日記

2023-09-21 18:58:00

スペシャルティコーヒー

■スペシャルティ・コーヒー
ルーツはアメリカ。スペシャルティコーヒーという言葉は、アメリカのコーヒー会社オーナーであるErna Knutsenさんが1970年代の雑誌や国際会議で使ったのが始まりとされています。元々は、『特別な気象・地理的条件が生んだユニークな香りを持つコーヒー』のことを指した言葉でした。1982年になると、曖昧だったスペシャルティコーヒーの定義を定めようとアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が設立されました。SCAAはコーヒーを100点満点で採点する評価基準を設け、点数が80点以上のものをスペシャルティコーヒーと呼んでいます。その後、日本でも2003年に日本スペシャルティコーヒー協会が設立され、展示会や競技会等の広報活動を行い、徐々にスペシャルティコーヒーという言葉が浸透していきました。
日本スペシャルティコーヒー協会では、『消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。』がスペシャルティコーヒーの定義としています。
定義だけだと抽象的で伝わりにくいかもしれないので、具体的に説明すると、栽培、収穫、輸送、保管、焙煎、抽出までが一貫した管理体制で行われ、カップに独特な風味が表現され、コーヒーを飲む人が美味しいと思えるコーヒー、こがスペシャルティコーヒーになります。この一連の流れは『From seed to cup』という言葉でも表現されます。
スペシャルティコーヒーは生産農園が品質の良いコーヒー豆を作るだけではできません。農園から始まりコーヒー豆を輸送する人、焙煎をするロースター、そして抽出を行うバリスタ。それぞれが力を発揮しながらコーヒー豆というバトンを繋いでいくことで、ようやくスペシャルティコーヒーというゴールへとたどり着くことができるのです。


スペシャルティコーヒーは消費者の基準から始まった
一般的なコーヒーの品質はコーヒーが作られた場所の標高や豆の大きさで定められたもので、これはコーヒーを生産する側が決めた基準であり、必ずしも風味を保証したものではありません。また、豆の大きさを合わせるために色んな農園の豆が混ざられることもあります。これではせっかく美味しいコーヒー豆があっても、平凡なものと一緒になってしまいます。一方、スペシャルティコーヒーは消費者が美味しいコーヒーを飲みたいという思いから始まったものです。実際にテイスティングし、認められるには一定の評価を受ける必要があります。これはコーヒーの消費者の基準と言えます。なので、スペシャルティコーヒーを作ってもらうには、生産者に今までと違う基準を受け入れてもらう必要があります。そのためには、品質の良いコーヒーを作れば高い価格で買い取るよ、という仕組みを作る必要があります。そのために直接買付け等様々な仕組み作りがされていますが、特に有名なのはCOE(カップオブエクセレンス)です。


スペシャルティコーヒーの中でも極上品。COEとは?
COE(カップオブエクセレンス)とは、年に一度行われるコーヒー豆の品評会で、数ある品評会の中でももっとも権威のあるものとされています。低迷するコーヒー市場に対抗するため、1999年にブラジルで開催されたのに始まり、現在は、中米を中心に10ヵ国程で開催されています。生産農家にとってCOEに入賞することは大変名誉なことで、入賞すると農家の名前は一気に世界中に知られることになります。名前が知られる理由は、COEで選出されたコーヒー豆はインターネットオークションで販売されるから。世界中のコーヒー豆バイヤーがCOEの豆を競り落とそうとモニターに目を光らせています。これにより、落札されたコーヒー豆を作った農家は有名になり、多くの収益を得ることができます。
このCOEの取り組みにより、品質の良い豆を作れば正当な評価を受け、なおかつ高い価格で買い取られるということが実証されました。これはコーヒー農家の品質の良いコーヒー豆を作ろう、というモチベーションに繋がるのです。


スペシャルティコーヒーの定義
スペシャルティコーヒーの具体的な定義については、世界共通のものは存在せず、各国のスペシャルティコーヒーに関する業界団体が、それぞれの国の文化に合わせて定めています。日本では、一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が、下記のように定義しています。消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)


一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 -スペシャルティコーヒーの定義
具体的には、SCAJ、SCAA、COE(カップ・オブ・エクセレンス)等が定める評価基準(カッピングフォーム)で点数をつけて、高得点を取ったものをスペシャルティコーヒーと呼ぶのが一般的です。SCAJのカッピングフォームでは、カップ・クォリティのきれいさ/甘さ/酸味の特徴評価/口に含んだ質感/風味特性・風味のプロフィール/後味の印象度/バランスの7項目でコーヒーの評価を行います。特に、「風味特性・風味のプロフィール」は、スペシャルティコーヒーと一般のコーヒーを区別する最も重要な項目とされています。
ちなみに、Blackhole Coffee Roasterは、スペシャルティコーヒー専門をうたっていますが、SCAJの定義に加え、下記の客観的事実に当てはまるコーヒー生豆を使用することで、当店のコーヒー豆がスペシャルティコーヒーであることの根拠としています。
SCAA/COE/SCAJ等基準のカッピングにおいて、80点以上のスコアで評価されている輸出国の公的機関による公正なる評価により「スペシャルティ」と認証されている限定された希少コーヒーや産地が限定されるコーヒーで「スペシャルティ」に相当すると評価されている


トレーサビリティ(追跡可能性)
クヌッセン女史のコンセプトに「特別な地理条件や微小な地域の気候が…」とある通り、スペシャルティコーヒーにおいては、どのような環境でコーヒーが育てられたかの情報は重要です。どの国の、どのエリアの、どんな農園が、どんな方法で精製したかなどの情報を追跡することができる、トレーサビリティ(追跡可能性)が重視されています。


サステナビリティ(持続可能性)
スペシャルティコーヒーの世界だけではなく、様々な産業において注目されている「サステナビリティ(持続可能性)」。具体的には「現在のニーズを満たしながら、将来世代が自分たちのニーズを満たす能力を失わない発展」のことです。

 

■品質ピラミッド
コーヒーには、品質のピラミッドというのがあって、スペシャルティコーヒー→プレミアムコーヒー→コマーシャルコーヒーの順番に高い品質になります。スペシャルティコーヒーには、各国のトップであるカップオブエクセレンスも含まれます。


コマーシャルコーヒーとは?
最も多く消費されています。コモディティコーヒーやメインストリームコーヒーとも呼ばれています。一般的に、コーヒーとして扱われているコーヒーで「商品先物取引」で売り買いされているコーヒーのことです。スーパーなどに並んでいるコーヒーもこれに該当するものがほとんどです。値段を最優先しているコーヒー豆で、味香りを判定して、価格が決められます。つまり、香りも味も劣るコーヒーということになります。
銘柄は一見、1つの 産地名を指しているようですが、中身の豆は様々な農園から集められています。また、コーヒー豆は、生産者ごとではなく、全て混ぜられるため、頑張って品質向上に勤めている農家も他の農家と同じ評価になってしまいます。(日本の野菜などの市場でいうと共選と同じ仕組み。)美味しいコーヒーとして(味で)取引されているわけではありません。


プレミアムコーヒーとは?
ブランド名を最優先にしたコーヒーをさします。ブルーマウンテン、キリマンジャロ、ハワイコナなどの名前を聞くとピンとくる人も多いのではないでしょうか。
巷のコーヒー屋さんは、この品質のコーヒーを使っている場合が多いようです。


スペシャルティコーヒーとは?
品質や美味しさを最優先したもので、カッピングによるテストで一定の水準を超える品質であり、トレーサビリティが明確で、生産した生産者が特定できるコーヒー豆をさします。スペシャルティコーヒーの通販サイトで、生産者の顔がよく出ているのは、その生産者あってのそのスペシャルティコーヒーだからです。各国の生産者がその国の今年の一番を競うカップオブエクセレンス(COE)で受賞したコーヒー豆もスペシャルティコーヒーに該当します。

 

■COE/カップオブエクセレンス歴代の入賞豆
カップオブエクセレンスは参加国ごとに年1回、予選からオークションまで約2か月にわたって開催されます。開催時期は年によっても異なりますが、コーヒー豆の収穫期に合わせて国ごとに概ね決まっています。ニカラグア、グァテマラ、メキシコなど多くの国では5月下旬から準備が始まり、6~8月にかけて予選・国内審査員による審査、国際審査員による審査が行われています。ブラジル・エクアドル・ペルーでは11~12月にかけて行われ、インドネシアでは2~3月ごろです。1年に2回の収穫期があるコロンビアでは、3~5月ごろの年と9~11月ごろの年があります。
カップオブエクセレンスの開催国には、高品質の豆が生産できる地域が多い国と、そうでない国があるため、国によって全体的なレベルの差があります。例えば、ニカラグアCOE優勝豆の得点はメキシコの2位に及ばない得点です。

では、各国の大会で優勝したコーヒー豆について、その得点で比較した上位3位を紹介します。開催国名、生産地、品種、加工方法の順に記述。

 

2021年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 エルサルバドル Mileydi農園 パカマラ セミウォッシュド

2位 メキシコ Finca SantaCruz農園 ゲイシャ ナチュラル 

3位 ニカラグア Jesus MountainCoffee Company農園 パカマラ ウォッシュド

 

2020年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 ニカラグア Un Regalode Dios農園 マラカトゥーラ ナチュラル

2位 グァテマラ El Socorro農園 ゲイシャ ウォッシュド

3位 エチオピア Niguse GemedaMude農園 74158 ナチュラル

 

2019年に行われたCOE優勝豆の上位3位は次のとおり。

1位 ホンジュラス Santa Lucia農園 ゲイシャ ウォッシュド

2位 メキシコ Santa Cruz農園 ゲイシャ ナチュラル

3位 コロンビア Mikava農園 ゲイシャ ナチュラル