日記
12. 欠点豆
12.欠点豆
「欠点豆」とは随分ストレートな表現ですが、この豆を放置しておくと、味に大きな影響を与えてしまいます。腐っていたり、虫に食われ幼虫が入っていたり、カビが生えていたりする豆のことです。これらは精製の過程で取り除かれるのが理想ですが、精製後に輸入される過程や保存状態などによって、どうしても発生してしまうものなのです。
<パーチメント>
コーヒー豆の果実の果肉を内側から覆う内果皮のこと、水洗式の豆に、これが残ることが多い。 焙煎時に火のとおりが悪く、また皮に火がついて燃え上がることもあります。えぐみ、渋みの原因です。
<虫食い豆>
プロッカーという蛾の幼虫が入り込んだもの。殺虫剤を使っていない証拠で好ましいともいえるが、味が悪くなり、汚れや濁りの原因ともなります。異臭を出す場合もあります。
<死豆>
正常に結実しなかった豆。煎っても色つきが遅く見分けやすい。同時に商品価値を著しく損なうことにもなります。風味そのものが希薄で、シルバースキンや微粉と同様、有害無益。異臭のもととなります。焙煎後に薄い色で残ってしまうのは、大抵この死豆なので取り除いてください。
<発育不良豆>
栄養分が回らず小さなサイズで成長が止まった豆。一番咲の収穫時に、二番咲をも摘んでしまった場合もこれが混じります。選別時に混入することもあります。酸味、渋みの素となり味が重くなってしまいます。
<割れ豆>
乾燥ムラがあったり、移送中に衝撃が加わったりして、豆の粒が割れてしまったもの。小さいカケラが混じることになるため、煎りムラの原因となりま。また、深煎りすると火がついて燃え上がることもあります。
<ベルジ>
グリーンになる前の未完熟豆。青い色をしており、青臭く嫌な味となり、タング(舌を刺す味)も付随します。これを抑制するために、オールド(枯らす)という手法がとられています。
<発酵豆>
生豆の外見上では見つけにくく、発酵臭のある青黒く汚れた豆です。水洗式の発酵槽で発生する事が多く、焙煎しても正常な色調を現さず白っぽくなり、その豆の異臭はコーヒー液の正常な香りを妨げます。「発酵豆」は黒豆になる前段階の豆で、発酵した状態からやがて腐敗(黒豆)へと移行するのです。
<黒豆(ブラックビーン)>
地上に落下し腐敗黒変した豆です。コーヒー液から腐敗臭がし、液を濁らせます。文字通り黒っぽく外見・匂いとも正常豆とはっきり区別できます。
<コッコ>
コッコとは、ポルトガル語で糞のこと。自然乾燥で果肉が残ってしまったり、脱穀不足が原因でこうなります。ヨード臭、リオイ臭、土臭が混じり形状だけでなくアンモニアのような異臭も発生します。
<ドライ・チェリー>
日光乾燥の際の外皮の付いたままの「皮付乾果」をいいます。ブラジルでは「コッコ」と呼び、生豆中に混じり込むコッコは欠点とみなされます。コッコを焙煎すると異臭と特異な渋みが出ます。
<貝殻豆>
乾燥不良や異常交配でこの豆が発生します。通常、コーヒー果実には2粒のフラットビーンが入っていますが、これが3粒・4粒や8粒になることもあります。ケニアやジンバブエに多く見られ、煎りムラの原因ともなります。
<カビ豆>
乾燥不完全、あるいは輸送中や保管中に湿度を帯び青カビや白カビが付いてしまいます。豆どうしくっつくこともあります。排除しないと、カビ臭がてき面に出てきます。
<レッドスキン>
雨かぶりと言い、自然乾燥中に雨をかぶるとこうなります。ほの赤い線がついて可愛らしいイメージもありますが、味はフラットになってしまいます。ブラジルに多く見られます。
<ピーベリ>
普通、コーヒー豆は果実の中に2つ一組で入っていますが、ピーベリーは果実の中に一つだけで入っているものです。欠点豆という程のものではありませんが、他の生豆と焙煎の度合いが違ってしまうため取り除くことが多いようです。また逆に、このピーベリーだけを集めたコーヒーを好む場合があり、高値で取引されています。
<異物>
石や木片など、コーヒー豆ではない異物が混じっていることもあります。
■排除方法
生豆を焙煎する前に必ず生豆から欠点豆を取り除きます。この作業を生豆のハンドピッキングといいます。だいたいですが、生豆100gピッキングすると、5g~10g程の欠点豆を取り除くことになります。豆の種類にもよりますが、5%~10%は捨てなければならないことを覚悟してください。この作業で、コーヒーの思わぬ臭みや雑味を防ぐことができる大切な作業なのです。更に均一な味を追求しようと、スペシャリティ並にピッキングを行うと豆の種類によっては、40%も取り除くことがあります。
ピッキングの割合は、人それぞれの好みもありますので、先にあげた割合にこだわる必要はありませんが、下記のものは最低限ピッキングしましょう。①発酵豆(黒豆含む) ②虫食い豆 ③カビ豆。 生豆のピッキングを始めておこなう時は、虫食い豆くらいしかわからないと思います。多数をしめる他の生豆と色や様子が違うものを、ゆっくり見分けて取ってください。迷ったものは取り除きます。慣れてくると自然と手が仕分けしてくれます。また焙煎後に、はっきりと欠点化した豆を発見できます。味を追究するなら躊躇なく取り除きましょう。
11. 計量
11.計量
■計量単位
『cc』は、「キュービック・センチメートル」の略です。センチメートルの3乗(cm^3)、いわゆる「立方センチメートル」です。 一辺が1cmのサイコロの体積です。
『リットル』は、立方センチメートルと立方メートルの間を取った単位で、『1リットル=1000立方センチメートル』と決められています。 重さで『トン』という単位がありますが、1トン=1000kg と同じようなものです。
『ml』の「ミリ」は、1000分の1を表す記号です。つまり、1ミリ"リットル"は1"リットル"の1000分の1の体積ということになります。
『dl(デシリットル)』の「デシ」は、10分の1を表す記号です。つまり、1デシ"リットル"は1"リットル"の10分の1の体積ということになります。これを総合すると、 『1リットル=10デシリットル=1000ミリリットル』です。
料理本用語をピックアップすると、『1cc=1ml』 『1dl=100ml』 『1リットル=1000ml』です。メートル法が出来たとき、パリを通る子午線の長さの4000万分の1を1m、一辺が10cmの立方体の体積を1リットル、1リットルの最大密度における蒸留水の質量を1kgと定義されました。
その後、1kgの定義は、1889年に直径・高さとも39mmの円柱形で、白金90%・イリジウム10%の合金でできている「国際キログラム原器の質量」に置き換えらました。(4℃の水の密度は、0.999973)
1mの定義は、その後変遷を経て、真空中で1秒の299792458分の1の時間に光が進む行程の長さとされています。
1リットルは、1000ml 1リットルは、一辺が10cmの立方体の体積ですから、10cm×10cm×10cm=1000cm3(1000立法センチメートル)英語では、1000cubic centimeterと言い、頭文字のccをとって1000ccと略されます。したがって、1mlと1ccは同じ体積をあらわします。
4℃の水1ml(1cc)は、約1gですが、比重が7.85の鉄(鋼)は、7.85gになります。1ml(1cc)の重さは、物質によって違います。
■メジャースプーンの精度
メジャースプーンでは正確なグラム数は量れません。コーヒーの生豆にはもともと11~13%の水分量が含まれています。もちろん私たちは生豆のコーヒーを飲んでいるわけではありません。 「焙煎」という工程を経て普段飲んでいるコーヒーになります。焙煎度合いに応じてコーヒー豆の水分量が減り、組織変化を起こし膨張します。※この膨張する現象をパフィングといいます。浅煎りと深煎りでは同じ豆でも深煎りの豆の方が体積が変化します。なのでメジャースプーン擦り切り1杯で正確なグラム数は量れないのです。
<検証>
フルシティローストとハイローストの豆で比較してみます。使うメジャースプーンは、ハリオのドリッパーについてきたもので、擦り切りで12グラムと表記があります。重さは電子スケールで正確に計測します。
①フルシティロースト(焙煎段階6/深煎り)
フルシティローストの重さは11グラムです。擦り切り具合で多少の誤差があるのかもしれませんが、表記されている12グラムまで届きません。
②ハイロースト(焙煎段階4/中煎り)
ハイローストの重さは13グラムです。
<結果>
それぞれメジャースプーンの表記より±1グラム、差にして2グラムの開きが出ました。コーヒーは1グラムの増減で味が変わってきます。メジャースプーン擦り切り1杯が好みの味であるならば良いのですが、なかなかそう都合良くはいかないものです。ハウツー本の表現だと、『どのコーヒー豆でもメジャースプーン擦り切り1杯で10グラム量れる』と勘違いしてしまいます。美味しいコーヒーを淹れることができたなら、次回も同じ味を再現したいと思いますが、電子スケールを使い正確な数値を記録することをお勧めします。嗜好に合うコーヒーを知る為には、抽出条件を数値化することが大事です。その基準値の一つとしてまずコーヒーの重さを決めてみましょう。では、どんな電子スケールが良いのか。できればコンマ以下まで計量できるものが良いです。0.1グラムと0.9グラムでは大きく開きがあるからです。
例えば、ハリオのスケールは『ドリップスケール』というだけあって、ドリップに特化した機能を持っています。2~200グラムまでは0.1グラム刻みで、200~500グラムまでは0.5グラム刻み、500~2000グラムまでは1グラム刻みでの計量が可能です。最大で2kgまで量れますので、サーバーとドリッパーごとスケールに乗っけて使用することができます。さらにタイマー機能も付いていますので、蒸らし時間やドリップ全体の時間を計ることによって、抽出時間も管理することもできる優れものです。
■生豆と焙煎豆の重さの変化
生の珈琲豆を焙煎すると1割~2割弱、重量が減ります。焙煎する生豆は、2割くらい多めに測りとる必要があります。実は、重量の変化は生豆の水分にあります。生豆重量の1割~2割水分が含まれます。豆の種類など例外もありますが、一般的には新しい豆ほど水分が多く含まれ、生豆の水分は、高温で焙煎することでほとんどが蒸発してしまいます。そのため水分を失った焙煎豆は、軽くなりまた乾燥しているため、空気中の水分を吸収しようとします。焙煎した珈琲豆の保存に水分が大敵となるのはそのためです。逆にその性質を利用して珈琲豆を挽いたものは、吸臭剤としても使われる事があります。
■焙煎後の重さの変化
コーヒー生豆に含まれる水分は焙煎することにより、12%前後から1%前後まで減り、その他の様々な成分なども揮発していきます。焙煎後は、少しずつ炭酸ガスが発生し、特に深煎りのコーヒーは多くのガスが発生し、1週間ほどで1%前後減ります。200gのコーヒー豆であれば、1週間後には198gになるわけです。中煎り(ミディアムロースト)のコーヒーは、それほど減ることはありません。(1週間で、0.2%前後減ります)
10. 洗剤
10.洗剤
性質の違い
「酸性」「中性」「アルカリ性」という言葉は、水溶液(物質を水に溶かした液体)の性質の違いを3つに分けた言葉です。つまり、水溶液の種類を3つに分類することで、私たちが性質の違いを分かり易く認識出来るようにしています。
強弱の度合いを知る手掛かりは「pH」
「酸性」「アルカリ性」には、強弱があります。例えば、シャンプーなどの広告で「弱酸性」という言葉を見聞きします。一方、「塩酸」「硫酸」など危険性を伴う「強酸性」の水溶液があります。このように酸やアルカリの強さを表すには、専門的にはpH(ピーエッチ/ペーハー)と呼ばれる数値が
使われています。その数値に基づき「酸性」「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」「アルカリ性」に分類されます。pHは数値の7を中心(中性)に数値が低くなるにつれて「酸性」が強くなり、数値が高くなるについれて「アルカリ性」が強いという評価になります。洗剤は衣類用だけでなく、台所用(食器用)・風呂釜用・トイレ用など用途別に存在します。ここでは、直接手で食器を洗う台所用洗剤を例に挙げて
みます。
台所用洗剤と食器洗い機専用洗剤の違いを知る
一般的な台所用洗剤は中性洗剤で、基本的には界面活性剤の働きだけで汚れを落とします。しかし汚れを落とすことを優先するのであれば、本来中性ではなくもっとアルカリや酸の成分を高めることで済むはずです。しかし市販されている多くの台所用洗剤は中性洗剤のままです。理由は、洗浄力を高める為にアルカリを強くすることで、手荒れなどの皮膚への影響が高くなるからです。つまり、中性にアルカリの成分を加えると食器に付いた汚れに対する洗浄力を高めることは出来ますが、皮膚などに人的被害を及ぼすリスクが高まるので「中性洗剤」が一般的なのです。
そこで、人の手に触れずに食器を洗える方法があればより洗浄力を優先した洗いが実現出来るとのことで開発されたのが、食器洗い機です。もちろん手間を省くという意味でも食器洗い機は便利ですが、洗浄力にも大きな違いがあります。洗浄力の高さの理由は、高温水や噴射力なども
ありますが、洗剤の違いも関わり大です。食器洗い機には、一般的に「食器洗い機専用洗剤」が用いられますが、「弱アルカリ性」の洗剤が多くを占めています。人の手の代わりに機械が洗う為、中性である界面活性剤にアルカリ剤を加え洗浄力を高めるのを優先することが出来たのです。ただし、食器によってはその洗浄力の高さが仇となり、食器に描かれたデザインなどの塗料が剥がれる場合もあり、注意が必要です。
「中性」がキホンで「アルカリ性」でパワーアップ
台所用洗剤を例に挙げましたが、衣類用洗剤も基本的には同じ考え方です。つまり、おしゃれ着などを洗う為の「中性洗剤」と、しっかり衣類を洗える「弱アルカリ性洗剤」とがあり、以下の特徴を持っています。
<中性洗剤>
・洗浄力は低い
・洗浄時、素材に影響が少ない
シルクやウールなどデリケートな繊維や装飾を使ったおしゃれ着を洗濯するときに使います。汚れをしっかり落とすというよりも、色合いや風合いを保ちながら汚れを落とします。
<弱アルカリ性洗剤>
・程よく洗浄力は高い
・ある程度素材に影響が出易くなる
界面活性剤に様々な成分が配合されています。綿や麻、ナイロン、ポリエステルなどふだん着の衣類を洗濯するときに使います。漂白剤成分が配合されているものもあり、除菌効果も期待できます。きなりや淡い色物には、無蛍光タイプの洗剤がおすすめです。
洗剤は一長一短でありどちらかが優れていればどちらかが劣っているというようなことが多く、衣類の洗剤で言えば、洗浄力の高い洗剤であれば色落ちや風合い変化の起きるリスクが高くなり、色落ちや風合い変化のリスクを低くしたいのであれば洗浄力の低い洗剤を使用することになります。
■カップの染み
コーヒーや紅茶がカップに茶渋を付着させてしまうのは、ポリフェノールの成分が原因です。コーヒーには「クロロゲン酸」、紅茶には「カテキン」とよばれるポリフェノールが含まれています。茶渋が発生するのは、それらが水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分と結びつき、褐色に変化し、カップに付着するという仕組みです。ヨーロッパなど水の硬度が高い国では、軟水の日本に比べて茶渋がさらに発生しやすいのです。数回使っただけで数週間も使い続けたような頑固な茶渋が付いてしまい、洗うのも大変なんだそうです。とはいえ日本でも、よく使うカップには茶渋がこびりつき、なかなか落としにくくなってしまいます。上手な落とし方を知っておき、いつでもサッと落とせるようにしておきましょう。それではカップの茶渋汚れを落とす、安全で簡単な方法を5つご紹介します。いずれも身近なアイテムを使った方法ばかりです。
1.塩でこすり落とす
茶渋は塩を使ってこすり落とせます。水を軽く含ませたスポンジに塩をなじませ、茶渋が気になる部分をこするだけです。ざらざらした塩の粒が研磨剤の役目を果たし、すっきりきれいになります。塩の種類は粗塩や食卓塩などなんでもOKですが、ハーブソルトなど塩以外の素材が含まれているものは向きません。また繊細で傷つきやすい素材に使うのは避けましょう。
2.重曹で洗う
ナチュラルクリーニングの代表である重曹も茶渋汚れに効果的です。ただし、カップは直接口に触れるため、掃除などに使う工業用の重曹ではなく、食品用を選ぶようにしましょう。重曹を使った落とし方は2通りです。
重曹ペーストでこすり落とす
重曹にも塩と同じように研磨作用があり、茶渋汚れを物理的にこすり落とせます。重曹と水を3:1ほどの割合で混ぜて重曹ペーストを作り、スポンジにペーストを付けて汚れ部分をこする。また食器洗いのついでに、重曹を粉末状のままカップになじませ、スポンジで軽くこすりおとしてもよいでしょう。
重曹水でつけおき洗い
こすり洗いでなかなか落ちない頑固な茶渋汚れには、重曹水を作ってつけおき洗いがおすすめです。カップに小さじ2くらいの重曹と40℃ほどのお湯を入れ、30分?3時間ほど放置する。一晩つけおきすると、朝には真っ白に茶渋が落ちています。
3.酸素系漂白剤でつけおきする
同じ漂白剤でも塩素系ほど強い作用を持たず、キッチンでも安心して使える酸素系の漂白剤は茶渋落としにとても有効です。粉末状と液体のタイプがありますが、茶渋をはじめキッチンで活躍してくれるのは粉末状の酸素系漂白剤。「過炭酸ナトリウム」とも呼ばれ、ホームセンターなどで手軽に購入できます。まず、40℃ほどのお湯2リットルを用意します。お湯の中に粉末の酸素系漂白剤を大さじ1程度入れた洗浄液を洗い桶に作り、洗浄液中に15?30分ほどカップをつけおきます。まとめていくつものカップを洗いたいときなどに便利です。もちろんカップの中に直接洗浄液を入れてつけおきしてもOKです。
4.メラミンスポンジでこすり落とす
洗剤を使わず水だけで汚れを落とせるメラミンスポンジは、茶渋落としにも効果的です。軽く水を含ませ、汚れ部分は軽くこするだけ。メラミンスポンジ にある無数の小さな網の目が汚れをかき出してくれます。ただし光沢のあるステンレスやプラスチック・漆器類などはメラミンスポンジの使用には適さないので、注意しましょう。
5.卵の殻で落とす
普段は捨ててしまう卵の殻も茶渋落としに活躍します。オフィスに持っていくタンブラーや水筒など、奥まで手が届きにくいものにおすすめです。卵の殻を砕き、タンブラーや水筒の中に少量の水とともに入れ、蓋をしてシェイクします。これだけで茶色く変色した内側の汚れが驚くほどすっきり落とせます。カップの汚れを落とす際は砕いた殻を中に入れ、スポンジを使って磨くだけでOKです。ただし卵の殻には、まれにサルモネラ菌などが付着している場合があるので、茶渋を落としたあとカップを熱湯で消毒するか、ゆで卵など加熱した卵の殻を使うようにしてください。
カップに茶渋汚れがつかないようにするコツ
手軽に落とせるとはいえ、できるなら茶渋汚れはつかない方が助かります。まったく茶渋をつけないことは難しいですが、カップを使う際に少しだけ気をつけると予防が可能です。
・使ったらすぐ洗う
・すぐに洗えない場合は水に浸けておく
・洗ったらしっかり乾燥させる
以上の点を意識すると、コーヒーや紅茶による茶渋を防げ、きれいな状態を長くキープできます。つい放っておいてしまいがちな茶渋汚れは、意外と簡単な方法でするりと落とせます。たとえば1週間に1回などまとめてカップを洗う日と決めておくと、常にきれいな状態をキープできるのでおすすめです。いつも真っ白なカップで、見た目にも美しいカップを目出ながら、リラックスできる時間を過ごしたいものです。
9. コーヒーカップ
9.コーヒーカップ
■種類・構造
コーヒーはアメリカやイタリアなど、それぞれの国の飲み方が日本に伝わっています。そのため、コーヒーカップもそれに合わせたものを使うようになりました。同じようにカップを使う飲み物として、紅茶がありますが、実は紅茶のティーカップとコーヒーカップにはわかりやすい違いがあるのです。
ティーカップは飲み口が広めに作られている一方で、コーヒーカップは飲み口を狭く小さめに作られていることが多くなっています。
その理由として、紅茶は高めの95℃ほどで淹れられることから、そのまま飲むと熱いため、少しずつ少しずつ冷ましながら飲むことを考えて、ティーカップは広めの飲み口となっています。なおかつ、紅茶の芳醇な香りを鼻からも楽しむという用途や意味も込められています。そしてコーヒーは、紅茶よりも低めの85℃から90℃程度で淹れるため、すぐに冷めないようにコーヒーカップの飲み口を狭く小さくしています。香りの楽しみ方も、紅茶のように飲む前というよりも、飲んだ瞬間に口から鼻にかけて広がる香りを楽しむので、その違いが、カップの形状に表されています。
レギュラーカップ
喫茶店で「ブレンド」などのコーヒーを注文した際に、使われることが多いカップです。カップに取っ手がついており、ソーサーと呼ばれるお皿とセットになっています。容量は120mlから150mlのものが多く、ドリップコーヒーの分量の目安である120から130mlに合わせていることと、冷めないうちに飲んでもらいたいということから、このタイプのカップが用いられています。陶器製や磁器製が一般的ではありますが、中にはガラス製のカップもあります。飲み口による違いや厚手や薄手といった違いがあり、お店によっては、コーヒーの風味ごとにカップを選ぶこともあるようです。例えば薄手で飲み口が広めのカップであれば、酸味があって軽めの味わいや、先に苦味を感じやすいことから、それを活かしたキリッとした味わいのコーヒーに向いています。厚手でなおかつ飲み口がストレートなカップなら、深煎りならではのコクと苦味を味わうのに向いています。
エスプレッソカップ
1800年代初頭のイタリアで誕生し、アメリカを経由して日本に伝わったエスプレッソを飲むための専用カップです。エスプレッソは、エスプレッソ用に細かい粉状に挽かれた豆を、エスプレッソマシンと呼ばれる機器を使用して20秒から30秒の短い時間で淹れるコーヒーです。ドリップコーヒーよりも使う豆の量が少なめですが、コーヒーの油分も含まれる製法のため、深みのあるコクと旨味、苦味や甘味や酸味の絶妙なバランスが特徴となっています。
エスプレッソカップは他のカップと比べてカップの大きさが小さめであり、20mlから30ml、または45mlから60mlのものがほとんどです。カップに小さめの取っ手がついており、飲む時はその取っ手をつまむようにして飲みます。エスプレッソはそのまま飲むこともありますが、本場のイタリアでは、食後に砂糖を入れて飲むことが一般的です。日本では、ミルクをたくさん使ったカプチーノやカフェラテとして飲むことが多いかもしれません。
デミタスカップ
デミタスカップはエスプレッソがちょうど2杯分入る程度の大きさのカップです。容量は60mlから90mlで、ソーサーつきで提供されます。デミタスはもともとフランス語の半分を意味する「デミ」と、カップを表す「タス」を合わせた言葉です。コーヒーのレギュラーカップよりも小さめのカップという意味合いで使用されています。エスプレッソの他、トルココーヒーやココアで使われるカップであり、カップとしての用途の他、砂糖やジャムの入れ物として使われることもあります。
マグ
日本ではマグカップと呼ばれて親しまれていますが、マグカップは和製英語であり、英語圏では「マグ」と呼ばれています。容量は200mlから250mlと多めであり、大きめの取っ手がついているのが特徴です。多めのドリップコーヒーやアメリカンコーヒー、カフェオレやココア、ホットミルクなどを飲む時に使われます。他にもポタージュなどのスープや、ヌードルを食べる時に使うこともあります。家庭用などに使われることが多く、オフィスでの休憩時や食事中に多く見かけるカップかもしれません。素材や色が豊富なため、プレゼントに使われることもあります。
カプチーノカップ
エスプレッソにミルクを加えた、カプチーノやカフェラテにて使われるカップです。ミルクを使用することが前提となっているせいなのか、保温効果を高めるために比較的厚めに作られているのが特徴です。あらかじめラテアートをすることを考慮して、カップの飲み口を広めにしたり、ミルクをカップに注いだ際に美しく流れるようにするために、カーブさせたデザインのものが多いようです。
タンブラー
もともとタンブラーというのは、取っ手のついていない筒状のグラスなどの容器全般を指すものなのですが、シアトル系カフェのおかげで、コーヒーカップの一種として認められるようになりました。容量は、マグカップと同じくらいの200mlから250mlのものから、より大容量の470ml程のタイプもあります。
アイスコーヒー用のコーヒーカップ
日本の喫茶店でアイスコーヒー用として使われる銅製のカップです。アイスコーヒーは日本で1891年(明治24年)に、東京神田小川町の氷屋にて、「氷コーヒー」として提供されたのが、文献として残っています。ただし、アイスコーヒーが喫茶店などのメニューとして普及し始めたのはもう少し後の1970年代以降。銅製のため、ヒンヤリとした冷たさがカップ全体に伝わることから、触れて楽しむカップでもあります。熱伝導の良さのため、ホットで使われることはほとんどありません。タンブラーの一種として紹介されるケースもあります。
コーヒーカップ・用途・容量
レギュラーカップ ドリップコーヒー 120~150ml
エスプレッソカップ エスプレッソ 20~60ml
デミタスカップ エスプレッソ 60~90ml
マグ ドリップコーヒー、カフェオレ、ホットミルク 200~250ml
カフェオレボウル カフェオレ 200~250ml
カプチーノカップ カプチーノ、カフェラテ 150?180ml
タンブラー ドリップコーヒー等 200~470ml
一般的に米国ではティーカップよりも大きく、英国ではティーカップよりも小さい。
手付き(取っ手付き・持ち手付き)、脚付き、これらの両方が付いた手脚付きがある。また、容器体と脚部(ホルダー)が分離しているものもある(インサートカップ)。
ティーカップと同様に取手付きのカップとソーサー(受け皿)をセットにしたものもある。また、コーヒーポット、ミルクピッチャー、砂糖入れなどとともにコーヒーセットを構成する。 一般なスタイルのコーヒーカップは、紅茶用のティーカップと比較して口が小さく、カップの上下での幅の違いが少ない。これは一説には、コーヒーの香りが飛んでしまうのを抑え、コーヒーが冷めるのを防ぐためだと言われる。 なお、北ヨーロッパでは、コーヒーカップの中でも特に背が高い、トールカップと呼ばれるコーヒーカップが好んで使用される。特に寒い時期は、このトールカップにホットコーヒーを注ぎ、それを両手で包むように持つことによって、手も温めている姿がしばしば見られる。
喫茶店の学校などでしっかりしたトレーニングを受けた店主や店員がコーヒーを提供する場合は、お客様から見て左側に「取っ手」が来るようにコーヒーカップを置く。これは「フレンチスタイル」などと呼ばれており、元をたどればフランス流である。なぜ左側に取っ手なのかというと、お客様はまずは砂糖やミルクなどを入れて、自然と(利き手のことが多い)右手でスプーンを持ってかき混ぜようとする。その時、カップをひっくり返さないようにそれを支えようとするが、それは自然と左手になるので、カップの取っ手は左側にあったほうが都合が良い(左側に取っ手が無いと、熱い部分を持ってしまうことになり、火傷をしかねない)。お客様はスプーンで混ぜた後にスプーンを置き(優雅に)カップを半回転させ右側に来た取っ手を持って飲む、というのがフレンチスタイルである。
■ソーサー
コーヒーソーサーは受け皿ではない。普段よく使う、マグカップという受け皿のないカップもありますが、来客時は、ソーサーの上にカップを置いてもてなすものです。しかし、カップだけでは粗相なので、上品に受け皿をつけてみただけなのでしょうか?もしくは、ただ単にこぼれた時の受け皿だと思っていませんか。実はどちらも違います。では一体、ソーサーの本来の使い方はどうなのか、現在のソーサーの使い道は何なのかをご紹介していきます。
コーヒーソーサー本来の使い方
18世紀ごろ主にフランスやイギリスでは熱いコーヒーを冷ますために、わざわざコーヒーソーサーにコーヒーを注ぎ、冷ましてからズルズルとすすって飲んでいたそうです。衝撃的な話ですが、これが本来のコーヒーソーサーの使い方のようです。
コーヒーの文化が入ってきた当初は、もともと茶碗のようなもので飲まれていましたが、もっと優雅にコーヒーを楽しみたいと、貴族達がコーヒーソーサーを使うようになりました。しかし、ヨーロッパの食器はほとんどが皿でしたので、その習慣のせいなのかコーヒーをソーサーに注いで飲むようになったのです。西洋人は猫舌で熱さに弱い人が多く、そのため中身の熱を冷ますためにわざわざ食事を移しかえて冷ましていたそうなのです。そのせいか、お皿もソーサーも、ほぼ同じ容量で作られていたようです。その後、やはりお皿が使いづらい事に気づき、今度はお皿に把手のような指を通して手で持てる部分を取り付けたのです。こうして、カップとソーサーが揃ったといわれています。
20世紀に役割を変えたソーサー
その後、その習慣は20世紀初頭まで続く事になり、20世紀中頃になってやっと、カップから直接飲む人が主流となりました。役目を失ったソーサーは深さも無くし、カップの収まりをよくするために「くぼみ」を作り、今の受け皿としての役割になったわけです。今でもコーヒーやスープなどに皿が用いられるのは、それの名残りだそうです。
現代のコーヒーソーサーの役割
ソーサーの深さは浅くなり、現代の形になりました。現代では昔のような飲み方をする人は実際にはいません。コーヒーを直接カップから飲むようになり、ソーサーの役割は、砂糖やミルクを置いたり、かき混ぜるスプーンを置くために使われるようになっています。
コーヒーソーサー本来の使い方と役割まとめ
ここで挙げた話からすると「必要ないのでは?」「ただ飾りとしてあるだけなんだ」と感じてしまうかもしれません。しかし、カップやソーサーがオシャレだと紅茶やコーヒーが美味しく感じるのは事実であり、「目で見て楽しむ」という役割があるように思います。一部のマニアの間では、皿にカップの中身を注いで飲んでいるらしいので、みなさんも1度試してみてはいかがでしょうか。
■カップの向き
マナー
スプーンは手前に置くのが基本です。スプーンは柄(え)の部分が右に来るようにします。カップの 持ち手の位置については、諸説あるのですが、コーヒーをブラックで飲む人がカップを持ってすぐそのまま飲めるように右側に来るようにするという考え方が主流のようです。
※ちなみに、正しいコーヒーの飲み方は、まずはミルクもシュガーも入れずにブラックでコーヒーそのものの味を味わってから、好みに応じて砂糖やミルクを入れる…とされます。まずブラックで飲むことを想定し、カップにワンポイントがないデザインの場合には、右側に来るようにするのが無難でしょう。
コーヒーカップの向きはカップの絵柄を最優先
カップの内側にワンポイントや絵が描かれている場合には、その絵が飲む人の正面に来るようにする(絵柄が正面に来るようにすると持ち手が右側に来るカップが多いようです)
しきたりに従う
喫茶店などでは、スタッフに持ち手の向きを決めて指導しているところもあるようです。例えば「持ち手が左側にくるように」という店では、ミルクやシュガーを入れるときにお客様が左手でカップを固定し、右手にスプーンを持ってかき混ぜたあと、持ち手をぐるりと右に持って来て「持ち手が左に来るようにし、スプーンは持つ部分が右に来るように」と統一しているお店もあるようです。
コーヒーカップ、取っ手の向きは右?左?
コーヒーカップをセッティングする時、取っ手は、右と左のどちらに向けても構わないようです。取っ手を右に向けるのは「アメリカ式」、左にするのは「イギリス式」といわれています。ブラックで飲むのであればスプーンを使う必要が無く、右手ですぐに飲めるアメリカ式は、ある意味アメリカらしい合理的なセッティングです。一方のイギリス式は、左手で取っ手を軽く持ち、右手で砂糖やミルクを入れてスプーンで混ぜるのに適しています。いただく時は、右手に取っ手を持ちかえ、ソーサーの上で右向きに半回転させてから持ちあげます。紅茶の文化があるイギリスらしいスタイルなのかもしれません。また、カップに模様がある場合、美しく見える方を手前にする、というのも基準になります。ソーサーに置くスプーンは、持ち手を右にしてセットするのが一般的です。使い終わったスプーンは、カップの向こう側に置きます。
■ハンドル
歴史
ヨーロッパにおけるイギリスの陶磁器産業はオランダ(デルフト)、ドイツ(マイセン)やフランス(セーブル)、さらにはオーストリア(ウイーン)などよりもはるかに遅れてスタートしました。イギリスでは、まず1740年代の後半より「チェルシー」に窯業が興りボウ、ダードー、ウースターなどが最盛期を迎え、染め付けはもとより、先発のマイセンなどのように日本の柿右衛門(色絵)様式や伊万里様式の写しの焼成もはじまりました。初期のものはデザインをハンドペイント(手描き)したもので生産量も多くありませんでした。そのうちに、素焼きの生地にデザインを焼き付ける「転写」(てんしゃ)の技術が開発されて、デザインもますます多様化していくと共に、食器の大量生産が徐々に行われるようになっていったのです。最初のうち、王侯貴族の茶会で使用される中国製の小型の茶碗は、我々が今日でも慣れ親しんでいる緑茶の茶碗と同じくハンドル(取っ手)がなく、英語で「ティーボウルTea-bowl)」と呼ばれていました。しかし、ティーが次第に普及していくにつれて、お茶会の席では優雅に"膝の上に受け皿にのせたティーボウルを持って上品な会話をしながら、塊になっていて溶けにくい砂糖をスプーンでかき混ぜる必要が多くなってきたために、1750年頃以降にはコーヒーカップと同様に、ティーボウルにもハンドルをつけて売られるようになりました。今日の「ティーカップ/ソーサー」(碗皿の組)の誕生です。しかし実際には1800年に入ってからも"ハンドル無しのティーボウル"は根強く多くの人達に使い続けられていたらく、その理由としてハンドル無しのティーボウルこそが「フォーマルなアフターディナー・ティにふさわしいものである」との考えと、そして、ホステス(茶席の女主人)としては「客人に小振りのボウルでティーを何杯もお代わりして楽しんでもらいたい」との願いも強くあったからです。
しかし、輸入茶の値段が下がり、少なくとも富裕階級に限られたとしても、より多くの人達が欲しいだけのティーを飲めるようになっていくと、一度のティーの席での飲用量が増えるとそれだけ茶碗のサイズが(当然、ティーポットのサイズも)大きくなっていきます。
そのうち、朝食にもエールなどに変わってティーが定番となるにつれて、より大型の茶碗が広く愛用される様になりました。こうした大振りの茶碗は "朝食用"としての位置付けがなされ「レス・フォーマルな機会」(フォーマルと呼べないような機会)にしばしば使用される様になっていったのです。
一方で"ハンドル"(取っ手)といえばアラブ人達の飲み物である「コーヒー用のカップ」には、相当早い時点でハンドルがつけられていました。ただし、このティーボウルにハンドルを付けるという発想は、たぶん「マグ」(Mugs)からきたものと考える人達もいますが、彼等の主張によると、古くからイギリス人達は、彼等の国民飲料であった「エール」(ビール)やホットワインなどを黒皮のジャグ、やマグ(いずれもハンドルつき)に注いで飲んでいた。だから少なくとも新興・中産階級以下の人達の選好としては、中国のモデルを東洋趣味そのもので模倣したりするのではなく、西洋における「茶道具」のモデルやデザインを、自分たちの創意と工夫で多種多様なものに発展させて、独自の文化を生み出していったのだ、というのです。
18世紀の後半から19世紀にかけて、上流階級の社交の手段として定着したイギリスの紅茶文化が、産業革命、そして商業革命などによって多数輩出した新興専門職・中産階級へと普及し定着していきましたが、丁度こうした時期にウースターやニューホールなどで生産され好評であった"スリーピースもののアンティーク現物"(受け皿1枚とハンドル付きのコーヒー・カップ、それにハンドル無しのティーボウルのセット)を手にしてみると、やはり彼等は「東洋の文化への憧れの象徴」として、長年にわたりハンドル無しの茶碗を使うこと自体に意義を見出していたのではないか、と考えさせられます。ちなみに、「セットとして受け皿一枚」というのは、1受け皿1枚でティーコーヒー兼用」という合理主義の精神がそこに見えるし、それは当時の陶磁器製品がまだまだ一般的にはとても貴重で高価であった証拠ではないでしょうか。
持ち方
慣れていないと持ちにくく感じるので、指を通した方が安定感があるから自然とみんなその持ち方になっているのでしょうか。親指と人差し指だけでつまむのではなく、中指、場合によっては薬指の先もちゃんと添えて持つのがポイントです。2本指で無理に持とうとすると落としかねないです。
「これからはちゃんと持とう!」と一念発起した方は一度家で練習しておくといいかもしれません。試すときは水を入れて実際の重さを合わせましょう。といっても、ちゃんと持っている人は本当に少数です。よほど上流階級な場所でなければ変に見られることもないと思うので、これでいーやって人はそれでいーと思います。(上のサイトでもありますが、映画やドラマなどでチェックしてみるのは面白いと思います)
ただ、正しい持ち方に慣れると指を通すのは逆に持ちにくくなります。だってよく考えてみてください。持ち上げて、下ろして、その度に指をわざわざ狭いところに通すなんて面倒なんです。
持ち手は指を通さない作りとして、リチャードジノリ等、指を通せないハンドルもあります。
■陶器 磁器
◇陶器と磁器の違い
1.原材料の面での違い
明らかな違いがあり、大雑把に言うと土と、石を砕いた粉(水など加えて粘土にして使いますが)の違いです。だから陶器を土もの、磁器を石ものと言う場合もあります。陶器と磁器の大きな違いは、その原料となる粘土の違いです。つまり、陶器はカオリンを含まない粘土(土質)を低温で焼いて作られるのに対し、磁器は石質即ち長石が主成分を成している磁土を高温で焼き使うのが大きな特徴です。陶器の起源は古く原始時代の土器から始まりますが、磁器が発明されたのは比較的遅く、北宋(960~1126)の景徳皇帝の時代(=景徳年間と称す1004~1007)ころと言われています(その磁土は、近くの「高領山」から採掘し、今ではその観音「カオリン」が磁土そのものの代名詞となっています)。
2.焼き方の面での違い
焼成温度は、陶器より磁器のほうが100度くらい高いのが普通です。陶器は主成分が粘土、磁器は主成分が陶石(とうせき)という石の粉末で陶石の方が耐火度が高いのです。陶器は800度~1250度 磁器は1200~1400度(せっ器は1000~1300度)焼き方には、大きく分けて酸化焼成と還元焼成があります。酸化焼成は、炎に対して空気を多く青っぽい炎で焼くもので、還元焼成はその反対に空気を少なくして赤黒い炎で焼くものです。陶器は、酸化焼成と還元焼成ともに使って焼成をします。磁器は還元焼成です。酸化焼成すると黄色っぽくなるので白い生地を見せたい場合普通はやりません。(全体に釉薬をかける場合はOK)
3.完成品を見ての陶器と磁器の違い
陶器を土もの、磁器を石ものというように、陶器は暖かい味わいや表面の素朴な風合いが楽しく、逆に磁器は白くガラスのような滑らかさ硬質さが魅力です。具体的に陶器にはどんなものがあるかというと、日本ではたぬきの置物で有名な信楽焼き、萩焼き、備前焼きなどがあり、西洋ではデルフト焼きなどです。磁器のほうは、普段よく見掛ける美濃焼きや骨董で人気の伊万里、西洋ではマイセンやリチャード・ジノリが製造しているようなツルツルとした表面のもの、中国や韓国の青磁や白磁と呼ばれるものなどです。
素人向きの見分け方
1.磁器の色は、(スーパーホワイトのようなもの、黄味がかったもの、磁器だけれど色釉をかけたもの、金箔で覆ったものなどもありますが)ほぼ白色だと思って大丈夫です。陶器は、色は釉薬によって白、赤、黒、青、緑等多種多様な色があります。
2.音は、フチを指ではじいてみると陶器は鈍い音がする、磁器はピンピンとかカンカンとか金属製の高い音がする。
3.透明性は、日にかざしてみると 陶器は透けません、磁器は若干透けて見える。
4.吸水性は、陶器は若干しみこむ程度ですが生地が水分を吸い込むことが知られています。磁器はまったく吸水性がありません。この吸水性により萩の七化け等、陶器に味が出てくる要因なのです。
5.貫入(細かなヒビが入ること)について、陶器は透明釉など厚くかかった釉薬(ゆうやく、うわぐすりのこと)に顕著に出る、磁器は上薬が薄いので肉眼ではほとんど見えない(実際には微細な貫入が入っているのですが)。
貫入は釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉のヒビのことでキズではありません。
6.また壊れ方や様子にも違いが見られます。陶器はフチや肉厚の薄い部分が壊れやすいのに対して、磁器はそのような傾向は無くその硬さゆえ壊れると角がたち、角度が鋭利なためうかつに触ると危険です。
7.最後に取って置きの陶器と磁器の見分け方ですが、作品をひっくり返して丸い輪の部分これを高台(こうだい)と言いますが、高台が茶色くざらついているのは陶器、白くてなめらかできれいなのは磁器だと大体判別できます。
◇ボーンチャイナ
ボーンチャイナはJIS規格でも「ボーンチャイナ食器」として定義付けられています。それによると、「ボーンチャイナとは素地が少なくとも、りん酸三カルシウム、灰長石及びガラス質からなるもの」とあります。この中のりん酸三カルシウムというのが骨の主成分をなす物質で、ボーンチャイナ製品と表示するには、りん酸三カルシウムが30%以上含有することが定められています。ちなみにウェッジウッドのファインボーンチャイナは50%超の焼成牛骨灰を含有しています。ボーンチャイナがすべての白磁器に勝るかといえば、けっしてそういうわけではありません。日本の誇る高級洋食器ブランド大倉陶園や、世界的名窯マイセンなどはボーンチャイナではなく、通常の白磁器を使用しています。これらの窯は、上質のカオリンを吟味して原料とすることで、優れた白磁器を生み出しています。このようにボーンチャイナが絶対的なものではありませんが、例えば「ノリタケチャイナ」と「ノリタケ・ボーンチャイナ」あるいは、「ナルミチャイナ」と「ナルミ・ボーンチャイナ」の2種類の洋食器を比較した場合、「ボーンチャイナ」素材のほうが優れていると考えて間違いないでしょう。
kaolinite の名は、中国の有名な粘土の産地である江西省の高嶺(カオリン:Kaoling)に由来します。高嶺で産出する粘土は、景徳鎮で作られる磁器の材料として有名です。また、同質の粘土(鉱石)はカオリン(kaolin)と呼ばれています。
8.湯を沸かす
8.湯を沸かす
◆沸騰
沸騰する前に鍋の底などにつく気泡は、全て水の中に溶けた空気です。沸騰前は水蒸気や湯気は水の表面から発生するだけです。紅茶を淹れるときは、お湯を最大の熱い湯で淹れるとジャンピングし茶葉が開き、おいしくなります。最大とは沸騰してから30秒後、冷めにくい熱々のお湯になるときです。水の中には水だけで無く、酸素や二酸化炭素等の気体も溶け込んでいます。加熱する事により、溶け込んでいる気体が気体の状態に戻り、気泡になります。加熱初期に発生する気泡は、主に溶け込んでいる気体が出て来た物と考えて下さい。さらに加熱を続けると、水自体が気体(蒸気)に変化し、大量の気泡が現れます。これが沸騰の状態です。一度加熱し、溶け込んでいる気体を気泡として放出した水は、溶け込んでいる気体の量が少なくなっているので、一旦冷やしてから再加熱しても気泡の量は少なくなります。ただし、冷却した状態で長期間放置すれば、再び大気中から気体が溶け込むので、最初に加熱した時と同じ状態になるはずです。
この世のすべての物質は、細かく細かく分けていくとすべて「元素」という小さい粒から成り立っています。元素にも色々種類が有りますが、「水素」という名前の元素が集まったものが水です。この元素には、熱を加えるとお互いが離れたがるという性質が有ります。そして、ある一定の温度に達すると、その力が一気に高まります。水で言うと100℃。つまり沸騰した状態です。イメージするのであれば、平たい板の上に100円玉を隙間なく並べた状態を想像してください。その状態が、水の状態。そして水を加熱していくと100℃になって沸騰します。その時机の上に並べた100円玉が磁石になったと想像してください。磁石はお互いに反発したりくっついたりしますが、今回はすべての磁石が反発すると考えます。 板の上の磁石はお互いに反発し、大きく広がるでしょう。この離れた状態が水蒸気です。やかんの底で泡ができた瞬間、元素の粒は互いに大きく反発し、一気に大きく広がります。その大きく広がったものが水蒸気です。スペースはどこから来たのかといえば、底にあった水が大きく膨らんで気体になったのです。たとえば、冷蔵庫にしまってあったラップのかけてある昨日のおかず、電子レンジで温めたらラップが大きく膨らんだことありませんか?そういった感じに、ものは温めると膨らむのです。
◆やかん素材の特徴、○は長所、✕は短所 (以下は文献等から抜粋)
銅製 ⇒ ○殺菌、熱伝導、赤銅色の味わい ✕変形(柔かい)、手入れ、酸化(酸味系不可)
銀製 ⇒ ○抗菌、うまみ、重厚感、贅沢、究極の形状、重さ、✕高価、手入れ(空気に触れさせない)
鉄製 ⇒ ○まろやか、健康 ✕手入れ(錆/慣らし)
錫製 ⇒ ○水の浄化
ホーロー ⇒ ○熱効率、静か、冷めにくい、酸に強い、臭いがつかない、汚れが取れる、色彩多種、イオン化無し、質感 ✕赤さび注意、衝撃に弱い
ステンレス ⇒ ○軽い、錆びない、安価
アルミニウム/アルマイト ⇒ ○軽い、レトロ ✕弱い、認知症
急須や鍋、ヤカンに使用する金属ですが、金属の種類により料理やお茶の味が変化することをご存じでしょうか。もちろん、分析機器があるわけではないので、変化を定量化することはできません。味の変化については試飲により評価を行っていきます。
ヤカンや鍋の一般的な材料としては鉄、ステンレス、銅、アルミ、錫、真鍮などがありますが、銅とアルミ、真鍮は料理やお茶からコクを無くし、フラットな味・香りへと変化します。本来、質の高いお茶と言うのは、喉の奥にスッと広がるようなやわらかな味と、奥行きのある香りが特徴です。
しかし、これらの2つの金属と触れた水でお茶をいれた場合、味に奥行きが無くなり、香りも鼻に抜ける軽い香りへと変化します。
銅鍋やアルミ、真鍮鍋は非常に一般的です。銅釜の炊飯ジャーもあります。これらの調理器具は、熱伝導率を売りとしております。しかし、比較してみれば直ぐ分かることですが、銅で調理した食品、銅を通したお茶は、味が即変化し、まろやかでコクがあったはずのお茶は味の厚みがなくなり、奥行き・味と香りの余韻が消失します。この話をすると、皆、胡散臭そうな顔で私を見ます。そう思われた人は、実際に実験してみてください。何もしてない状態のお茶と並べて比較することでその違いを認識することができます。身近にある銅、真鍮、アルミと言えば、1円玉、5円玉、10円玉です。これらを良く煮沸して消毒した後、お茶にチョコッとだけ触れてみてみましょう。お茶を茶碗に入れ、その表面を「ちょん」と一瞬触れるだけで十分です。硬貨が汚いからいやな場合、ホームセンターに行けば簡単に銅やアルミの材料が手に入ります。触れる前と後ではお茶の味は明白に変化をします。ではどのような材質が良いかと言う事ですが、無難なのはステンレスやガラスのヤカン、或いは、電気湯沸かし器がお薦めです。電気湯沸かし器の内面はテフロン様のコーティングがされておりますが、私がテストした限りでは味へのマイナスな影響がありませんでした。これらの材質は水の味を殆ど変化しないため、お薦めです。鉄瓶の場合は、茶器の材質との組み合わせによって、味をフラットにすることがあるため、要注意です。
銅の抗菌効果について
銅・銀などの金属には微量金属作用と呼ばれる効果があります。わずかな量で驚くべき抗菌効果を発揮するというものです。微量金属作用とは、水などに溶け出したごくわずかな量の金属のイオンが細菌類の活動を抑える効果のことで、銅のほかに金や銀などにも同様の効果が認められています。詳しいメカニズムはわかっていませんが、人や動物が中毒症状を起こすのと同じで、細菌や微生物の中に許容量を超えて溜まった銅イオンが、さまざまな酵素の働きを邪魔するようです。最近では銅の環境表面での殺菌効果が注目されています。これは銅と直接接触することで院内感染の原因となるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やMDRP(多剤耐性緑膿菌)を死滅させるものです。それ以外の銅の微量金属作用を応用した例をご紹介しましょう。たとえば、有名な農薬にボルドー液があります。これは石灰を混ぜた薄い硫酸銅溶液で、ぶどうの病気対策としてまかれています。身近なところでは、切り花を長持ちさせるため、花瓶の中に10円玉を入れるという知恵が有名です。これは、水に溶け出た銅イオンがかびや細菌の繁殖を抑えるため、花が長持ちするといわれています。とくにピカピカ光るきれいな10円玉のほうが効果が高いそうです。昔から「銅壺(どうこ)の水は腐らない」といわれているのはこの効果が実生活の中で実証されているからです。銅製の三角コーナーだけヌルヌルにならなかった経験もありませんか。
銅の毒性は誤解
緑青、青水。なんら心配する必要はありません。緑青(ろくしょう)、青水が毒だと思っている人がいます。 それはまったくの誤解です。昭和59年8月には、厚生省(現厚生労働省)が緑青猛毒説が間違いであることを認めています。銅のさびの一種である「緑青」は長い間有毒なものだと
信じられていました。原因ははっきりしませんが、おもに当時の教科書の記述が誤解を招いたのではないかと考えられています。昭和時代の小学校の理科の教科書には「銅のサビの一種である緑青には毒性がある」と書かれていました。 また当時の百科事典にも緑青は「有毒」と書かれており、これらを通じて習った知識が長い間信じられてきたようです。この誤解をとき、銅に対する正しい理解を得るため、日本銅センターは東京大学医学部に依頼し、緑青に関する動物実験を6年間にわたって行いました。その結果、緑青は無害同様の物質であることが確認されました。
この結果を受けた厚生省(現厚生労働省)も、1981年から国の研究として動物実験に着手しました。そして3年間にわたる研究の結果、緑青は「無害に等しい」との認定を出したのです。この結果は、NHKニュースや新聞各紙に取り上げられ、全国に向けて発信されました。
しかし、厚生省の発表から30年以上が経った現在でも、緑青が毒だというイメージは完全にはなくなっていません。銅と緑青の正しい知識がすべての人に広まることが(一社)日本銅センターの願いです。銅の色調の経年変化は、日本人の持つ美的感性に合う外観を造りだします。 新しい銅板の光沢は約1ヶ月でなくなり、一般的には上記のようないくつかの過程を経て緑青色になります。銅はその耐久性や美しさから屋根に使用されることがあります。東京の神田にあるニコライ堂の屋根も、もともとは赤褐色でしたが、 10年くらい経つことで緑青色に変化しました。「青水が出た」とおっしゃる人がいますが、そもそも青い水は、一般家庭の水道水からは出ないものです。「青水かな」と思ったら、簡単にチェックできます。透明なコップに入れてみましょう。おそらく透明ではないでしょうか。「銅イオンが水道水に溶け込んで青く見えるには、100ppm以上溶け込んだ場合です。住宅の水道水の基準は1ppm。そのため銅イオンにより青くなるはずはありません。
また、手洗い場や浴槽など、石けんを使う場所で、右の写真のような青い付着物を見ることがあります。これは、石けんや湯垢に含まれる脂肪酸と、微量の銅イオンが反応して、不溶性の銅石けんが生成されるため害はありません。台所用の油汚れ専用洗剤を使うと、きれいに取り除けます。銅管の内面が新しい時は、銅イオンが溶け出しやすく、このような現象も起きやすいのですが、水や湯を流しているうちに、銅管の内面が亜酸化銅で覆われ、銅イオンは溶出されにくくなります。お風呂などの水が青く見えるのは、目に見える光、可視光線は色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)の光線の集まったもので、赤側が弱くなると青っぽく、紫側が弱くなると赤っぽく見えます。浴槽など溜め置きのきれいな水が青く見えることがありますが、これは浴槽中の水自身や浴槽の壁材によって光の長波長側(赤側)のエネルギーの小さな部分が吸収され、青側の光の割合が多くなるため青っぽく見えるのです。同じ水道水を透明(または白っぽい半透明)のコップと、同じ色合いの不透明なコップに入れ上から観察してみると、不透明なコップの水が青く見えることからも裏付けられます。
銅製の鍋は、何故『錫メッキ』や『ステンレス貼り』が施されているのでしょうか。調理後に放置したため鍋の変色や食品の変色があれば食べるのを躊躇するでしょうから、一般に販売する場合は変色しにくくするために錫引きやステンレス加工を行っているのだと思われます。また昔は菜豆や茄子の漬物の色を良くする為に銅鍋や銅板が使われていた例もあります。銅製品は放置すると緑青の発生や黒ずみなど手入れが面倒なせいもあります。
「外側は茶色、内側は銀色」、外側が銅で、内側は錫メッキされている鍋と思います。これは、熱伝導性の優れた銅を生かし、より危険性の少ない錫を内張りすることで銅鍋の安全性を保っています。錫は缶詰のコート材でお馴染みです。「洗う度に内側も茶色い部分ができてきました」とあります。錫メッキはそうそう剥がれるものではありませんが、使い込んだ結果、銅が露出しているものと思います。銅は相対的に酸化されやすく、料理材料によっては微量ながら溶出することがあります。たとえば、醤油に10円銅貨を漬けておけば、数日でピカピカになります。錫の内張りをしていない銅鍋の場合、料理した後はすぐに別の入れ物にいれるような工夫が必要です。もう一つの問題点は、銅に微量ながらヒ素、アンチモン、鉛などの不純物が含まれることです。最近の銅鍋はこのような不純物を除去しているでしょうが、錫の内張りをすることを使用の前提とした古い銅鍋で、その錫メッキが剥げている状態では、使用しない方が賢明です。
鉄瓶
水道水を使用した場合、驚くほどに まろやかな味にかわってくれます。やかんと鉄瓶で沸かしたお湯でお茶を淹れ、飲み比べてみるとお茶の味に大きな変化が感じられます。鉄瓶で沸かしたお湯は水の中のさまざまな物質、特にカルキ分を抑え、さらに身体に吸収しやすい鉄分を含むので、貧血の予防にも役立ち、とても健康的だといわれます。私も健康器具のような立ち位置で日々愛用してますが、特別な事をするでもなくただお湯を沸かし、お茶を飲むだけなので非常に簡単でありがたい存在です。
鉄のフライパンの錆の正体は、酸化鉄
鉄のフライパンを使って料理をすると、鉄の成分が料理に入り、それを食べることで、鉄分をとることができます。だから鉄のフライパンで料理をするのは、体にとっても良いこと。そんな風に言われていたこともありました。それに、ぬか漬けのように錆びた釘をわざと入れるような料理もあります。また、鉄のフライパンに、赤錆が出た場合、そのまま料理に使うことはありません。たわしなどで、ゴシゴシと赤サビを綺麗に落としてから、料理に使うはず。だから、赤錆びを食べたとしても、微量な量です。さらに、ラットに、自分の体重と同じ量だけの赤錆を食べさせた実験があります。2倍の量を食べてもラットは元気いっぱい。以上のことから、鉄のフライパンの錆を、食べてしまっても、体に有害というレベルではないといえます。ただし、ほんの微量でも、赤錆を口にしたくない。そんな人にとっては、鉄のフライパンは使い勝手がいいとは言えません。鉄のフライパン以外の、テフロン加工やステンレス製のものを使った方が良いかもしれません。
鉄剤の「Fe」と違い、二酸化鉄というのは、鉄のFeと酸素O2が化合したもの、つまり鉄サビです。二酸化鉄は体内に摂取されると、鉄Feとして吸収されるので、鉄剤を飲んだのと同じ効果になります。吸収率は鉄剤の方が良いのですが、鉄器を習慣的に使用していると、安定して確実に鉄分が取れる利点があります。その鉄分って、体に安全な鉄分なのでしょうか。安全です。分かりやすく説明するため、製造方法を簡単に述べますと
(1)鉄のインゴット(今は輸入品が主力で、金の延べ棒のようなインゴットになっています。1kg25~30円くらいが鉄のインゴット価格です。自動車用の鋼板と違って、ただのFeの塊です。
(2)鉄のインゴットを電気溶解炉で溶解する。
(3)溶解した鉄を型に流し込んでから冷ます。
(4)グライダーで研磨する。
(5)食品衛生法をクリアした塗料で塗装する。塗料の分子と分子の間が数ミクロンあいているので、その隙間から二酸化鉄がでてきます。
(6)梱包して、出荷する。
以上の通りの工程なので、安全なのがお分かりでしょうか。なお、他の鉱物は値段が鉄よりも高いので、経済的な意味では使われることはありえません。南部鉄器の接合部分は溶接です。もし、品質的にご心配なら国産の鉄器を使用したらよいでしょう。なお、鉄器の一番良いところは、日常的に使用していると、鉄分の補給ができることと、冷めにくいことです。欠点はさびやすいことです。ただ、さびると見た目は悪いですが、鉄分の補給量は増加します。
錫製
錫は不純物を吸収し、水を浄化するとしてイオン効果があるため、まろやかな水やお茶が楽しめるそうです。
ホーロー
ホーロー(琺瑯)とは一般に金属の表面に無機ガラス質のうわぐすり(釉薬)を高温で焼き付けたもので、金属の特性とうわぐすりの特性を生かし、耐熱性、耐摩耗性、耐食性、非吸着性(臭いが移りにくい)、光沢性(美観)などを兼ね備えた製品です。ホーロー(琺瑯)には幾つもの優れた特長がありますがその一部をご紹介します。
◇耐熱性
釉薬を800℃前後の高温(素材による)で焼き付けるため400℃程度の温度にも長時間耐えられます。
◇耐磨耗性
ホーロー(琺瑯)はガラス質の為、表面は極めて硬く、耐摩耗性にも優れています。但し衝撃には弱い為、強い衝撃を受けると表面にヒビが入る可能性が有るので注意が必要です。
◇耐食性
ホーロー(琺瑯)は化学薬品などの腐食にも強い為、化学工業関係にも使用されています。
◇非吸着性
ホーロー(琺瑯)はガラス質の為、臭いが移りにくく、食品関係の容器や台所用品などにも適しています。
◇電気絶縁性
ホーロー(琺瑯)はガラス質の為、絶縁性に対しても優れています。他にも耐久性や保温性などにも非常に優れ色も広い範囲(赤・黄色系統は除く)に対応ができ、変色もしにくい特性を持っています。
特徴(短所)
・急激な温度変化に弱いことと、強い衝撃に弱い(落としたりしたときの衝撃)ということです。
利点(利点が多いので箇条書きにします)
・色移り、臭いが残りにくいです。
・非金属の為金属イオンの発生が無く、食材の味を変えません。
・腐食しにくい(錆びにくい)利点があります。
・いろんな色が出せて、色のバリエーションが豊かなので、 自分の好みの色の鍋で料理を楽しめます。
アルミニウム、テフロンの毒性
アルミニウム製の調理器具が人体に危険性があるとしてアメリカでは政府から公式発表されています。ドイツやフランス、スイス、イギリスなどではアルミ鍋から発生する有害物質の研究レポートに基づき、アルミニウム製の調理器具の販売規制を行っています。日本でもアルツハイマー病との因果関係が様々なメディアで取り上げられましたが、研究結果はグレーゾーンとして販売規制までは至らず。あくまでも個人の判断にゆだねられています。しかし、主要国が販売規制を行うのは明確な理由があってこそ。私たちの身体に影響がある害について挙げていきます。
アルミニウム製品によって起こりうる弊害
・脳への蓄積 → アルツハイマー病、パーキンソン病
・解毒を司る臓器への蓄積(腎臓・膀胱・肝臓)
・握力の低下
・肥満の傾向にある方は脂肪に溜まりやすい
・骨への蓄積
・神経系への影響
アルミ鍋はほかの金属鍋に比べ、融点が600℃と非常に低いことが特徴です。このことが加工しやすいメリットではありますが、それゆえに有害物質が溶け出しやすい、という面もあります。同時にこれは私達の身体にとって大きなデメリットとなります。ほとんどの不要物質は排泄でデトックスされると言われますが、影響を受けやすい幼少期から長期に渡って取り続けていると、何らかの悪影響も否めないのでは、と思います。
日常生活にもアルミニウムは潜んでいた! 身近なアルミニウム含有物
アルミニウム製品は調理器具だけにとどまらず、私たちの生活にとても身近なところにたくさん潜んでいます。
・ベーキングパウダー
・(ホットケーキミックス・菓子パン・焼き菓子・ドーナツ・まんじゅう・お好み焼き粉・天ぷら粉など)
・海藻
・貝類
・魚介類(たこ・いか・外国産うになど)
・ミョウバン(漬物)
・根菜類・葉野菜
・胃薬
スーパーやコンビニで市販されているお菓子のほどんどで使用しているベーキングパウダーはアルミニウム含有です。近年、お菓子を食べる機会の多い子供にアルミニウム摂取量が規定の2倍以上に達している、ということが厚生労働省の調べで分かっています。排泄機能がまだ未発達の幼い子供に多量に与えると脳や各臓器、発達機関への影響が懸念されてます。妊婦さん・授乳中の方も血液を通して赤ちゃんに伝わるので摂取量の注意が必要になります。ご自宅でお菓子を作られる方は、ベーキングパウダーを使うのであれば「アルミニウムフリー」と表記があるものを必ず使用してください。デリケートな期間は特にできることを徹底して意識してみてください。
テフロン加工フライパンの危険性
テフロン(フッ素樹脂)加工は焦げない・くっつかない・錆びない・汚れが落ちやすいでフライパンでは人気を誇る商品です。アメリカの大手企業がこのテフロン加工に人体に有害な物質が含まれることを隠蔽し、長年販売を続けていました。もちろん日本にも流通しています。テフロン加工のフライパンはとても便利なのですが、空炊き・数百度以上の高温調理をすると有害なガスが発生するということが明らかになりました。やっかいなのがこの有害ガスは目視できず無臭なこと。アメリカではペットの鳥が死に至ったと一時期ネットでも話題になっていました。この有害ガスを吸い込むと呼吸困難・めまい・窒息・吐き気・頭痛が起こる可能性があるとも指摘されています。 調理中は必ず喚起する、長い時間火にかけない、幼児は特に影響を受けやすいのでおんぶして料理をしない、近くに来させないなど注意が必要です。また、フッ素樹脂加工を作るときに使う化学薬品は、体内に入ると分解がされにくい傾向にあります。長期にわたり蓄積された場合は発ガン性・肝障害・先天性障害を持った子供を産むリスクもあるのではないかと言われています。テフロン加工フライパンは使いやすいのが大きなポイントですが、その反面寿命が短く買い替えサイクルが早いところがネックです。一見安くてもあまり長持ちはしません。資源ごみはこのテフロン加工のゴミがとても多いため環境へのリスクが多い製品だといえます。
安心して長く使える調理器具のおすすめ
健康へのリスクが少ない、環境にも優しいおすすめの材質をご紹介します。
・セラミックコーティング
・ガラスコーティング・ガラス鍋
・鋳物
・ステンレス
・土鍋(ただし格安の土鍋は危険。産地をチェック)
アルミニウムの毒性は低い
「アルミは有害である。アルツハイマー病と関連がある。だから、アルミのお鍋は使わない。」 当時、この情報を検証することもせず、盲目的に信じ込み、 アルミ鍋の製造メーカーが廃業に追い込まれる事態が生じました。 まさに風評被害の典型でした。 この点では、小売店も、プロとしてユーザーに正しい情報を流すことを怠った事を しっかりと反省すべきだと思います。 かたや、生活者一人一人も、その風評の根拠を自分で調べて、 自分で考えてみる必要があったのでしょう。 ここで、アルミと健康に関して改めて考察してみます。 まず、アルミに関する基礎知識。 アルミに関しては、食品中にも含まれているのです。特に、貝類や海藻に多い。飲料水にも含まれます。 そして、体の中での代謝。そのほとんど(99%)は、体内に吸収されずに排泄される。 このようにアルミとは、アルミのお鍋に関係なく、ごくごく身近にあり毎日摂取しているものなのです。 しかも、そのほとんどは体外に排泄されます。 そこで、事の発端です。1996年3月15日、毎日新聞朝刊の報道で、アルミとアルツハイマー病との関連が取り沙汰されました。 その当時アルツハイマー病もまだよく認知されていない病気だったのかもしれません。非常にセンセーショナルなマスコミ受けする情報だったのでしょう。その後も、さまざまなマスコミで取り上げられます。メーカーの対応も追いつきません。その結果、百貨店などでは、アルミ鍋は棚から引き上げられ、ステンレス鍋に置き換わってしまうのです。 そこで、その関連を調べてみます。ネット上でもかなり情報が集まります。結果、現時点では、アルミがアルツハイマー病と関連があるという明確な根拠はありません。多くの専門家は、全く関係がないとまで言い切ります。例えば、よく引き合いにだされるのが、国連の世界保健機構(WHO)の見解。
「アルツハイマー病に対してアルミニウムが原因となるような関わりがあるとする証拠はない。アルミニウムは、生体内で人をはじめとするいかなる種においてもアルツハイマー病を引き起こすことはない。」 しかし、まだ未解明の事項は多いようで、関連が全くないと言い切ることもできないようです。 そこで、そのわずかな残されたリスクをどのように考えたらよいのか。 その前に、そもそも、どれほどのアルミが、お鍋から溶出されるのかに目を留めます。 アルミの1日平均摂取量は、大人で1~10mgとされています。 米国食品医薬品局の調査では、すべての調理、取扱い、保存にアルミ製品を使用した場合、 1日当たり最大3.5mgとしています。 日本では、国立医薬品食品衛生研究所を主体とした研究で、あらゆる調理においてアルミ製調理器具を用いた場合の試算値を、1日当り1.68mgとしています。これらのデータは、「すべて」「あらゆる」を前提に試算されたものですから、 実際には相当少なくなるでしょう。それにしても、1日平均摂取量を越えない程度なのです。かたや、胃薬や鎮痛剤にもアルミは多く使用されています。 1日の服用量中に1000mg程度のアルミ化合物が含まれているものもあるそうです。レベルが格段に違ってきます。お鍋からの摂取がいかに微量であるかが分かります。
さらに、それらの微量のアルミが体内に摂取されても、そのほとんどが体外に排泄されることを考えあわせれば、いかにわずかな量であることが分かります。加えて、アルミは腐食しやすい性質があります。酸やアルカリ成分に反応しやすいので、保存には適していません。反応すれば、よりアルミは溶出することになるでしょう。ですから、もともと酸やアルカリ成分の食材は避けた方が良いですし、調理後は何かに移し替えた方が良いでしょう。酸やアルカリ成分の食材を使うことが多いようでしたら、および調理後しばらく保存する傾向があるのでしたら、琺瑯素材などのお鍋を使うことがより相応しいでしょう。 そのような性質を把握していれば、さらにアルミの溶出ということは少なくなるでしょう。このようなお鍋の特性を知ることも大切だと思います。 そして、わずかなリスクばかりではなく、そのお鍋の使い心地や結果としてできる調理というメリットの方にも、もっと目をむける必要があると思います。その点で、アルミには魅力があるのです。どの素材よりも厚手のアルミ鍋で炊いたご飯は個人的に美味しく感じます。合羽橋の「お鍋の博物館」の店長さんが先日教えてくれました。 「良いお鍋とは、ご飯がおいしくできるお鍋です。」 同じくお鍋を販売する者として、なるほどと、うなずけました。だから、味にこだわるプロ職人はアルミのお鍋が手放せないのです。家庭では、14年前の報道をきっかけに、見事にステンレス鍋にシフトしてしまいました。裏を返せば、味へのこだわりがなかったのかもしれません。その点では、寂しく思います。本当にわずかなリスクであるとしたならば、手軽に調理ができ、しかも結果としての調理が美味しくなるのであれば、選択するに十分値するお鍋だと思います。 私たちの少し前の世代までは、日常的にアルミのお鍋を使ってきました。そして、手軽においしいお料理を楽しんでいたのです。少なくとも私の祖父祖母も、ほぼ生涯にわたりアルミのお鍋を販売し、自ら愛用していました。幸いアルツハイマー病にも痴呆にもかからず、長寿を全うしました。そして、アルツハイマー病や健康のことを広い視野で考えるのなら、考えるべきことが他にあるとも思います。喫煙や不規則な食生活などは典型的な危険因子です。 かたや、調理が楽しく、結果として美味しいとは、大変価値のあることだと思います。現時点では、アルミのお鍋を使って、楽しく美味しく調理ができるのであれば、非常に健康的です。
アルミニウムは地殻に約8%含まれ、酸素、ケイ素についで3番目に多く含まれています。また、銀白色の柔らかい軽金属で展性、延性に富み熱と電気の良導体であるため、建築材料、車両部品、容器や包装材、調理器具などに広く使用されています。その他、アルミニウムは食品や、医薬品や食品添加物として含まれています。また、アルツハイマー病の原因としてある時期盛んに取り上げられていました。しかし、現在は脳内のアミロイドβが沈着し老人斑を形成することで神経伝達を阻害し記憶障害や神経細胞死を引き起こすことの説が有力になっています。