルか紙のフィルターを通したドリップコーヒーで、CP もKP もほとんど混入されない。
d.滓以外にもCPとKP が抽出液に混ざる原因がある。コーヒーオイルである。 コーヒーオイルが混ざった抽出液は、その表面にマーブル状の油膜が張る。この油膜にCP とKPが溶けている。滓と同様に、飲めばコレステロール値が上昇する。コーヒーオイルは味をよくするという人もいるが、専門家の中には否定する意見もある。健康のためにも味のためにも、コーヒーオイルは飲まない方が無難であるという。
以上をまとめると、「コーヒーの滓とオイルは飲まずに捨てる」というのが健康コーヒーの必要条件である。北欧の国々では高脂血症になる人が多く、その原因を調べていくと、大量にコーヒーを飲むことに起因していたそうです。それも、エスプレッソやボイルドコーヒーと呼ばれるコーヒー粉にお湯を注ぎ、ペーパーや布フィルターなどで濾過しない抽出方法だったことが分かっています。日本式の布やペーパーフィルターのドリップコーヒーで淹れたコーヒーは、滓に多く含まれるといわれるジテルペンがフィルターで濾過されてほとんど抽出されません。結論として、布やペーパーフィルターで濾したコーヒーであれば、高脂血症の予防に効果があるということです。布やペーパーで淹れるドリップコーヒーは、美味しくて健康にも良いまさに夢のようなコーヒーといえます。
●コーヒーグラウンズ
抽出後のコーヒーの粉を「コーヒーグラウンズ」と呼びます。そのまま捨てがちな抽出後のコーヒーの粉(コーヒーグラウンズ)には、毎日の生活を便利にする再利用方法がたくさんあります。ドリップしてコーヒーを楽しんだら、あとに残った粉を廃棄せず乾燥させて、活用してみましょう。
主な乾燥方法は「煎る」「電子レンジで加熱」「天日干し」の3つです。
天日干し 新聞紙などにコーヒーの粉をのせ、天日干しにします。干している間2~3回程度ざっくり混ぜ、完全に乾けば出来上がりです。
電子レンジで加熱
コーヒーの粉をお皿にのせて、レンジで加熱して乾燥させます。目安はコーヒーの粉20g(ドリップ2杯分)に対して600Wで3~4分。この方法だと、レンジも脱臭してくれるので、一石二鳥です。
煎る
フライパンや鍋で煎ることで簡単に乾燥できます。焦がさないように弱火でゆっくり煎るのがポイントです。
●抽出後のコーヒーの粉(コーヒーグラウンズ)|再利用方法
1. 肥料・堆肥
家庭菜園や植物の肥料・堆肥として最適です。コーヒーは、表面に多くの気孔がある「多孔質」と呼ばれる構造をしています。土壌を整える役割を果たしてくれるのです。ただし肥料にする場合、コーヒーの粉は必ず発酵させてください。 庭などにそのまま撒いても、肥料としての効果はありません。ダンボール等に腐葉土を入れ、乾燥させたコーヒーの粉を入れて混ぜます。毎日軽く混ぜて空気を中に取り込み、十分に発酵したら完成です。発酵の目安は温度です。触れたときにほのかに温かみがあれば、発酵がしっかりと進んでいる証拠です。
2. 消臭剤・脱臭剤
乾燥させたコーヒーの粉を袋や布にくるむか、もしくは蓋の開いた容器に入れます。あとは消臭・脱臭したいところに置くだけです。
3. 除草
コーヒーグラウンズには、植物の育成を阻害する物質が含まれており、雑草の繁殖を防ぐ効果があります。 肥料・堆肥にする場合は他の材料と混ぜて発酵させる手間が必要ですが、除草の場合は雑草を抑えたい場所にコーヒーの粉を撒くだけです。
4. 虫除け・猫除け
コーヒーは、アリや蚊などの昆虫、ナメクジやカタツムリ、猫が嫌う香りです。 そのため家の周りや生け垣、外壁付近の地面に、コーヒーグラウンズを撒くと、害虫除け・猫除けの効果があります。
5. 入浴剤
コーヒーの香りが好きな人には、コーヒーグラウンズを香りが楽しめる入浴剤代わりにするのものおすすめです。使い方は、コーヒーの粉をさらしなどに入れて、お風呂に入れるだけです。
6. 洗剤代わり
グラスや瓶などガラス製の食器を洗うときに、乾燥させたコーヒーグラウンズを洗剤代わりに使うこともできます。コーヒーを少量入れて振り洗いすると、食器がきれいになります。油で汚れた食器なども、コーヒーの粉をつけてこすれば汚れが落ちます。
7. 染料・塗料
コーヒーグラウンズを煮だしてコーヒー液を作り、染料・塗料として使うのもおすすめです。コーヒーの色を利用して、日曜大工で家具の塗料やキズ直しとしても活用できます。 コーヒーの種類や焙煎の具合によってコーヒー液の濃さが変わるので、染め物に使う場合は、いろいろ試して
自分の好みの風合いを楽しんでみましょう。
8. 靴磨き・金属磨き
コーヒーグラウンズに含まれている油分が靴磨き・金属磨きに適したつやを出してくれ、ワックス代わりになります。 使い方は、乾燥させたコーヒーの粉を布に包んでやさしく磨くだけです。
9. 針山(ピンクッション)
針山(ピンクッション)の中身として、綿の代わりに乾燥させたコーヒーグラウンズを使うのもおすすめです。 コーヒーの粉の油分が針を保護して布すべりが良くなります。錆防止の効果もあります。
26. 雪室コーヒー
26.雪室コーヒー
雪室の特長
①1年を通して、一定した低温・高湿度環境が保てる
雪室の内部は、35度の真夏であっても-8度の真冬であっても、通年を通して温度が一定となります。雪室の構造によって0度の雪室、5度の雪室、など一定温度の違いはありますが、通年を通して温度のゆらぎがありません。冷蔵庫は平均4.8度を保つためにサーモスタットが起動し、10度~-1度の間で温度のゆらぎを起こします。その温度差により食品の細胞が傷みやすくなり、美味しさの維持に影響があります。また雪室は湿度90%以上の高湿度環境です。湿度の高いうるおい空間のなかで食品保存することで、乾燥を防ぎ鮮度を維持します。低温・高湿度環境の雪室は湿度の低い冷蔵庫と比べ、圧倒的な鮮度保持能力があり、元々の新鮮さに近い状態での保存が可能なのです。
②振動、光による影響を受けないストレスフリー熟成
雪室は自然エネルギーである雪を活用するため、電気の振動がありません。また冷蔵庫のような開け閉めによる光の変動、温度の変動も受けません。この外部からの影響を受けない状態を「静置(せいち)」といいます。静置状態に置かれた食品は、ストレスが少ないため状態の良い熟成をすると言われています。
③熟成による味覚の変化
静置状態で良い熟成を行った食材たちの中で、味覚に変化を及ぼす食品があります。例えば野菜、米などの穀類は寒さからこおらないよう身を守るため、体内のでんぷんを糖分に変化させます。これを糖化現象といいこの作用により食品が甘くなるのです。また雑味がとれる、苦味が抑えられるといった味覚の変化を起こす食品が存在します。昔から雪中貯蔵と言われお酒などが有名ですが、不思議と味がとろりとまろやかになるなど、様々な変化をします。この雪がもたらす味覚の変化を数値的に解明していくため、各種学術研究機関と連携して成分調査が進められています。
④低温による劣化防止、呼吸を抑えることによる酸化防止
雪低温状態に置かれた食品、特に細胞の生きている状態のものは寒さに耐えるため、呼吸を控えます。このプチ冬眠といえる状態は、食品の劣化・酸化を抑えます。
⑤自然との共存、雪エネルギーの活用
雪室は雪を再利用する、自然リサイクルエネルギーです。雪は生活をしていく上で厄介なものですが、雪国新潟では「利雪=雪を利用し、共存する」という考え方が発展してきました。50年ほど前に電気冷蔵庫の発展により廃れかけた雪室は、エコの意識の高まる現在、大きく見直されてきています。雪を1トン利用することで、石油を10リットル、CO2を30kg削減すると言われています。1個の雪室に入れる雪の量は年間400トン~700トンです。かなりの削減になります。
コーヒーを生豆の状態で輸入し、雪室に貯蔵します。地区により異なりますが概ね湿度が100%近く、温度が1~3度くらいです。湿度の高い雪室で熟成することにより水溶性の不快な香り成分が雪の湿気にすわれて飲みやすくマイルドになります。
雪室でコーヒー豆を貯蔵することによって、アルデヒド類の不快な香りの成分が減少し、甘い香りや、香ばしい香りを含むビラジン類、コーヒーらしい香りを含むフラン類の構成比率が上昇します。(新潟県立大学健康栄養学科・新潟農業総合研究所食品研究センター)
雪室とは雪国で歴史的に伝わっている雪を使った食料の保存方法です。
コーヒー豆に限らず米や野菜、お肉など幅広い食べ物がこの雪室というところで保管され、天然の雪によって鮮度を保たれます。雪室内は温度0℃で湿度90%以上を常にキープしており、光や乾燥で食品が劣化することがないことから、美味しい状態で食べ物を保管することができる
と言われています。雪室を活用することによって、お酒やコーヒー豆はを熟成させることができ、熟成のタイミングで発生する不快臭も雪の作用によって抑えられると言われています。雪室という保存方法は伝統的に雪国で行われているようですが、その中でもコーヒーに関しては新潟にある雪室珈琲屋という所が有名なようです。
25. コーヒーの甘み
25.コーヒーの甘み
日本スペシャルティコーヒー協会SCAJでは、スペシャルティコーヒーの判定尺度としての『甘さ』について以下のとおり触れています。「コーヒーのチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、且つ熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚。甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分・要素との結合にも依存する。又、糖分が高くても、甘さを感じることを阻害する要因、辛さのある苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等が有ると甘さを感じにくくなる。」
つまりコーヒーの甘さというのは、
・コーヒーチェリーの熟し具合に大きく依存する
・ひとつの成分由来ではない
・成分と要素との繋がりによって感じるもの
と、読み取れます。
◎生豆の主な成分
全多糖類・・・51% 少糖類・・・7% 脂質・・・15% タンパク質・・・12% その他・・・16%
◎焙煎豆の主な成分
全多糖類・・・36% 少糖類・・・2% 脂質・・・19% タンパク質・・・16% 有機酸・・・19% その他・・・9%
コーヒー豆中の成分を見ると、甘さと直接関係があるのは、少糖類(オリゴ糖など)のみです。また、直接的な甘さ成分ではないものの、甘みに繋がりそうな成分は微量成分であるため、その他の中に含まれます。
焙煎前後を比較すると、直接的な甘さ成分である少糖類は、焙煎によって減少していることがわかります。さらに、抽出時のロスもありますので、どれだけ熟したコーヒー豆を使っても、焙煎や抽出が適正でないと、甘さ成分はゼロに等しいほど無くなってしまいます。
たとえ適正な焙煎や抽出がされたとしても、コーヒーの液体中の濃度は低く、甘さを感じさせるほどのものかは疑問があり、コーヒーのもつ甘さの正体は、はっきりとはわかっていないというのが事実です。
24. シュガーと甘味料
24.シュガーと甘味料
グラニュー糖がコーヒーなどに使われるのは、ざらめ糖より結晶は小さいけど蔗糖(しょとう)の純度が高いため、クセのない淡白な甘味が香気を大切に保つことが出来るからなのです。同様に、グラニュー糖を整形して作った角砂糖もコーヒーなどに使用されます。グラニュー糖にカラメルを混ぜて溶かし、再結晶したものを茶色くしたコーヒーシュガーがあります。カラメルの芳ばしい香りがあって、コーヒーの香りを高める効果があるのですが、カラメル味とコーヒーの苦味が絡み合い、しつこく感じることもあるようですので好みでお使い下さい。
まとめると、コーヒーをさっぱりとした甘味に仕立て、香りを生かす場合にはグラニュー糖を選び、コーヒーの苦味を抑え、舌ざわりを濃厚に仕立てる場合はコーヒーシュガーがよいのではないでしょうか。
■砂糖の種類と特徴
砂糖の種類は、含みつ糖と分みつ糖の2つに大きく分けられます。含みつ糖はさとうきびの全成分をそのまま煮詰めたもので、その代表格が黒糖(黒砂糖)です。分みつ糖は絞り汁から糖蜜を分離したもので、一般的に使われる白砂糖です。
◇ザラメ
双目糖(ざらめとう)は、ハードシュガーとも言われ、上白糖やグラニュー糖のように特定の砂糖を指すものではなく、特定の性質を持った砂糖の総称です。上白糖のしっとりした感じの砂糖と比べて、ザラザラした感じの砂糖で、一粒一粒の結晶が上白糖と比べて大きく、大きな結晶のものは、結晶が目でしっかり確認できます。ザラメ糖の特長は「大変に純度の高い砂糖」だということです。他の砂糖と比べて、砂糖の主成分であるショ糖の割合が高くなっています。
◇上白糖
日本人好みのしっとりとしたソフトな感じと風味を持つ。白砂糖ともいわれ、調味料、菓子用、飲み物用に適する。
◇グラニュー糖
結晶は上白糖より大きく、サラリとした感じの高純度の砂糖。クセのない淡白な甘さで、コーヒーなどに最適。
◇角砂糖
グラニュー糖を四角に固めたもので、コーヒーなどに使用される。形が決まっているので甘さの調節がしづらい。
◇コーヒーシュガー
氷砂糖の一種。カラメルで茶褐色に色づけされている。徐々に溶けていくため、甘さが変化する。
◇顆粒状糖
多孔質の顆粒状をした高純度の砂糖。非常に溶けやすいので、アイスコーヒーなどの冷たい飲み物に適している。
◇ガムシロップ
砂糖を水で煮詰めた物。非常に溶けやすいので、アイスコーヒーなどの冷たい飲み物に適している。
◇黒糖
沖縄県、鹿児島県の離島で主に生産される含みつ糖の代表的なもので、さとうきびの搾り汁をそのまま煮沸濃縮し、加工しないで冷却して製造したものをいう。糖分の他にカリウム、カルシウム、鉄等多くのミネラル成分を含み、特有の香味がある。
◇エリスリトール
エリスリトールは発酵食品に含まれている糖質です。糖アルコールに分類される甘味料で、果実やキノコの他、ワイン・清酒・醤油・味噌などの発酵食品に含まれている糖質であり、十分な食経験が積み重ねられた食品です。ぶどう糖を原料として酵母を用いた発酵により生産されます。
糖質は、エネルギー値 0kcal/gであり、優れた生理学的特長を持つ『健康志向の食品素材(砂糖代替甘味料)』といわれています。
◇マルチトール
でん粉から作る麦芽糖を原料とした糖アルコールです。糖アルコールは野菜や果物などにも含まれています。糖アルコールといってもエタノールを含まないためアルコールではありません。マルチトールなどの糖アルコールは、砂糖と比較して甘みが弱くクセのない甘さが特徴です。また体内でほとんど吸収されないことから、ガムやチョコレートなどの低カロリー食品に使用されています。さらに食品に甘さを加えるだけでなく、食品の水分を保つ働きもあります。糖アルコールは元々天然にあるものを合成して作ることから合成甘味料と間違いしがちです。しかし天然にあるものから作るため合成甘味料にあたりません。
◇ラクチトール
ラクチトールは乳糖を起源とする、ガラクトースとソルビトールとから構成される二糖類の糖アルコールである。、低カロリーで砂糖の約40%の甘さを持ち、代替甘味料として用いられ、焼き菓子などのサクサク感を向上させます。
◇トレハロース
トレハロースは、スクロース(砂糖の主成分)やマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖、母乳などに含まれる)などと同じ、天然に存在する糖の一種です。トレハロースのほとんどはトウモロコシなどのデンプンから作られています。大きな特徴は、パンや餅などのやわらかさと湿度を保ち、老化を防止する効果が高いこと。砂糖の約40%の甘さであるとされ、甘味はそれほど強くありませんが、パンや和菓子、洋菓子、惣菜、レトルト食品など、幅広い加工品の原料として重宝されています。
◇キシリトール
キシリトールは、多くの果実や野菜に含まれる天然素材の甘味料です。しかし、私たちが普段口にしているガムやタブレットに入っているキシリトールは、白樺の木などからとれる成分を原料に人工的に作られたものです。むし歯の原因となるミュ―タンス菌が、私たちが食べたり飲んだりしたものに含まれる糖分を栄養にして増殖し、酸を作り出します。しかしキシリトールは、ミュ―タンス菌の活動を弱め、徐々に減少させる働きがあります。
◇パラチニット
パラチニットとは砂糖から作られた低カロリーの還元糖の事です。カロリーは砂糖の半分で、砂糖に似た良質の甘味を有しています。べたつきが少なく、熱しても色がつきにくいので、あめ細工にも最適です。
◇ソルビトール
海藻類や果実類(梨、リンゴ、プルーンなど)に比較的多量に含まれている天然の糖アルコールです。甘さは砂糖の7割くらいです。糖アルコールは胃や腸で消化吸収されにくいため、エネルギーとしてあまり利用されません。ノンカロリーとかシュガーレスとうたった食品(チョコレートなど)の甘味料としても使われています。
■ショ糖
ショ糖は化学的にはスクロースといい、砂糖の主成分です。ブドウ糖と果糖の2つの単糖で形成されています。ザラ目糖の中に含まれているショ糖の割合は99.9%、グラニュー糖ではショ糖の割合が99.9%です。砂糖の主成分が「ショ糖」というよりも、ショ糖そのものです。「砂糖」と「ショ糖」を区別するならば、砂糖は台所にある調味料の名前、ショ糖は実験室にある成分の名前くらいです。
■果糖
果物やハチミツに含まれている「果糖(フルクトース)」とは、ブドウ糖と同じく糖の種類を分子のつながり度合から3種類に分類した中の最も小さい分類、一つだけの分子からできている単糖に該当します。果糖の甘味度は(ショ糖と比較して)1.2~1.5ほどの甘さで、カロリーは砂糖と同じく1gあたり4キロカロリーほどです。果糖は水溶性が高く、室温の水にはその4倍量の果糖が溶けるほどで保湿性や吸湿性も優れているため、焼き菓子に加えてしっとりさせる効果もあります。冷やした果物は甘く感じませんか、果物には果糖、ショ糖、ブドウ糖が含まれていますが、果物の種類によって糖のバランスが異なります。果糖は糖の中でも甘味度が変化しやすく、特に果糖が多く含まれている果物では温度変化によって糖の化学的構造が変化します。低温になると最も甘味が強い六員環構造(6つの原子が環状でつながって構成されている)になり、温度があがるとより甘味の少ない五員環構造(5つの原子が環状でつながって構成されている)に変換されるのです。果物の種類によって果糖の量に差があるので、果糖が多く含まれているリンゴやキウイ、梨やブドウなどは冷やすと甘さを強く感じやすいのです。一方で、ブドウ糖やショ糖が多く含まれているバナナや柿、桃などは冷やしても甘みは増しません。
■清涼飲料水に含まれる果糖ブドウ糖液糖
清涼飲料水の原材料欄に「果糖ブドウ糖液糖」と書かれているのを見たことはありませんか、これは異性化糖といって、トウモロコシやジャガイモなどに含まれる「でんぷん」から作られています。異性化糖はブドウ糖分子が数千個つながった状態でできている「でんぷん」を分解し、バラバラとなったブドウ糖に酵素を加えて一部を果糖にした混合液です。また、似たような名前で「ブドウ糖果糖液糖」もありますが、こちらも異性化糖です。中に含まれる果糖とブドウ糖を比べて、果糖が多い場合は「果糖ブドウ糖液糖」、ブドウ糖が多い場合は「ブドウ糖果糖液糖」といいます。果糖は冷やすと甘みが増す性質から、清涼飲料水やアイスクリームなどの製品に使用されています。
■甘味料をとりまとめて
糖類には、単糖類と二糖類があります。単糖類はそれ以上分解されない糖類を指し、単糖類二つが結合してできた糖を二糖類といいます。その他に多糖類と呼ばれる糖類があり、単糖類がいくつも連なった物質の総称です。
・単糖類・・・ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなど
・二糖類・・・麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)、トレハロース。バラチノース、水飴など
・多糖類・・・デンプン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、カラギナンなど
甘味料は、「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の大きく2種類に分けられます。糖質系甘味料は、体に吸収されると食後の血糖値を上昇させます。非糖質系甘味料は、砂糖の数十倍から数百倍の甘さがありますが、少ない量で甘くて低カロリー・低糖質な食品が実現できます。また、人工甘味料はブドウ糖を含まない甘味料なので、血糖値を上げません。しかしブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。甘味を感じているのに血糖値が上がらないので体内のバランスが崩れ、脳からたくさん食べて血糖値をあげるように命令が出るとも言われています。
①糖質系甘味料
・砂糖
・でんぷん由来の糖・・・ブドウ糖、麦芽糖、果糖、水飴、イソマルオリゴ糖、トレハロースなど
・その他の糖・・・フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、乳糖など
・糖アルコール(人工甘味料)・・・ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールなど
②非糖質系甘味料
・天然甘味料・・・ステビア、甘草(グリチルリチン)、羅漢果(ラカンカ)
・合成甘味料(人工甘味料)・・・サッカリン、アスバルテーム、アセスルファムK、スクラロース
糖類とは、単糖類と二糖類のことです。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものであり、多糖類や糖アルコール、糖類を指します。つまり、糖類ゼロと糖質ゼロは異なります。糖質ゼロの方が広範囲です。
人工甘味料とは
人工甘味料は、化学的に合成されて作られた甘味料で糖アルコールと合成甘味料が該当し、カロリーを抑えた砂糖の代替甘味料として使用されます。商品に使われるときは砂糖の甘さに近づけるため、いくつかの人工甘味料を併用しています。人工甘味料が使われているのは、主に清涼飲料水やガムなどの食品です。カロリーゼロやカロリーオフと書かれているものには、人工甘味料が使われている可能性が高いといえます。人工甘味料は、肥満予防や生活習慣病改善に役立つ可能性があることから、カロリー低減製品の需要の高まりとともに注目が集まっており、今後もますます市場は広がっていくものと考えられます。化学的に合成されたものであることは確かですが、使い方次第では身体にとってよい作用をもたらしてくれる場合もあるのです。「化学」という言葉自体が否定的に見られることもありますが、人工甘味料について正しい知識を持ったうえで、生活に役立てることです。
砂糖を含む甘味料は「糖質系」と「非糖質系」に大別されます。このうちの「非糖質系」甘味料には天然甘味料と合成甘味料があり、それぞれ次のような特徴があります。
・天然甘味料……植物の葉などに含まれる甘味成分を抽出したもの。
代表的なものにステビアや甘草などがある。
・合成甘味料……化学合成によって作られた甘味料で砂糖の数百倍の甘味度を持っている。
代表的なものにはアスパルテームやアセスルファムカリウム、
スクラロース、サッカリンなど。
例えば、合成甘味料であるアスパルテームは砂糖と同じく1gで4kcalなのですが、甘味が砂糖の200倍にもなるため、少量の使用で甘い味付けをすることが可能です。すっきりとした後味が特徴で、苦味を隠したいときなどに使われています。アセスルファムカリウムの甘みは、アスパルテーム同様砂糖の200倍となっています。しかしカロリーは1gで0kcalとなっており、低エネルギー食品を作る際は大変役に立ちます。合成甘味料は砂糖よりも甘味が強いので、同じ甘さを付けたいときに使用量を抑えることができます。砂糖とカロリーが同じ場合であっても、使用量が少なければカロリーが上がらないというわけです。合成甘味料を使った食品が低カロリーなのは、強い甘味を持つからということがいえます。一方、天然甘味料に含まれるトレハロースは、甘味度が砂糖の半分以下で上品な甘みがあります。砂糖をトレハロースに置き換えても低カロリーにできるわけではありませんが、素材そのものの味を引き出し、柔らかくあっさりとした味わいになるほか、保湿・老化防止の効果といったメリットもあります。
人工甘味料のうち、合成甘味料を使う大きなメリットとしては、まず低カロリーな特性によって摂取カロリーが軽減できるということです。また、砂糖と比較して食後の血糖値が上昇しにくいことからも、肥満や糖尿病の予防・治療に有効であると期待されています。さらに非糖質系甘味料であることから微生物発酵がなく酸を生成しないため、虫歯の予防にも適しています。街で見かけるカロリーオフやカロリーゼロと記載されている低カロリー食品には、大体合成甘味料が使われています。飲料であれば砂糖が使われているものと合成甘味料が使われているカロリーゼロタイプの2種類どちらかを選ぶことになります。
また、低カロリー甘味料として調味料も販売されており、こちらは砂糖の代わりとして普段の料理に使うことができます。体重が気になる人や血糖値が気になる人には普段の料理でも役立てられることでしょう。
糖アルコールや合成甘味料などの人工甘味料は安全性が認められたもののみ使用が許可されていますが、腸内フローラに悪影響を与える可能性や、糖尿病のリスクが高まるなどのデメリットが伝えられています。一方で、天然甘味料であり、腸内環境を整える働きのあるオリゴ糖も、急に摂取すると下痢を起こしてしまう場合があることはよく知られています。そこで、オリゴ糖が摂れるはちみつで甘みを足し、食物繊維も豊富なバナナを組み合わせるなど、工夫したメニューもありです。
合成甘味料の種類と特徴は
合成甘味料は、「本来自然界に存在しないが化学合成で作り出した甘味料」が該当します。代表的なものとして、A.アスパルテーム、B.スクラロース、C.アセスルファムカリウム、D.サッカリン(およびそのナトリウム塩とカルシウム塩)があります。
A.アスパルテーム
アミノ酸を基にしたもので、砂糖の約200倍の甘みを持ちます。そのため、ダイエット系食品によく使用されています。大きな注意点としては、フェニルケトン尿症に罹患している方では摂取厳重注意という点です。アスパルテームにはフェニルアラニンというアミノ酸が含まれていますが、フェニルケトン尿症の方はこれを体内で代謝することが出来ないのです。そのため、場合によっては致死的状態になりうるため注意が必要になります。
B.スクラロース
砂糖の約600倍の甘みを持ち、まろやかで後味も良いことからお菓子類によく使われています。分子構造内に塩素を含む有機化合物であるため心配する方もいらっしゃいますが安全だと世界中の機関が認定しているため、他のものと同様過剰摂取しなければ問題ありません。
C.アセスルファムカリウム
砂糖の約200倍の甘みをもっていますが、摂取後の甘みが残りにくい特徴から、甘いものが苦手な方でも摂取しやすいものになり、スポーツ飲料などによく使われています。注意点としては、ラットを使った実験で胎児に影響が出たとの結果があるため、妊娠中や授乳中は避けたほうが良いのではないかと言われている点です。それ以外の方では、過剰摂取しなければ問題ありません。
D.サッカリン(およびそのナトリウム塩とカルシウム塩)
砂糖の約700倍の甘みを持つものです。水には溶けないという性質を持ちます。脂・油を使った加工食品などに使用されます。以前、動物実験で発がん性が疑われる結果が出たため使用が禁止されていた時期がありますが、その実験の不備があり、サッカリンを投与する際に一緒に用いた別物質が発がんの原因だったとわかり、使用されるようになりました。ですので、これも過剰摂取しなければ問題ありません。
血糖値の上がりやすさの違い
糖類は食後の血糖値を上昇させますが、血糖値が上がる速さがそれぞれ異なります。口から取り入れた糖は、最終的に最小単位のグルコース(ブドウ糖)まで分解(消化)されて小腸から吸収されます。血糖値を上昇させるのはこのグルコースなので、ブドウ糖は血糖値が最も上がりやすい糖といえます。二糖類や多糖類はグルコースまで分解されなければ吸収されないため、血糖値が上がるまでにブドウ糖よりは時間を要します。さらに二糖類の中でも、トレハロースやパラチノースは血糖値のピークが低く、血糖上昇・降下が緩やかです。また、果糖はブドウと同じ単糖類ですが、果糖単体では血糖値を上げません。しかし、肝臓の働きによって糖に変換(糖新生)されるため、結果、血糖値を上げます。糖アルコールは、比較的血糖値の上昇がゆるやかなものが多いです。
無糖、低糖、糖類オフ・・・表示の意味の違いは
糖類を「含まない」ことの表示や、「低い」や「低減された」ことを意味する表示には、それぞれ基準が定められています(食品表示基準)。たとえば、「糖類ゼロ」「無糖」といっても、まったく糖類が含まれていないわけではありません。 また、糖質には「含まない」ことの表示の基準はありますが、「低い」や「低減された」ことの表示に関しては基準がありません。販売者の責任において、比較対象商品に比べて低減されていれば「糖質○%オフ」「低糖質」と表示ができます。
・ゼロ・無・ノン・フリー⇒ 糖質/糖類ともに、食品100gあたりの量が0.5g(飲料なら100mlあたり0.5g)未満の場合
・低、ライト、控えめ、ダイエット⇒ 糖類が、食品100gあたり5g(飲料なら100mlあたり2.5g)以下の場合
・○%オフ、○%減、○gカット⇒ 糖類が、食品100gあたり5g(飲料なら100mlあたり2.5g)以上低減されていて、かつ低減された量の割合が25%以上である場合
23. カスカラティ
23.カスカラティ
コーヒー豆はコーヒーの果実の中にある種子を乾燥・焙煎したものですが、コーヒーの果肉と果皮を乾燥させたものをカスカラと言います。そのカスカラを使用したフルーツティが、カスカラティです。コーヒーと違いカスカラティは、コーヒーの果実を味わう飲み物です。コーヒーのように、カスカラも品種ごと産地ごとに味わい(テロワール)が異なります。コーヒーを飲んだ時に感じるフルーティな甘味や酸味と同じような風味は、カスカラティにも感じる事ができます。まだまだ産地で僅かに飲まれている程度で、日本をはじめ消費国にはあまり紹介されていません。このカスカラは、世界的に評価の高い稀少品種であるゲイシャ種のカスカラです。ゲイシャ種は他のコーヒー品種に比べるとミューシレージ(果肉の粘液質)が甘く、カスカラティも甘く余韻が長く残る特徴があります。ポリフェノールが豊富なカスカラティは、産地ではハチミツやシナモンを加えたり、カスカラシロップを作りソーダで割ったりして飲まれています。
コーヒーチェリーから取り出された種子がコーヒー豆になります。種子の他の部分、果肉や外皮を使用したものがカスカラです。スペイン語のCascaraが語源とされており、スペイン語では籾(もみ)や殻といった意味です。カスカラを煮出して飲むのがカスカラティーで、コーヒーチェリーティーとも言います。カスカラティーの歴史は古く、コーヒーと同じあるいはそれ以前とされてます。コーヒーは、発祥とされるエチオピアからアラブ半島、そしてイエメンに伝わり、秘薬として珍重されました。当時はバンカムという名前で煮汁を飲んでいましたが、カスカラティーはそれと同じかもっと
前から、キシルという名前で飲まれていたようです。イエメンでは、現在でもキシルという名前で親しまれています。
カスカラの原料と製造
カスカラの原料はコーヒーと同じく、コーヒーノキにできるコーヒーチェリーです。後にコーヒー豆になる種子を取り除き、残った果肉や皮を使います。製造の工程も途中までコーヒーと同じです。コーヒーチェリーは、収穫の後に粗選別を経て果肉を除去する精選作業を行います。ここで除去された果肉や皮を乾燥させてできるのが、カスカラです。これまで精選で除去される果肉や皮は捨てられることが多かったので、カスカラは再利用の方法としても改めて注目されています。コーヒーが産地によって味など特長が異なるように、カスカラも産地による味の違いがあるようです。さらに呼び方も産地で異なります。中米ではカスカラですが、ボリビアではサルタナと呼ばれています。
カスカラの味わい
コーヒーと同じ原料のカスカラですが、味は紅茶や甜茶(てんちゃ)、ハーブティーなどに近い味わいです。華やかな香りとさらりとしたさわやかさが魅力であり、ローズヒップティーなどが好きな人にお勧めです。さらに、淹れた後のカスカラは食べることもできます。ただし美味しく味わうという
よりは、健康のために食べる人が多いようです。
カスカラの成分
カスカラには、コーヒーと同じくカフェインが含まれていますが、コーヒーに比べると含有量は少量です。具体的には、100g程度のコーヒー豆でカフェイン量1~2g程度のところ、カスカラであれば約0.51g。一方で、コーヒーの主成分として知られるポリフェノールは、カスカラにも豊富に
含まれています。100g程度のカスカラにポリフェノール量が約3,100mgです。また、100gあたりのカロリーは317kcal程度ですので、5~10g程度を使用するカスカラティーの場合は1杯25~32kcal程度と考えられます。
準備するもの
最初に、カスカラティーを淹れるのに必要な道具と材料を紹介します。コーヒーを淹れるときに使うフィルターは必要なく、自宅にある道具で淹れられます。
・カスカラ
・お湯
・ポット
・サーバー(フレンチプレスでも可)
・タイマー
・はかり
紅茶の茶葉のように、カスカラをお湯に浸して抽出します。カスカラはネット通販などで購入可能です。淹れる手順は簡単です。お湯に浸す時間がポイントですので、タイマーを使用しましょう。
1.はかりでカスカラを計量する
カスカラティー150~250ml:カスカラ5~10g程度
2.サーバーにカスカラを入れる
3.ポットでお湯を注ぐ。お湯は沸騰したお湯を使用
4.浸したまま抽出する。時間は5~7分程度
5.カップに注いで完成
コーヒーと同じで、抽出時間が短いと酸味が、長いとコクが強くなります。何回か試して好みの時間、味を見つけてください。サーバーではなくフレンチプレスやティーポットで紅茶のように淹れるのもお勧めです。また、冷やしてからアイス・カスカラティとして飲んでいただくと、ホットとは違った風味で楽しめます。
飲み方
まずは、そのままストレートで飲んでみます。コーヒーチェリーのフルーティな香りが楽しめます。お好みで砂糖やミルクを加えてください。シナモンなどのスパイスを使ってフレーバーティーにすることも可能です。イエメンのカスカラティーであるキシルは、スパイスと一緒に楽しむのが一般的なようです。
エスメラルダ農園ゲイシャのカスカラティー
さくらんぼのようなコーヒーチェリー、その種の部分を精製、焙煎したものがいわゆるコーヒー豆ですが、今回の主役は精製時に出た果肉の部分です。果肉は、ほとんどの農園では廃棄か肥料かの二択らしいですが、これを乾燥させて飲んでしまおうというのがカスカラティーです。
私がネットで入手したのは、あの超有名な「パナマ、エスメラルダ農園ゲイシャ」のカスカラティーでした。初めてなので、どうせ飲むならコーヒー豆で最高級の銘柄でと購入したのです。中身は、栗の渋皮? 乾燥チェリー? のようで、臭いは紅茶とは違って干し草花的な香りです。味は期待したものと違い、甘酸っぱくてサッパリ。コーヒーや紅茶とは全く違った風味です。コーヒー好きの友人にも一袋プレゼントしましたが、反応は薄かったです。ただ、こんな飲物がある、しかもエスメラルダ農園ゲイシャの果実で作られた、という話題だけでも楽しめました。