日記
27. コーヒーの滓(かす)
27.コーヒー豆の滓(かす)
インスタントコーヒーで有名なネスレ日本が、国内のコーヒー業界4団体から脱退しました。脱退理由は、「レギュラーソリュブルコーヒー」の商品表示を業界が認めないからということでした。業界定義が合わないゆえの選択です。名前を変えたから、また製法を変えたとしても、お湯を注いで飲むことに変わりありませんから、インスタントコーヒーがわかりやすかい表現かと思います。もし知らない人が「レギュラー」の表示で購入したら、ドリップしてしまうかもしれません。ネスレ日本ではレギュラーソリュブルについて、「この商品は、細かく砕いた焙煎豆を抽出液の中に混ぜ合わせ、インスタントコーヒーの中に包み込む製法で作ったものです。この細かく砕いた焙煎豆は、飲んだ後のカップの底に残ります。これを弊社では「クレッセント(三日月)」と呼んでおります。これこそが淹れたての香りと味わいの証です。」と説明しています。カップに残る滓(かす)といえばトルコ式が有名ですが、トルコ製小鍋を使い煮出して抽出するコーヒーです。それはもう滓を超えて泥状なのですが、泥の絵柄から運勢を占う習慣もあります。
●滓(かす)は病気のもとにもなる
滓は不味いコーヒーの象徴みたいなものです。エチオピアの生産地で、ヤカンとか鍋で煮出したコーヒーを飲むわけは、高価な道具が不足だからで、日本人には不慣れです。北欧でもつい最近までバイキング式の煮出コーヒーが飲まれていたようですが、国の健康施策も手伝って今では
ペーパードリップ式に変わったそうです。滓の何が悪いかと言うと、コーヒー滓にへばりついている化学成分ジテルペンが原因です。コーヒーのジテルペンには2つあって、そのどちらでも飲めば血中コレステロールと中性脂肪が上昇します。もう1つの影響は、飲んだ人の多くで血中ホモシステインが上昇します。コーヒーと病気の関係を調べた疫学調査では、高血圧と高脂血症の2つでは、コーヒー滓が良い影響を与えることはないという報告です。特に高脂血症の人がコーヒーを飲むとほぼ確実に血中脂質が上昇します。高血圧の人が飲めば、血管に悪いホモシステインで悪循環が起こります。それでもコーヒーを飲みたいというのなら、ろ過したコーヒーを飲むことだということです。
●メタボの人、メタボになりたくない人は、コーヒー滓は避ける
ドリップ式(ペーパー、コットンなど)で淹れたコーヒーにジテルペンはほとんど入っていませんが、コーヒー滓も飲んでしまうトルコ式や煮出コーヒーには50倍~100倍も入っています。そんなコーヒーを毎日飲んだら、高血圧、高脂血症が悪化しても不思議はありません。
コーヒーは淹れる道具によって抽出されるエキスも味も随分違ってきます。ドリップコーヒーは旨味成分だけを贅沢に抽出するコーヒーで、ブラックで飲む日本人には一番合っているのです。このドリップコーヒーは美味しいだけではなく健康にもとても良いコーヒーだということが、データから判明しました。コーヒーのエキスにはカフェストールとカフェオール(コーヒー・ジテルペンともいわれている)という物質が含まれいます。これを称して「コーヒー・ジテルペン」というそうですが、この成分は焙煎されたコーヒー豆そのものに多く含まれていて、肝臓のコレステロール分解酵素の働きを阻害する作用があり、高脂血症の発症を促します。要は、血糖値を上げる作用があるという事です。
コーヒージテルペンが多く含むターキッシュ・コーヒー
①「コレステロール値を高める成分カフェストールとカーウェオール」
コーヒー生豆には他の植物にはないジテルペン類が含まれています。カフェストール(C)とカーウェオール(K)です。どちらもパルミチン酸エステル(CPとKP)として含まれています。パルミチン酸は長鎖脂肪酸の1 種なので、CPとKPは中性脂肪に分類されます。中性脂肪は油に溶けるが水や湯には溶けません。しかもCPとKPは熱に強いので、焙煎しても分解しないのです。強く焙煎すると、CPとKPが油とともに豆の表面に浸み出して黒光りします。焙煎した豆を開封したまま何年も放置しておくと、黒光りすることもありますが。CPとKPを飲むと、消化酵素で分解され、CとK になって吸収されます。CとK の薬理作用として、発がん物質による発がんを抑制し、コレステロールから胆汁酸への代謝反応を抑制するといわれています。発がん抑制は人体にとって有益ですが、コレステロール代謝の抑制は高脂血症の原因となります。総じて言えば、CPもKP も健康にとっては有害であり、コーヒーの飲み方に工夫を要する理由となるのです。
②抽出液中のCPとKP
コーヒーには種々の抽出法があり、抽出液のCPとKP の濃度はまちまちです。CPとKP は湯に溶けないので、抽出液に溶け出すことはありません。CPとKP は「コーヒー滓」のなかに残っているのです。従って、コーヒー滓の混ざったコーヒーを飲むと、CPとKP が吸収されて血中で観察されます。
a.煮出コーヒー、トルココーヒー、プランジャーで淹れたコーヒーにはCP とKP が多い
この種のコーヒーを毎日飲んでいると血中総コレステロール値が高くなる。高脂血症の人が飲むと影響は更に大きい。
b.エスプレッソとモッカ(直火式エスプレッソ)にも滓が混ざるが、その量は(a)の3分の1 程度である
1日に2~3杯を飲む程度ならば健康への影響は少ないと考えられる。しかし5杯以上を飲むようだと高脂血症のリスクが高まる可能性は大きい。
c.安心して飲めるコーヒーはネルか紙のフィルターを通したドリップコーヒーで、CP もKP もほとんど混入されない。
d.滓以外にもCPとKP が抽出液に混ざる原因がある。コーヒーオイルである。 コーヒーオイルが混ざった抽出液は、その表面にマーブル状の油膜が張る。この油膜にCP とKPが溶けている。滓と同様に、飲めばコレステロール値が上昇する。コーヒーオイルは味をよくするという人もいるが、専門家の中には否定する意見もある。健康のためにも味のためにも、コーヒーオイルは飲まない方が無難であるという。
以上をまとめると、「コーヒーの滓とオイルは飲まずに捨てる」というのが健康コーヒーの必要条件である。北欧の国々では高脂血症になる人が多く、その原因を調べていくと、大量にコーヒーを飲むことに起因していたそうです。それも、エスプレッソやボイルドコーヒーと呼ばれるコーヒー粉にお湯を注ぎ、ペーパーや布フィルターなどで濾過しない抽出方法だったことが分かっています。日本式の布やペーパーフィルターのドリップコーヒーで淹れたコーヒーは、滓に多く含まれるといわれるジテルペンがフィルターで濾過されてほとんど抽出されません。結論として、布やペーパーフィルターで濾したコーヒーであれば、高脂血症の予防に効果があるということです。布やペーパーで淹れるドリップコーヒーは、美味しくて健康にも良いまさに夢のようなコーヒーといえます。
●コーヒーグラウンズ
抽出後のコーヒーの粉を「コーヒーグラウンズ」と呼びます。そのまま捨てがちな抽出後のコーヒーの粉(コーヒーグラウンズ)には、毎日の生活を便利にする再利用方法がたくさんあります。ドリップしてコーヒーを楽しんだら、あとに残った粉を廃棄せず乾燥させて、活用してみましょう。
主な乾燥方法は「煎る」「電子レンジで加熱」「天日干し」の3つです。
天日干し 新聞紙などにコーヒーの粉をのせ、天日干しにします。干している間2~3回程度ざっくり混ぜ、完全に乾けば出来上がりです。
電子レンジで加熱
コーヒーの粉をお皿にのせて、レンジで加熱して乾燥させます。目安はコーヒーの粉20g(ドリップ2杯分)に対して600Wで3~4分。この方法だと、レンジも脱臭してくれるので、一石二鳥です。
煎る
フライパンや鍋で煎ることで簡単に乾燥できます。焦がさないように弱火でゆっくり煎るのがポイントです。
●抽出後のコーヒーの粉(コーヒーグラウンズ)|再利用方法
1. 肥料・堆肥
家庭菜園や植物の肥料・堆肥として最適です。コーヒーは、表面に多くの気孔がある「多孔質」と呼ばれる構造をしています。土壌を整える役割を果たしてくれるのです。ただし肥料にする場合、コーヒーの粉は必ず発酵させてください。 庭などにそのまま撒いても、肥料としての効果はありません。ダンボール等に腐葉土を入れ、乾燥させたコーヒーの粉を入れて混ぜます。毎日軽く混ぜて空気を中に取り込み、十分に発酵したら完成です。発酵の目安は温度です。触れたときにほのかに温かみがあれば、発酵がしっかりと進んでいる証拠です。
2. 消臭剤・脱臭剤
乾燥させたコーヒーの粉を袋や布にくるむか、もしくは蓋の開いた容器に入れます。あとは消臭・脱臭したいところに置くだけです。
3. 除草
コーヒーグラウンズには、植物の育成を阻害する物質が含まれており、雑草の繁殖を防ぐ効果があります。 肥料・堆肥にする場合は他の材料と混ぜて発酵させる手間が必要ですが、除草の場合は雑草を抑えたい場所にコーヒーの粉を撒くだけです。
4. 虫除け・猫除け
コーヒーは、アリや蚊などの昆虫、ナメクジやカタツムリ、猫が嫌う香りです。 そのため家の周りや生け垣、外壁付近の地面に、コーヒーグラウンズを撒くと、害虫除け・猫除けの効果があります。
5. 入浴剤
コーヒーの香りが好きな人には、コーヒーグラウンズを香りが楽しめる入浴剤代わりにするのものおすすめです。使い方は、コーヒーの粉をさらしなどに入れて、お風呂に入れるだけです。
6. 洗剤代わり
グラスや瓶などガラス製の食器を洗うときに、乾燥させたコーヒーグラウンズを洗剤代わりに使うこともできます。コーヒーを少量入れて振り洗いすると、食器がきれいになります。油で汚れた食器なども、コーヒーの粉をつけてこすれば汚れが落ちます。
7. 染料・塗料
コーヒーグラウンズを煮だしてコーヒー液を作り、染料・塗料として使うのもおすすめです。コーヒーの色を利用して、日曜大工で家具の塗料やキズ直しとしても活用できます。 コーヒーの種類や焙煎の具合によってコーヒー液の濃さが変わるので、染め物に使う場合は、いろいろ試して
自分の好みの風合いを楽しんでみましょう。
8. 靴磨き・金属磨き
コーヒーグラウンズに含まれている油分が靴磨き・金属磨きに適したつやを出してくれ、ワックス代わりになります。 使い方は、乾燥させたコーヒーの粉を布に包んでやさしく磨くだけです。
9. 針山(ピンクッション)
針山(ピンクッション)の中身として、綿の代わりに乾燥させたコーヒーグラウンズを使うのもおすすめです。 コーヒーの粉の油分が針を保護して布すべりが良くなります。錆防止の効果もあります。