日記

2024-02-12 16:27:00

13. ストレート/ブレンド

13.ストレート、ブレンド
「ブレンド」と「ストレート」の違い
「ストレート」と「ブレンド」の違いを簡単に説明すると、ストレートとは、一つの産地(ブラジルやコロンビアなど)から収穫された単一産地のコーヒー豆を指します。「ブルーマウンテン」「モカ」「キリマンジャロ」などの銘柄が有名です。それに対してブレンドは、複数産地のコーヒー豆を合わせたものを指します。有名ホテルやコーヒー専門店で、「○○○ブレンド」などの屋号の名称をつけた銘柄を見かけます。 身近な食品で例えるなら、日本人の主食であるお米もストレート(単一米)とブレンド(ブレンド米)で分けられます。米屋さんの店主や、研究開発にあたるメーカーなどは、産地や配合の割り合いを変えてブレンドすることで思い通りの味を作ることができるそうです。単一米として有名な産地米よりおいしいブレンド米が存在しているのは、それぞれの特徴を活かしつつバランスよくまとめる技術があるからなのです。

 

■ストレート派、ブレンド派
コーヒーではストレートとブレンドどちらがおいしいのでしょうか。結論は、お米の話と同じで、どちらも美味いし、どちらもお勧めです。ストレートは単一産地なのでその産地ごとの特徴や個性、香りなどの豆本来の味が引き出され、完成したおいしさをダイレクトに堪能できます。ブレンドは、それぞれの豆の良いところや持ち味を活かしながら、数種類のコーヒー豆を合わせ、1種類の豆だけでは出せない複雑な味わいや、新しい味を作り出すことができます。コーヒーは飲み方や豆ひとつとっても味が変わる奥の深い飲物です。だからこそ、自分のお気に入りの味に出会えた時の感動を忘れられないのではないでしょうか。時にストレート派はブレンドを、ブレンド派はストレートを試してみることです。

ストレートコーヒーが美味しい代表的なコーヒー豆と特徴
豆本来の味をきちんと知りたいならば、ストレートコーヒーがおすすめです。まずはそれぞれの豆が持つ特徴を知ることです。代表的なコーヒー豆として「世界三大コーヒー」の「ブルーマウンテン」「キリマンジャロ」「ハワイコナ」、他を取り上げます。

・ブルーマウンテン
産地はカリブ海の島国ジャマイカです。その東側に連なるブルーマウンテン山脈の内側、ブルーマウンテンエリアで栽培される良質なコーヒーだけが「ブルーマウンテン」と呼ばれます。気品あふれる香り、しっとりとした甘味など調和のとれた味わいから「コーヒーの王様」と称されています。酸味、苦味、香り、コクなどバランスの良いコーヒーです。通常、コーヒー豆を出荷する際は麻袋に詰めますがブルーマウンテンは樽詰めで出荷され取扱いも特別です。

・キリマンジャロ
産地はアフリカ東部のタンザニアです。その北東部にそびえるアフリカ最高峰、キリマンジャロ山の斜面で栽培されます。海が隆起した海抜2000m級の高地で育ったため非常に個性的な味が出やすく、世界中に多くのファンがいます。グレープフルーツのような柑橘系の爽やかなフルーティーさで、心地よく甘酸っぱい酸味があるのが特徴です。取引されるときは「タンザニア」とも呼ばれます。

・ハワイコナ
産地はハワイ島の西側にあるコナ地区です。コナ地区は火山灰の影響を受けて栄養を蓄えた土壌、昼夜の寒暖差がある気温など、コーヒー栽培に適した条件がそろっているため良質な豆が育ちます。その生産量は極めて少なく、希少な高級品です。やわらかい酸味と豊かな香りが特徴で、レンゲや蜂蜜のような甘い風味も感じられます。

・モカ
産地はエチオピアでコーヒ発祥の地。エチオピアは木の実を食べて興奮するヤギを見たヤギ飼いカルディがコーヒーを発見したという逸話が残ります。エチオピアとイエメンで生産されるコーヒーは昔、イエメンの積み出し港であったモカ港に因み「モカ」と呼ばれています。標高1600~2200mの高地で昼夜の寒暖差が大きく、霜が発生するような気候風土で栽培されるモカはアフリカコーヒーを代表する存在です。味わいはグリーンアップルを思わせる青い果実で明るく軽やかなイメージの風味があります。

・マンデリン
産地はインドネシアのスマトラ州。トバ湖の南岸にあるエリアで火山性の独特な土壌により、エキゾチックな味わいになります。ミルキーでクリーミーな味わいと香りの中に、フルーティな甘酸っぱい甘みが楽しめる豊かなコクとバランスか取れた苦味が特徴です。味のごまかしがきかないストレートコーヒー名前の通り、1種類のコーヒー豆のみ使用したコーヒーのことです。味のごまかしがきかないため、ストレートでおいしく飲めるコーヒーは数少ないと言われていますが、ブルーマウンテンNo.1やキリマンジャロなど各国の最高級銘柄はストレートコーヒーにも適していると言われています。

シングルオリジンコーヒーの台頭
ストレートコーヒーは単一産地のコーヒーだと述べました。「ブラジル」「コロンビア」といった国や、「ブルーマウンテン」「キリマンジャロ」といったエリアのように生産地の名前がつけられています。それに対して、最近「シングルオリジンコーヒー」が注目を集めています。ストレートコーヒーは国やエリアだけでまとめられるため、誰がいつ、どんな場所で作ったコーヒーなのかわかりにくいという点があります。そこでシングルオリジンコーヒーは生産国やエリアに加え、収穫時期、生産者、豆の品種、精製方法などの単位で一銘柄とします。ワインと同じように考えたらわかりやすいのではないでしょうか。同じフランス産ワインでも、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュというように産地で分けることができます。コーヒーの場合、同じブラジルで生産されたものでも、農場ごとに土壌、日照時間、気温などが違います。生産者はその土地に合わせた品種と生育方法で栽培しているため、個性豊かなコーヒーが生まれるのです。国やエリアといった大きな単位のストレートコーヒーから、農場や生産者といった小さな単位のシングルオリジンコーヒーへと移りつつあります。
食の安全に対して関心が高まりつつある昨今、この流れは自然のように思います。生産者の顔と産地のストーリーが見えて、遠い国からやってきたコーヒーがなんだか身近に感じられます。

 

個性ある豆たちを組み合わせたブレンドコーヒー
豆の個性を組み合わせることで、味を安定させ好みの味を作り出したコーヒーのことです。昔は「ブレンド」と言うと質の悪い豆に上質な豆を混ぜて誤魔化すといったイメージもありましたが、今ではより良いコーヒーを作り出すためにブレンドされていることが多いと言われています。
ブレンドの仕方ですが、ブレンドをする豆たちの焙煎度はできるだけ揃えておき、豆の種類は3~4種類にすることがポイントです。これは、あまりたくさんの種類の豆をブレンドするとすべての個性がぶつかってしまい統一の取れない味になってしまうためです。中間的な味の豆を基本とし、その味に酸味や苦みをもつ個性ある豆を混ぜ合わせ調和のとれた味をつくり上げることが大切です。自分でブレンドをする際は、一度各々の味や風味をしっかりと記憶してからはじめましょう。ここでは、ブレンドによく使われるコーヒー豆の銘柄と特徴をご紹介します。

ブラジル サントスNo.2

香ばしさとさわやかな酸味が特徴のブラジル産の豆でブレンドコーヒーのベースに使われることがとても多い人気の高い豆です。ブラジルのコーヒーの等級ではNo.1は存在しないため、このNo.2が最高等級となっています。

コロンビア スプレモ

豊かな酸味とコクが特徴のとてもサイズの大きい豆です。甘みとコクのバランスが良いクセのないコーヒーになります。

ジャマイカ ブルーマウンテンNo.1

世界的に有名なジャマイカのブルーマウンテン。その中でも、大粒のものだけを選別したもの、最高品質のものがNo.1です。香りを飲む、と言われる程の優雅な香りと調和の取れた味わいはまさに「コーヒーの王様」です。

ハワイ コナ エクストラファンシー

ハワイの火山灰の土壌で栽培されるコナコーヒーの中でも最高級の豆で、ミネラル感に満ちており独特の酸味とあと味のほのかな甘味が特徴。バターのようなコクもあります。

 

■味の決め手、ローストの種類
コーヒーの焙煎は浅いほど酸味が不安定で変化しやすく、味が安定しません。日本では中炒りが主流となっていますが、嗜好の多様化と共に深炒りも市場に出回るようになりました。
浅煎り
・ライト…黄色がかった小麦色
・シナモン…シナモン色

中煎り
・ミディアム…栗色、色・香りは良好で、適度な苦味・酸味があります。
・ハイ…標準的な焙煎で、色・香は良好で、苦味がやや強く、少しの酸味があります。
・シティ…色・香りは良好で、苦味が強く、少しの酸味があります(シティとはニューヨークシティからきたものです)

■品種ごとの風味の特徴
以下に示すのは、おおよその風味の違いですが、それぞれの焙煎の度合いによって多少違ってきます。

●酸味の強い豆
アラビアモカ、グアテマラ、キリマンジャロ、コロンビア、ハワイコナ、メキシコ、エルサルバドル(高地産)、ケニア、コスタリカ(高地産)

●苦味の強い豆
マンデリン、インド、ジャワ、ウガンダ

●中庸の豆
ブラジルサントス、ホンジュラス、コスタリカ(低産地)

●甘味の多い豆
グァテマラ、コロンビア、ハイチ、メキシコ、ジャマイカ、ブルーマウンテン

●コクのある豆
ブルーマウンテン、グアテマラ、コロンビア、アラビアモカ、コスタリカ

●香気の高い豆
ブルーマウンテン、グアテマラ、コロンビア、アラビアモカ、ハワイコナ

■ブレンドの目的・方法
コーヒーの豆には、たくさんの種類がありますが、それぞれ個性があってその味も違います。このような持ち味の違うコーヒー豆を数種配合することによって単品の欠点を補い、味の調和をとることがコーヒーのブレンドの目的です。

ブレンドの方法
1 原則として相反する豆を選ぶ
酸味のコーヒーだけや苦味のコーヒーだけを配合するのでは、一つの味に片寄ってしまって、逆に癖が出過ぎてしまいます。

2 ブレンドの主体とする豆を決める
いずれか一つを主体にすることで、酸味や苦味などをほどよく調和して、ストレートでは出せない風味を作り出すことができます。

3 配合率はなるべく差をつける
配合率は7対3とか、5対3対2というように、なるべく差をつけたほうが効果的であり、比較的成功しやすいでしょう。

4 多種の配合は無意味
主体とする豆にあと2、3種特徴のある豆を配合すれば十分です。一般的なのは3種の配合で、少ない場合で2種、多くて6種ぐらいまでです。