日記
28. 味覚
28.味覚
■味覚と温度、色
口の中に何か物を入れた時に感じる感覚、これが味です。この時に気持ち良く感じる感覚が、美味しさになります。美味しさの感覚を感じる場所
1、舌の上にある味覚
甘い味、酸っぱい、塩辛い、苦いなど。
2、鼻による嗅覚
コ-ヒ-の香り、味噌の香り、果物の香りなど。
3、目による視覚
色、形、湯気、分量、照明など。
4、手、皮膚、口の中(粘膜)による触覚
容器の安定感や重量、歯切れ良さ、温度など。
5、耳からの聴覚
お茶漬けのさらさら。焼肉の焼ける音。鍋物のコトコト音など。
6、記憶
美味しかった想い出、楽しい想い出。
■味の変化
基本となる四つの味、塩味、甘味、酸味、苦味(辛味)の関係
・塩味が尖った時、少量の酸味を加えると味が柔らかになる
秋刀魚の塩焼にスダチを添える、塩焼魚に酢を垂らすなど
・強い甘味+強い塩味は、塩味が柔らかくなる
・甘味+少量の塩味(0.5%)で、甘味が強くなる
甘酒やお汁粉を造る時に、砂糖と少量の塩を加えるなど。
・酸味の強いものや苦味のきいたもの+甘味で、味が和らぐ
レモン汁にソ-ダ水(レモンスカツシュ)+砂糖で、酸味を和らげます。
・互いの味には相乗効果と、抑制効果がある
昆布のうまみとかつおぶしの旨みがプラスされて、美味しいだし汁となります。塩味が強過ぎるス-プに胡椒を入れることで、塩味が丸くなります。
■味と温度
味は、体温を中心にした温度で変化します。四つの基本になる味、塩味、甘味、酸味、苦味(辛味)の場合。
塩味 ⇒温度が高くなるほど感じ方が柔らかになります
甘味 ⇒体温が最高の甘味と感じ、低くなっても、高くなっても下がります
酸味 ⇒温度による変化は、ほとんどありません
苦味 ⇒温度が低い時も体温と同じくらいで、高くなるほど柔らかくなります
温度そのものの口の粘膜への刺激は、体温に近いほど、弱くなります。25度以上離れている時が快適感を感じます。冷たい水、温かなお湯など。ただし、火傷しない温度は約70度が限度で、味覚が麻痺しない温度は、約5度までです。
■味と色の関係
美味しく感じる色
ピンク、赤、オレンジ、黄色、きつね色、一般的に暖色系の色が美味しく感じる色です。ス-パ-などでは、入り口の目立つところに暖色系の果物を置いています。サラダにラデッシュニンジン、小さな花を食卓に飾る、赤色系のナフキンを使う、ロウソクの炎などはその演出です。しかし、全部を暖色で埋めると逆効果になる場合もありますので、目立たせるためには、少なめに使う方が良いでしょう。料理の盛りつけ、松花堂弁当や幕の内弁当などを例にすると、海老などの赤い物を中心に盛り、近くに青い物(インゲンマメや蕗の青煮など)を添えて、周りに卵焼などの暖色を盛り、黒豆や椎茸の旨煮の黒で色を引き締めます。料理をする人なら誰でも気づくことですが、温かいと美味しいもの、冷めると不味いもの、冷めても美味しいもの、料理と温度の関係性は言わずもがな大切なものです。人間が快い温かさを感じる温度は、体温よりも25度以上、つまり温かいものであれば62度から70度、冷たいものであれば、5度から12度とされているのです。例えば、溶けたアイスクリームを食べたら非常に甘ったるかったとか、冷やしていたジュースを常温にした方が甘さが増した気がした、といった経験はありませんか。舌が「冷たい」と「甘味」の刺激を同時に得ることが、アイスのおいしさの秘訣なのです。料理は最適な温度で食べる方が、味のバランスが崩れずおいしいのはいうまでもないが、再加熱や保温はあまりよい方法ではない。時間が経ったり、作る過程で必要以上に加熱した場合、食べ物の成分の微妙な構造がのつりあいが壊れ、再び熱を加えても元には戻らないのが普通なのです。
■味と聴覚
味覚は聴覚の影響を直接、受けています。ある研究では対象者の80%が音で味が変わったと回答しています。苦目の食品では、「ソプラノの甲高い音」を聞くと少しの苦さを感じます。しかし「無音」では、より苦さを感じます。木琴やパイプオルガンなど丸みや豊かさを感じる深い音は、甘みを引き出します。逆に激しい音は、酸っぱさを増して感じるようです。
■食べ物の温度
味は大別すると4つにわかれます(ヘニングによる味の分類) これに、うま味が加わり味覚は構成されています。味には大きく分けて四種類の原味があるといわれているのです。これを唱えたのは、ヘニングという人ですが、塩味、甘み、酸味、苦みのことをいいます。そして、その味が温度とともに違って感じるということを理解しておくことが大切です。
人間の舌は、料理の温度によって味の感じ方が違います。こんな経験をしたことがないですか。例えば、
・冷えた味噌汁は、温かい時に比べてしょっぱく感じる
・溶けて冷たくなくなったアイスクリームは、冷えたときに比べて甘く感じる
・冷えた缶コーヒーは甘さを感じない
・冷えたカレールーを食べてみると、温かい時に比べて塩辛い
なお、たらこを温めると塩っぱくなるのはこれとは別で、水分が蒸発して塩分が強くなるだけです。
これらは、温度によって味の感じ方が違うことの証拠です。人間の味の感じ方は、実は5つの次元で説明することが出来ます。
塩辛さ、甘さ、酸っぱさ、苦さ、旨みの5つです。
塩辛さは、温度が高くなるにつれて感じ方は穏やかに、低くなると強く感じるようになってきます。甘さと旨みは、温度が高い、あるいは低いと、穏やかに感じるようになります。一方体温に近くなるにつれて、感じ方が強くなってきます。酸っぱさの感じ方だけは、温度にあまり影響がありません。塩辛さ、甘さ、旨味ついて、だいたいこういうものだ、と頭の隅に置いておくと役に立ちます。例えば、塩分を気にされている方には、塩分を控えめにして少しぬるめに料理を出すと良いでしょうし、素材の旨味を味わいたい料理の場合は、気持ちぬるめにして出すと、その旨味を感じやすくなる、ということになります(もちろん料理には適温、というものがありますので、あくまでもある程度、ということになります)。砂糖をあまり取りたくない場合には、冷やして食べるアイスクリームよりも、パンケーキの方が甘み感覚を味わえるものと思います。
■冷めたコーヒー
ネットや書物で「美味しいコーヒーは冷めても美味しい」といった記事を見かけます。味覚、嗜好は人それぞれという前提はありますが、「美味しいコーヒー」の条件は「豆本来の素材」「適切な焙煎」「鮮度」を意識して抽出したものを指しています。この条件が揃ったコーヒーは温かい状態で美味しいのですが、冷めてもその品質は維持できるのです。冷たさを嗜むために冷蔵庫で冷やしましょう。 品質の良いコーヒーはそもそもの雑味成分が少ない為、冷めてしまってもスッと飲めてしまいます。これが「冷めても美味しいコーヒーは良いコーヒー」の正体かと思われます。ただし抽出後は徐々に酸化していき、香りも抜けていきます。冷めたコーヒーを再加熱しても、ドリップ直後の味わいには戻りませんので、冷めないうちに飲みきることをお勧めします。ハンドドリップで抽出する場合、お湯の温度は80℃~92℃あたりが好ましいとされています。仮に80℃のお湯をドリップしたとすると、仕上がりのコーヒーは80℃を下回ります。少々ぬるく感じるかもしれませんが、そのくらいの温度のコーヒーは細かい味わいを感じやすいのです。熱々のコーヒーは、舌には「熱さ=刺激」が目立ち、味がわかりにくくなります。冷たい場合も同様で、氷でキンキンに冷えたアイスコーヒーもほろ苦さは感じるかもしれませんが、その他の味は感じにくくなります。品質の悪いコーヒーでも抽出温度が高かったり、温めなおしたりして熱々の状態であれば、雑味などが一時的に感じにくくなりますが、時間が経ち温度が下がってくると、美味しくない味わいが顕著に出てきます。
■鮮度と飲み頃はズレがある
焙煎機から引きあげた焙煎直後のコーヒー豆は良い香りで、すぐにでもドリップしたくなります。実際に焙煎直後のコーヒー豆にお湯を注げば、鮮度の象徴『コーヒードーム』はムクムクと勢い良く膨らみます。『香り』『コーヒードーム』、間違いなく美味しいコーヒーに仕上がる条件に思えるのですが、飲んでみると予想とは違う味わいがします。新鮮さは感じるが濃度は薄く、様々な要素が主張しあって落ち着きのない味わいに感じます。しかし数日経過してから飲むと飲みやすくなります。この「数日後」が飲み頃とされているのです。焙煎直後のコーヒー豆は大量のガスを放出しており、コーヒー豆は焙煎する事によって『ハニカム構造』という蜂の巣の様な空洞が内部にできます。その空洞の中に炭酸ガスが溜まっていて、お湯を注ぐことによって炭酸ガスが押し出され、その結果ムクムクと『コーヒードーム』ができます。この炭酸ガスは焙煎直後から徐々に自然に放出されます。 古くなったコーヒー豆が膨らまないのはそのせいです。焙煎直後は本当に勢い良く膨らみます。しかし、その大量に放出された炭酸ガスが逆にコーヒー成分の抽出の妨げになり、結果、希薄な味わいになるのです。また同様の理由から感じ取れるフレーバーがわかりずらくなり、落ち着きのない味に感じます。