商品と料金設定
◆味の好みと味付け
コーヒーを飲む側(人)は多種多様ですが、コーヒー液の味付けは4つのラインで区分できます。
1.焙煎度ライン
酸味(酸っぱい)⇒ マイルド(穏やか)⇒ 苦味(苦い)
2.濃度ライン
濃い ⇒ マイルド ⇒ 薄い(アメリカン)
3.純度ライン
ストレート(単一豆) ⇒ 2種ブレンド ⇒ 3種ブレンド ⇒ 4種ブレンド
4.変身度ライン
ブラック ⇒ ブラック(砂糖入り)⇒ ミルク入り
◆味変の演出
1.焙煎度ライン
焙煎が浅い(短い)と酸味が強く、焙煎が深い(長い)と苦味の強い味になります。中間はマイルド味です。どんな豆でも同じ傾向にありますが、豆の素材を活かすのがプロのテクニックです。例えば高地で栽培された高級な豆は独特の酸味を持っているので、基本は酸味を活かすべく浅煎りです。そこにどれだけの苦味を足し算するかはロースターの腕前なのです。またアジア系のコクのある豆は苦味を程良く引き出すように焙煎しています。
コーヒーの苦味について解説すると、苦味の正体は2つあり、一つは豆自体に含まれている「カフェイン」、そしてもう一つが焦げることで作られる「メラノイジン」です。焙煎時間が長くなるにつれカフェイン成分の苦味は無くなっていきメラノイジンが勝ってきます。スペシャルティコーヒーはさわやかな酸味と融和する苦味(カフェイン)を持つ豆なので、カフェインとメラノイジンの双方の顔を立てる焙煎が求められるのです。
◆味変の演出
2.濃度ライン
(1)湯量が増すごとに薄味になります
(2)焙煎度が浅いと薄味になります
(3)豆の挽き方が粗くなると薄味になります
薄味のコーヒーを「アメリカン」と呼びますが、お湯を足して薄くするのではなく、本来の作り方は(2)+(3)です。粗挽きで粉量を多めに使用するため贅沢な作り方といえます。なお「アメリカン」の由来は以下のとおり(諸説あり)
①コーヒーの普及時期にアメリカ人がたっぷりお湯を入れる薄味を好んだことから
②戦時中、品不足によりコーヒー豆の価格が上昇し、苦肉の策として多めのお湯を入れたことから
③ヨーロッパ人がアメリカ大陸を開拓したとき抽出器具を持参しなかったため、屋外用の簡易な焙煎機やパーコレーターを使用し薄味になった
◆味変の演出
3.純度ライン
①ストレートコーヒー
同じ産地の豆だけで淹れるコーヒーをストレートコーヒーといいます。例えば、ブルーマウンテン、ハワイコナ、ブラジルコーヒーなど有名です。同じ産地であれば良いので各農園の豆が入り混じっています。味の傾向は似ていますが実は農園ごとに風味は異なります。ストレートコーヒーの楽しみは豆固有の味を知ることにあり、これを極めるには「同じ農園で同じ時期に収穫した豆だけ」で飲む必要があります。これを実現させたものを「シングルオリジン」といい、スペシャルティコーヒーはこの基準をクリアしています。
◆味変の演出
3.純度ライン
②ブレンドコーヒー
【スペシャルティコーヒーに挑めるは、超絶ブレンドか】
ブレンドコーヒーとは、複数の特長ある豆を混ぜ合わせて独自の風味・味に調合したコーヒーのことです。ブレンドの方法は店舗やメーカーにより異なります。ブレンドした人(ブレンダー)の好み・腕前が試されるため、店の看板となる重要なポジションを担っています。ブレンドするのは簡単ではありません。そもそも豆の個性を知らなければ作れないのです。ブレンドの狙いは一つの豆では不足している味成分を別の豆でカバーし高級豆に近い風味へと仕上げることです。また、商品名から想像して創作することもあります。ショコラブレンドとか軽井沢ブレンド等のようにユニークな発想とイメージどおりの調合テクニックを要します。その他「ブルーマウンテン・ブレンド」のように、高級豆をメインに据えたブレンドもあります。裏話ですが「ブルーマウンテン・ブレンド」と名乗るにはブルーマウンテン豆を全体の30%以上使用しなければなりません。法律で決まっています。しかし裏を返せばブルマン30%、ブラジル豆70%の配合でもブルマンブレンドとして販売できるのです。割合的にはブラジルブレンドですよね。