商品と料金設定
◆「ミス」を減らすために
1.賞味期限内に飲む = 痛まないうちに使い切る
<豆が痛む原因>
①温度
・温度が高くなるほど、傷みやすくなる。学者らの研究によると10℃上がると賞味期間は半分になるそうです(できるだけ低温での保存が良い)
②湿度
・湿度が高くなるほど、傷みやすくなる。特に焙煎した後の煎り豆は吸湿しやすいので注意が必要です(缶の蓋や袋の口をきちんと閉めて保存する)
③酸素
・酸素が存在すると傷みやすくなる(缶の蓋や袋の口をきちんと閉めて保存する)
<焙煎後の豆の状態> ※できれば、豆は飲む直前まで挽かないでください
・焙煎後2時間経過すると酸化が始まります。焙煎した翌日~翌々日くらいの豆は芳醇な香りがして、クラクラします
・寝かせると味が落ち付いてきます。香りやコクがバランスよく出てくるのが、焙煎後3、4日経過したころです
・香りは1週間目前後にピークを向かえ、その後緩やかに下降していきます。一方、苦味とコクは緩やかな上昇を続けますが、2週間前後を境に、苦味成分が香りを上回ります
・3週間ほど経過すると、香りを殆ど感じられなくなり、悪く言えば苦いだけのコーヒーになってしまいます
1~2週間目あたりが上質な香りのピークであり、焙煎から1~2週間で使い切ってください。ピーク前に使い切れない場合は上記のとおり保存してください。では焙煎直後はダメなのかというと、そうではありません。直後の味にもその良さはあります。強い香りはないものの味の成分が競い合うような、「若々しい」「ピュア」な味わいです。自家焙煎する人でないと焙煎直後の味は飲めないので、この感覚もクセになります。
◆「ミス」を減らすために
2.適温で抽出する
<湯温による味の変化> ※解説書から抜粋
・低温(78~83度) = 深煎り向きです(フルシティーロースト・フレンチロースト・イタリアンロースト)
このくらいの湯温は、苦味を押さえ刺激の少ない味を作り出します。 深煎りの場合にはベストな温度でマイルドな味を引き出しますが、浅煎りの場合は豆が堅いため十分に味が 引き出せず酸味が強調されますので気を付けて下さい。
・適温(86~93度) = 浅・中煎り向きです(ミディアムロースト・ハイロースト・シティロースト・フルシティーロースト)
甘・酸・苦味の整ったバランスの取れた味を作ります。
・高温(95~99度) = コーヒーには不向き
成分が出過ぎて、苦味・渋味の強いコーヒーになります。 古い豆を使用した場合は、出来上がったコーヒー液の表面に油が浮くことがあります。
<実験 : お湯の冷め方>
キッチンの室温、やかんの素材・形状、湯量など、ご使用の環境で異なりますので、必ずご自身の環境で測定してください。以下は我が家の環境で測定した時の結果です。
・気温/20度 ・器具/やかん、ステンレス製 ・ポット/銅製 ・湯量/600mℓ
・やかんのまま冷ます → 1分後97.4℃ → 2分後94.6℃ → 3分後91.5℃ → 4分後89.0℃ → 5分後86.5℃ → 6分後84.0℃
・銅ポットへ移し替えて冷ます → 直後92.0℃ → 1分後88.4℃ → 2分後85.8
◆「ミス」を減らすために
3. 粉と湯量のバランス = 8掛けの法則
コーヒーの粉と湯量のバランスを知るには、まず自分なりの基準を設けてください。体調により濃い・薄いの感じ方も違いますので、同じ分量で何度も何度も試してみることです。私がこれまで基準としてきたのが解説書では定番の「1カップ(一人分)= 湯120cc = 粉12g」でした。これは基準としては良いのですが、カップの大きさは様々なので、人数分足りないこともありました。また、加齢や豆の品質により味わいも変わってきたことから新たな基準を設けました。それが「湯100cc = 粉8g」です。自分が何cc作るのか決めてから8掛けすれば簡単に粉量を割り出すことができます。コーヒーを淹れる際に「何カップ=何人分を作るのか」という考え方から、「何ccを作り、何人で飲むか」で考えて淹れるようになりました。具体的には「400ccを淹れると決めたら粉は32g、それを3等分する」という具合です。そしてお客様が薄味をリクエストしたなら粉量や湯量を微妙に調整しています。前にも書きましたが「美味さ」の正解はないのです。
◆「ミス」を減らすために
4. 制限時間内で抽出 = 3分ルール
粉に一滴目を注いでから抽出を終えるまでの時間は3分を目安にします。時間を超えると豆から渋味えぐ味が出るようです。時間と工程、注ぐ湯量について目安を記載します。(1分単位で3つの工程をこなすと考えてください)
Ⅰ.最初の1分「蒸らし」: 湯量1/8 を使用し40秒で蒸らします。そして20秒間じっと待ちます
Ⅱ.次の1分「第一投」: 湯量4/8 を使用し概ね50秒間投入します。そして10秒程度待ちます
Ⅲ.残り1分「第二投~第三投」: 湯量2/8 で二投目を、湯量1/8 で三投目を投入(時間を睨みながら微調整、お湯が落ち切った頃が3分です)
書いてみると難しそうですが「蒸らし」「三投」「3分」を意識することで、うまくいきます。3分はすぐに過ぎてしまいますので何度か試して感覚を掴んでください。
湯量については全体の半分が4/8、その半分が2/8、さらに半分が1/8 ですのでマイ器具にて目分量を目視・計測してみてください。なお、3分目安なら最後のお湯が落ち切ってもセーフです。最後に抽出されるという雑味は感じませんでした。
※1ページに掲載している計測器具は時間と湯量が同時に目視できる便利グッズです
◆「ミス」を減らすために
5. 粒度を揃える
豆を粉砕する器具をミル(または、グラインダー)といいますが、ミルの種類には、「手動式」「電動式」そして「プロペラ型」「臼(うす)型」があります。プロペラの刃で粉砕するタイプ、臼のように押しつぶすタイプとがある。
そして豆を挽くときのテーマは3つです。
①粉の大きさを均一に揃える
②微粉の発生を抑える
③摩擦熱で粉を傷めない
より良い状態で実現するには、「手動式よりも電動式を選ぶ」「プロペラ型よりも臼型を選ぶ」ことです。コダワリ派の方で手動式・プロペラ型のミルで挽く人がいますが、余程のテクニックがない限り失敗する確率は高くなります。(でも見た目はカッコ良いし雰囲気もありますよね......)