日記
26. 雪室コーヒー
26.雪室コーヒー
雪室の特長
①1年を通して、一定した低温・高湿度環境が保てる
雪室の内部は、35度の真夏であっても-8度の真冬であっても、通年を通して温度が一定となります。雪室の構造によって0度の雪室、5度の雪室、など一定温度の違いはありますが、通年を通して温度のゆらぎがありません。冷蔵庫は平均4.8度を保つためにサーモスタットが起動し、10度~-1度の間で温度のゆらぎを起こします。その温度差により食品の細胞が傷みやすくなり、美味しさの維持に影響があります。また雪室は湿度90%以上の高湿度環境です。湿度の高いうるおい空間のなかで食品保存することで、乾燥を防ぎ鮮度を維持します。低温・高湿度環境の雪室は湿度の低い冷蔵庫と比べ、圧倒的な鮮度保持能力があり、元々の新鮮さに近い状態での保存が可能なのです。
②振動、光による影響を受けないストレスフリー熟成
雪室は自然エネルギーである雪を活用するため、電気の振動がありません。また冷蔵庫のような開け閉めによる光の変動、温度の変動も受けません。この外部からの影響を受けない状態を「静置(せいち)」といいます。静置状態に置かれた食品は、ストレスが少ないため状態の良い熟成をすると言われています。
③熟成による味覚の変化
静置状態で良い熟成を行った食材たちの中で、味覚に変化を及ぼす食品があります。例えば野菜、米などの穀類は寒さからこおらないよう身を守るため、体内のでんぷんを糖分に変化させます。これを糖化現象といいこの作用により食品が甘くなるのです。また雑味がとれる、苦味が抑えられるといった味覚の変化を起こす食品が存在します。昔から雪中貯蔵と言われお酒などが有名ですが、不思議と味がとろりとまろやかになるなど、様々な変化をします。この雪がもたらす味覚の変化を数値的に解明していくため、各種学術研究機関と連携して成分調査が進められています。
④低温による劣化防止、呼吸を抑えることによる酸化防止
雪低温状態に置かれた食品、特に細胞の生きている状態のものは寒さに耐えるため、呼吸を控えます。このプチ冬眠といえる状態は、食品の劣化・酸化を抑えます。
⑤自然との共存、雪エネルギーの活用
雪室は雪を再利用する、自然リサイクルエネルギーです。雪は生活をしていく上で厄介なものですが、雪国新潟では「利雪=雪を利用し、共存する」という考え方が発展してきました。50年ほど前に電気冷蔵庫の発展により廃れかけた雪室は、エコの意識の高まる現在、大きく見直されてきています。雪を1トン利用することで、石油を10リットル、CO2を30kg削減すると言われています。1個の雪室に入れる雪の量は年間400トン~700トンです。かなりの削減になります。
コーヒーを生豆の状態で輸入し、雪室に貯蔵します。地区により異なりますが概ね湿度が100%近く、温度が1~3度くらいです。湿度の高い雪室で熟成することにより水溶性の不快な香り成分が雪の湿気にすわれて飲みやすくマイルドになります。
雪室でコーヒー豆を貯蔵することによって、アルデヒド類の不快な香りの成分が減少し、甘い香りや、香ばしい香りを含むビラジン類、コーヒーらしい香りを含むフラン類の構成比率が上昇します。(新潟県立大学健康栄養学科・新潟農業総合研究所食品研究センター)
雪室とは雪国で歴史的に伝わっている雪を使った食料の保存方法です。
コーヒー豆に限らず米や野菜、お肉など幅広い食べ物がこの雪室というところで保管され、天然の雪によって鮮度を保たれます。雪室内は温度0℃で湿度90%以上を常にキープしており、光や乾燥で食品が劣化することがないことから、美味しい状態で食べ物を保管することができる
と言われています。雪室を活用することによって、お酒やコーヒー豆はを熟成させることができ、熟成のタイミングで発生する不快臭も雪の作用によって抑えられると言われています。雪室という保存方法は伝統的に雪国で行われているようですが、その中でもコーヒーに関しては新潟にある雪室珈琲屋という所が有名なようです。