日記
12. 欠点豆
12.欠点豆
「欠点豆」とは随分ストレートな表現ですが、この豆を放置しておくと、味に大きな影響を与えてしまいます。腐っていたり、虫に食われ幼虫が入っていたり、カビが生えていたりする豆のことです。これらは精製の過程で取り除かれるのが理想ですが、精製後に輸入される過程や保存状態などによって、どうしても発生してしまうものなのです。
<パーチメント>
コーヒー豆の果実の果肉を内側から覆う内果皮のこと、水洗式の豆に、これが残ることが多い。 焙煎時に火のとおりが悪く、また皮に火がついて燃え上がることもあります。えぐみ、渋みの原因です。
<虫食い豆>
プロッカーという蛾の幼虫が入り込んだもの。殺虫剤を使っていない証拠で好ましいともいえるが、味が悪くなり、汚れや濁りの原因ともなります。異臭を出す場合もあります。
<死豆>
正常に結実しなかった豆。煎っても色つきが遅く見分けやすい。同時に商品価値を著しく損なうことにもなります。風味そのものが希薄で、シルバースキンや微粉と同様、有害無益。異臭のもととなります。焙煎後に薄い色で残ってしまうのは、大抵この死豆なので取り除いてください。
<発育不良豆>
栄養分が回らず小さなサイズで成長が止まった豆。一番咲の収穫時に、二番咲をも摘んでしまった場合もこれが混じります。選別時に混入することもあります。酸味、渋みの素となり味が重くなってしまいます。
<割れ豆>
乾燥ムラがあったり、移送中に衝撃が加わったりして、豆の粒が割れてしまったもの。小さいカケラが混じることになるため、煎りムラの原因となりま。また、深煎りすると火がついて燃え上がることもあります。
<ベルジ>
グリーンになる前の未完熟豆。青い色をしており、青臭く嫌な味となり、タング(舌を刺す味)も付随します。これを抑制するために、オールド(枯らす)という手法がとられています。
<発酵豆>
生豆の外見上では見つけにくく、発酵臭のある青黒く汚れた豆です。水洗式の発酵槽で発生する事が多く、焙煎しても正常な色調を現さず白っぽくなり、その豆の異臭はコーヒー液の正常な香りを妨げます。「発酵豆」は黒豆になる前段階の豆で、発酵した状態からやがて腐敗(黒豆)へと移行するのです。
<黒豆(ブラックビーン)>
地上に落下し腐敗黒変した豆です。コーヒー液から腐敗臭がし、液を濁らせます。文字通り黒っぽく外見・匂いとも正常豆とはっきり区別できます。
<コッコ>
コッコとは、ポルトガル語で糞のこと。自然乾燥で果肉が残ってしまったり、脱穀不足が原因でこうなります。ヨード臭、リオイ臭、土臭が混じり形状だけでなくアンモニアのような異臭も発生します。
<ドライ・チェリー>
日光乾燥の際の外皮の付いたままの「皮付乾果」をいいます。ブラジルでは「コッコ」と呼び、生豆中に混じり込むコッコは欠点とみなされます。コッコを焙煎すると異臭と特異な渋みが出ます。
<貝殻豆>
乾燥不良や異常交配でこの豆が発生します。通常、コーヒー果実には2粒のフラットビーンが入っていますが、これが3粒・4粒や8粒になることもあります。ケニアやジンバブエに多く見られ、煎りムラの原因ともなります。
<カビ豆>
乾燥不完全、あるいは輸送中や保管中に湿度を帯び青カビや白カビが付いてしまいます。豆どうしくっつくこともあります。排除しないと、カビ臭がてき面に出てきます。
<レッドスキン>
雨かぶりと言い、自然乾燥中に雨をかぶるとこうなります。ほの赤い線がついて可愛らしいイメージもありますが、味はフラットになってしまいます。ブラジルに多く見られます。
<ピーベリ>
普通、コーヒー豆は果実の中に2つ一組で入っていますが、ピーベリーは果実の中に一つだけで入っているものです。欠点豆という程のものではありませんが、他の生豆と焙煎の度合いが違ってしまうため取り除くことが多いようです。また逆に、このピーベリーだけを集めたコーヒーを好む場合があり、高値で取引されています。
<異物>
石や木片など、コーヒー豆ではない異物が混じっていることもあります。
■排除方法
生豆を焙煎する前に必ず生豆から欠点豆を取り除きます。この作業を生豆のハンドピッキングといいます。だいたいですが、生豆100gピッキングすると、5g~10g程の欠点豆を取り除くことになります。豆の種類にもよりますが、5%~10%は捨てなければならないことを覚悟してください。この作業で、コーヒーの思わぬ臭みや雑味を防ぐことができる大切な作業なのです。更に均一な味を追求しようと、スペシャリティ並にピッキングを行うと豆の種類によっては、40%も取り除くことがあります。
ピッキングの割合は、人それぞれの好みもありますので、先にあげた割合にこだわる必要はありませんが、下記のものは最低限ピッキングしましょう。①発酵豆(黒豆含む) ②虫食い豆 ③カビ豆。 生豆のピッキングを始めておこなう時は、虫食い豆くらいしかわからないと思います。多数をしめる他の生豆と色や様子が違うものを、ゆっくり見分けて取ってください。迷ったものは取り除きます。慣れてくると自然と手が仕分けしてくれます。また焙煎後に、はっきりと欠点化した豆を発見できます。味を追究するなら躊躇なく取り除きましょう。