日記
10. 洗剤
10.洗剤
性質の違い
「酸性」「中性」「アルカリ性」という言葉は、水溶液(物質を水に溶かした液体)の性質の違いを3つに分けた言葉です。つまり、水溶液の種類を3つに分類することで、私たちが性質の違いを分かり易く認識出来るようにしています。
強弱の度合いを知る手掛かりは「pH」
「酸性」「アルカリ性」には、強弱があります。例えば、シャンプーなどの広告で「弱酸性」という言葉を見聞きします。一方、「塩酸」「硫酸」など危険性を伴う「強酸性」の水溶液があります。このように酸やアルカリの強さを表すには、専門的にはpH(ピーエッチ/ペーハー)と呼ばれる数値が
使われています。その数値に基づき「酸性」「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」「アルカリ性」に分類されます。pHは数値の7を中心(中性)に数値が低くなるにつれて「酸性」が強くなり、数値が高くなるについれて「アルカリ性」が強いという評価になります。洗剤は衣類用だけでなく、台所用(食器用)・風呂釜用・トイレ用など用途別に存在します。ここでは、直接手で食器を洗う台所用洗剤を例に挙げて
みます。
台所用洗剤と食器洗い機専用洗剤の違いを知る
一般的な台所用洗剤は中性洗剤で、基本的には界面活性剤の働きだけで汚れを落とします。しかし汚れを落とすことを優先するのであれば、本来中性ではなくもっとアルカリや酸の成分を高めることで済むはずです。しかし市販されている多くの台所用洗剤は中性洗剤のままです。理由は、洗浄力を高める為にアルカリを強くすることで、手荒れなどの皮膚への影響が高くなるからです。つまり、中性にアルカリの成分を加えると食器に付いた汚れに対する洗浄力を高めることは出来ますが、皮膚などに人的被害を及ぼすリスクが高まるので「中性洗剤」が一般的なのです。
そこで、人の手に触れずに食器を洗える方法があればより洗浄力を優先した洗いが実現出来るとのことで開発されたのが、食器洗い機です。もちろん手間を省くという意味でも食器洗い機は便利ですが、洗浄力にも大きな違いがあります。洗浄力の高さの理由は、高温水や噴射力なども
ありますが、洗剤の違いも関わり大です。食器洗い機には、一般的に「食器洗い機専用洗剤」が用いられますが、「弱アルカリ性」の洗剤が多くを占めています。人の手の代わりに機械が洗う為、中性である界面活性剤にアルカリ剤を加え洗浄力を高めるのを優先することが出来たのです。ただし、食器によってはその洗浄力の高さが仇となり、食器に描かれたデザインなどの塗料が剥がれる場合もあり、注意が必要です。
「中性」がキホンで「アルカリ性」でパワーアップ
台所用洗剤を例に挙げましたが、衣類用洗剤も基本的には同じ考え方です。つまり、おしゃれ着などを洗う為の「中性洗剤」と、しっかり衣類を洗える「弱アルカリ性洗剤」とがあり、以下の特徴を持っています。
<中性洗剤>
・洗浄力は低い
・洗浄時、素材に影響が少ない
シルクやウールなどデリケートな繊維や装飾を使ったおしゃれ着を洗濯するときに使います。汚れをしっかり落とすというよりも、色合いや風合いを保ちながら汚れを落とします。
<弱アルカリ性洗剤>
・程よく洗浄力は高い
・ある程度素材に影響が出易くなる
界面活性剤に様々な成分が配合されています。綿や麻、ナイロン、ポリエステルなどふだん着の衣類を洗濯するときに使います。漂白剤成分が配合されているものもあり、除菌効果も期待できます。きなりや淡い色物には、無蛍光タイプの洗剤がおすすめです。
洗剤は一長一短でありどちらかが優れていればどちらかが劣っているというようなことが多く、衣類の洗剤で言えば、洗浄力の高い洗剤であれば色落ちや風合い変化の起きるリスクが高くなり、色落ちや風合い変化のリスクを低くしたいのであれば洗浄力の低い洗剤を使用することになります。
■カップの染み
コーヒーや紅茶がカップに茶渋を付着させてしまうのは、ポリフェノールの成分が原因です。コーヒーには「クロロゲン酸」、紅茶には「カテキン」とよばれるポリフェノールが含まれています。茶渋が発生するのは、それらが水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分と結びつき、褐色に変化し、カップに付着するという仕組みです。ヨーロッパなど水の硬度が高い国では、軟水の日本に比べて茶渋がさらに発生しやすいのです。数回使っただけで数週間も使い続けたような頑固な茶渋が付いてしまい、洗うのも大変なんだそうです。とはいえ日本でも、よく使うカップには茶渋がこびりつき、なかなか落としにくくなってしまいます。上手な落とし方を知っておき、いつでもサッと落とせるようにしておきましょう。それではカップの茶渋汚れを落とす、安全で簡単な方法を5つご紹介します。いずれも身近なアイテムを使った方法ばかりです。
1.塩でこすり落とす
茶渋は塩を使ってこすり落とせます。水を軽く含ませたスポンジに塩をなじませ、茶渋が気になる部分をこするだけです。ざらざらした塩の粒が研磨剤の役目を果たし、すっきりきれいになります。塩の種類は粗塩や食卓塩などなんでもOKですが、ハーブソルトなど塩以外の素材が含まれているものは向きません。また繊細で傷つきやすい素材に使うのは避けましょう。
2.重曹で洗う
ナチュラルクリーニングの代表である重曹も茶渋汚れに効果的です。ただし、カップは直接口に触れるため、掃除などに使う工業用の重曹ではなく、食品用を選ぶようにしましょう。重曹を使った落とし方は2通りです。
重曹ペーストでこすり落とす
重曹にも塩と同じように研磨作用があり、茶渋汚れを物理的にこすり落とせます。重曹と水を3:1ほどの割合で混ぜて重曹ペーストを作り、スポンジにペーストを付けて汚れ部分をこする。また食器洗いのついでに、重曹を粉末状のままカップになじませ、スポンジで軽くこすりおとしてもよいでしょう。
重曹水でつけおき洗い
こすり洗いでなかなか落ちない頑固な茶渋汚れには、重曹水を作ってつけおき洗いがおすすめです。カップに小さじ2くらいの重曹と40℃ほどのお湯を入れ、30分?3時間ほど放置する。一晩つけおきすると、朝には真っ白に茶渋が落ちています。
3.酸素系漂白剤でつけおきする
同じ漂白剤でも塩素系ほど強い作用を持たず、キッチンでも安心して使える酸素系の漂白剤は茶渋落としにとても有効です。粉末状と液体のタイプがありますが、茶渋をはじめキッチンで活躍してくれるのは粉末状の酸素系漂白剤。「過炭酸ナトリウム」とも呼ばれ、ホームセンターなどで手軽に購入できます。まず、40℃ほどのお湯2リットルを用意します。お湯の中に粉末の酸素系漂白剤を大さじ1程度入れた洗浄液を洗い桶に作り、洗浄液中に15?30分ほどカップをつけおきます。まとめていくつものカップを洗いたいときなどに便利です。もちろんカップの中に直接洗浄液を入れてつけおきしてもOKです。
4.メラミンスポンジでこすり落とす
洗剤を使わず水だけで汚れを落とせるメラミンスポンジは、茶渋落としにも効果的です。軽く水を含ませ、汚れ部分は軽くこするだけ。メラミンスポンジ にある無数の小さな網の目が汚れをかき出してくれます。ただし光沢のあるステンレスやプラスチック・漆器類などはメラミンスポンジの使用には適さないので、注意しましょう。
5.卵の殻で落とす
普段は捨ててしまう卵の殻も茶渋落としに活躍します。オフィスに持っていくタンブラーや水筒など、奥まで手が届きにくいものにおすすめです。卵の殻を砕き、タンブラーや水筒の中に少量の水とともに入れ、蓋をしてシェイクします。これだけで茶色く変色した内側の汚れが驚くほどすっきり落とせます。カップの汚れを落とす際は砕いた殻を中に入れ、スポンジを使って磨くだけでOKです。ただし卵の殻には、まれにサルモネラ菌などが付着している場合があるので、茶渋を落としたあとカップを熱湯で消毒するか、ゆで卵など加熱した卵の殻を使うようにしてください。
カップに茶渋汚れがつかないようにするコツ
手軽に落とせるとはいえ、できるなら茶渋汚れはつかない方が助かります。まったく茶渋をつけないことは難しいですが、カップを使う際に少しだけ気をつけると予防が可能です。
・使ったらすぐ洗う
・すぐに洗えない場合は水に浸けておく
・洗ったらしっかり乾燥させる
以上の点を意識すると、コーヒーや紅茶による茶渋を防げ、きれいな状態を長くキープできます。つい放っておいてしまいがちな茶渋汚れは、意外と簡単な方法でするりと落とせます。たとえば1週間に1回などまとめてカップを洗う日と決めておくと、常にきれいな状態をキープできるのでおすすめです。いつも真っ白なカップで、見た目にも美しいカップを目出ながら、リラックスできる時間を過ごしたいものです。