日記
22. インスタントコーヒー
22.インスタントコーヒー
コーヒー豆を焙煎し、砕いたものをレギュラーコーヒーと呼びます。そのレギュラーコーヒーにお湯を加えてコーヒー液を作り、水分を飛ばしてコーヒーの成分を抽出したものがインスタントコーヒーです。そのままお湯に溶けるため、手軽に楽しめるのが特徴です。数種類の異なるコーヒー豆を混ぜ合わせ、異なる味わいのコーヒー豆をブレンドすることで、1種類のコーヒー豆だけでは出すことができない香りや、酸味・苦味などの味わいを作り出すことができます。どのような味わい・香りを作り出すことを目指して、どの豆をどれくらいブレンドしていくかは、コーヒー会社の腕の見せどころです。
インスタントコーヒーの歴史
1.インスタントコーヒーの開発
①1771年、イギリスで水に溶かして飲める世界初のインスタントコーヒーが発明されました。しかし製品の貯蔵可能な期間が短く、その時の製法はすぐに歴史から消えてしまいました。
②1853年、米国で試験的に開発が試みられました。この時は今のような粉末状ではなくケーキの様な形をしていたそうです。南北戦争で兵士達に配給されたりしたのですが、やはり保存に難が有り、成功しませんでした。
③1889年、ニュージーランド、インバーカーギルのコーヒー・香辛料販売業者のデイビッド・ストラング氏が「ソリュブル・コーヒー・パウダー(可溶性コーヒー粉末)としてインスタントコーヒーの作成法の特許を取得し「ストラング・コーヒー」として製品化したのですが、成功には
至りませんでした。
④1899年、米国に住んでいた日本人化学者の加藤サトリ博士が、緑茶を即席化する研究途上の揮発性オイルを使用してコーヒー豆の抽出液を真空乾燥させる技術を開発し、1901年のパンアメリカン博覧会にて「ソリュブル・コーヒー」として発表しました。1903年に加藤博士は特許を取得しましたが、結果的には商品化までは成功しませんでした。
2.商品化
①1906年、ベルギーから米国に移住したジョージ・コンスタント・ワシントン氏は様々な技術分野の研究に着手していた人物ですが、インスタントコーヒーの製法を開発し特許を取得しました。
②1909年、同氏によるインスタントコーヒー「Red E Coffee」の商品化が成功しました。「Red E Coffee」により一般消費者にインスタントコーヒーが飲まれるようになり、第一次世界大戦では米軍兵士達に配給され大人気でした。カフェイン効果で眠気覚ましにもなるコーヒーは様々な面において重宝されたのです。
3.世界中で飲まれるようになった契機
①「Red E Coffee」の成功後、いくつかのメーカーがインスタントコーヒーの製造販売を行いましたが、その中でもスイスのネスレ社が最も大きな成功を収めました。
②1920年代末期、ブラジルでコーヒー豆が大豊作となり、価格相場が大暴落しました。そのため農民達は困窮し、その事に苦慮したブラジル政府がネスレ社に余剰のコーヒー豆を使った加工食品の開発を要請。ネスレ社は「スプレードライ法」によるインスタントコーヒーを完成させました。
③1938年4月1日、ネスレ社はスイスで「ネスカフェ」として製品を販売し、すぐにフランス、イギリス、米国に輸出を始めました。これが世界中でインスタントコーヒーが広く飲まれる契機になりました。第二次世界大戦ではネスカフェが米軍の主要な飲料となり大量に消費され、戦後、兵士たちは帰国した後も、飲むようになり、より多くの人々に受け入れられる事となりました。
④1960年代、「フリーズドライ法」によるインスタントコーヒーが米国で販売され、風味や香りが良い事から人気を博しました。
真空凍結乾燥(フリーズドライ製法)
コーヒーの旨味が溶け込んだコーヒー液を、専用の機械でマイナス40℃まで冷やして冷凍。凍ったコーヒー液を細かく砕いた後、真空状態にすると、
凍ったコーヒー液から水分が蒸発し、乾燥させることができます、フリーズドライ方式は、乾燥の際に熱を加えないため、コーヒー液に溶け込んだ風味や
香りを損なうことがありません。
噴霧乾燥(スプレードライ製法)
濃縮したコーヒー液を、高温の乾燥塔で噴霧し、水分を蒸発させる製法です。乾燥塔の中に霧状にしたコーヒー液を噴霧し、落ちてくる霧状のコーヒー液に熱風を当てることで、下に落ちるまでに水分が蒸発します。その後、乾燥した粉を砕いて気泡の空気を取り除いてから、再び粒状に
加工することで、冷たい水でもすぐ溶けやすくしています。造粒化(ぞうりゅうか)といいます。
豆の素材
インスタントコーヒーでも「アラビカ豆」「リベリカ豆」「ロブスタ豆」の3種類が使用されています。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
味や香りに優れている「アラビカ豆」
アラビカ豆は原産地がアフリカのエチオピアで、花のような甘い香りが特徴です。現在世界のコーヒー豆生産の6割弱が「アラビカ豆」が占めており、インスタントコーヒーにも採用されることが多い品種です。味や香りのバランスが取れているため、コーヒーが苦手な人でも飲みやすい豆です。ただし、アラビカ豆は霜や乾燥・病害虫などにも弱いのが特徴となっており、栽培するのが難しいことから価格がやや高くなる傾向があります。
希少性に優れている「リベリカ豆」
リベリカ豆の原産地はアフリカのリベリアで、強いコクと苦みは一度飲むと忘れにくく、しっかりとしたボディを感じることができます。日本ではあまり見かけることが少ないため、希少性に優れている豆としてコーヒー通の間で知られています。飲みごたえがあるコーヒーを飲みたい方は、リベリカ豆から探してみるのもありです。
重厚な苦みが楽しめる「ロブスタ豆」
ロブスタ種の原産地はアフリカのコンゴ盆地で、苦味が強く渋みがあり、香りは麦茶に似た香ばしさが特徴です。少し癖のある豆であり、インスタントコーヒーではやや採用されにくい品種になります。癖の強さからストレートで飲まれることは少ないですが、練乳や砂糖・牛乳を加えて飲むかアラビカ豆とブレンドして飲む人が多い豆です。
健康面での不安
身体に良くないから、インスタントコーヒーは飲まないという方がいます。スペシャルティーコーヒーのようにグレードの高いコーヒー豆があるならば、グレードの低いコーヒー豆も存在しています。ディスカウント品、ローグレード、コマーシャル、というグレードです。これらのコーヒーは、コーヒーグレードの一番下の部分にあたるもので、最も多く市場に出回っています。ローグレードのコーヒーは、商品で言うと、「缶コーヒー」「インスタントコーヒー」「安いレギュラーコーヒー」にあたります。特に缶コーヒーやお湯で溶かして飲むインスタントコーヒーは、豆の原型をとどめていません。
原型をとどめていないということは、どんなコーヒー豆で作られているか消費者は視覚確認ができないということです。
欠点豆の含有率が高い
自家焙煎のコーヒーショップでは手作業で取り除かれますが、市販の安いコーヒー豆はどうでしょうか。コーヒー焙煎士の方が実際ドラッグストアに並んでいた安いコーヒー豆の欠点豆の混入率を測ってみたところ、500g中、なんと100gが死豆やカビ豆、虫食い豆があったと報告されています。他にもスーパーで売られている100gあたり215円のコーヒーは、3分の1が欠点豆だという結果も出ています。大量に低コストで販売されるコーヒー豆は、どうやら一粒一粒まで気を使われて販売されていないようです。そしてこの欠点豆を飲み続けることで体調に異変を生じることが報告されています。
化学物質の存在
一般的なコーヒー豆の栽培時には大量の合成石油系肥料・化学肥料を使っています。体にはもちろん、土壌汚染や水源汚染につながることはご存知だと思います。しかし、一般的なコーヒー豆に使われる化学物質は栽培時だけではありません。最も怖いのが、輸入の際に行われる「燻蒸(くんじょう)処理」です。コーヒー豆は100%が輸入品です。コーヒー豆は食品ではなく、植物として輸入されます。農林水産省では、植物に有害な動植物の駆除、有害動植物の蔓延防止、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とする「植物防疫法」という法律があります。
日本には生息していない害虫を国内に運び込まないように、検疫の際に殺虫処理をする、これが燻蒸処理です。燻蒸に使われる化学薬剤は、私たちが普段害虫退治に噴射する商品以上の毒性を持っています。コーヒー豆における燻蒸処理は、コーヒー豆を麻袋に入れて非常に強力な殺虫剤をコーヒー豆に浸透させます。コーヒー豆の内部に入り込んでいる害虫を駆除できるよう、24時間から72時間という時間をかけてじっくりといぶします。燻蒸処理は「害虫の有無にかかわらず」行います。燻蒸処理に使われる薬品は「臭化メチル」というものです。(オランダ政府からは、臭化メチルは発がん性の疑いがあると劇物指定されています)。臭化メチルは空気に触れると気体となって蒸発すると言われていますが、微量ながら成分は残ります。コーヒー豆の内部にも浸透させ殺虫されていると知ると、一般的なコーヒー豆の安全性は疑問視されます。こういった事実を知らずにコーヒーを選ぶと、私たちの体に有害物質が蓄積されていきます。しかし、燻蒸処理をしないで輸入されるコーヒーがあります。それが、有機JAS認証を受けた、オーガニックコーヒーです。栽培時に有機農法で育てられたのに輸入の段階で化学薬品を使われてしまったらオーガニックを名乗れません。
オーガニックコーヒー
安心できるオーガニックコーヒーを飲むために『豆栽培から消費者に届くまで薬剤にさらされていない』という2つの証明書を確認しましょう。
◆有機JAS認定
◆非燻蒸証明書
注意していただきたい点は、「無農薬」=「有機栽培(オーガニック)」ではないということです。有機JAS認定は4つの段階があります。
1、生産者による認定
2、輸入業者による認定
3、小分け業者による認定
4、製造業者による認定
有機JAS認定は、この4つの過程のどこかで化学薬品で消毒された場合、オーガニックを名乗ることはできません。しかし、無農薬とだけしか表示のない商品に消毒が施されていても「無農薬」として販売されています。認証のない場合、実際に土壌に農薬が残っていたり、農薬を散布しているほかの畑から飛散していたりします。
有機JAS認証団体からも、無農薬という表示は原則禁止されていますが、強制力はまだまだのようです。
・有機栽培=オーガニック認証あり
・無農薬栽培=オーガニック認証なし
である点を心に留めてください。
適量
おいしいインスタントコーヒーを入れるには、一般的には、ティースプーン山盛り1杯<約2g>にお湯<140ml>が適量です。ただ、山盛り1杯にこだわる必要はありません。疲れたときは濃いめ、お菓子と一緒の時は薄めなど、個人の好みやその時々で加減してみてください。インスタントコーヒーは、そのときどきで好きな濃さに出来るのが、とても良いところです。
インスタントコーヒーの欠点は
インスタントコーヒーの良さは、なんといっても手軽さですが、その欠点は致命的ともいえる味の悪さです。 それはインスタントコーヒーがコーヒー液を抽出した上で脱水するという工程を得るため、どうしてもその過程で酸化しやすいということなのです。まずいと感じる一番の原因は香りです。 コーヒーは、「挽きたての豆で淹れたての状態」が一番美味いと言われます。 インスタントコーヒーの場合、コーヒー豆から抽出後、その抽出液を加工して粉にしています。 この過程で香りはどんどん失われてしまうのです。
淹れ方へのこだわり
インスタントコーヒー、誰が淹れても、どうやって淹れても、同じ味だと思っていませんか。 NHKの番組「ためしてガッテン」で紹介された「インスタントコーヒーが10倍美味しくなる淹れ方」を試してみると、これが驚くほど美味しいのです。
淹れ方のポイントは(コーヒーカップ1杯分)、
①お好みのインスタントコーヒーをティースプーンに山盛り1杯で投入します
②ティースプーン1杯分の水を入れて、ダマがなくなるまでスプーンでよく混ぜます
③熱湯140ccを注いて完成です
ポイントは熱湯ではなく「水」で溶かすことです。なぜ水で溶かしてから淹れると美味しくなるかですが、「ためしてガッテン」によると、「コーヒーの粉にはデンプンが含まれているため、いきなり熱湯を注ぐと、粉の表面のデンプンが固まってダマとなり、粉っぽい味になる」ということです。
人気のインスタントコーヒー
・ネスレ日本/ スターバックス:プレミアム ソリュブル ブロンド ロースト
・ネスレ日本/ スターバックス:カフェ モーメント スムース
・ネスレ日本/ スターバックス:カフェ モーメント ブライト
・ネスレ日本/ NESCAFE GOLD BLEND:ネスカフェ ゴールドブレンド
・ネスレ日本/ NESCAFE:ネスカフェ エクセラ
・スターバックスコーヒージャパン/ Starbucks:ヴィアR コーヒーエッセンス パイクプレイスR ロースト
・Blue Bottle Coffee/ ブルーボトルコーヒー インスタントコーヒー
・TO_PREMO/ 01 スペシャルティインスタントコーヒー
・UCC上島珈琲/ UCC:ザ・ブレンド 114
・UCC上島珈琲/ UCC:クラスワン
・セブンイレブン・ジャパン/ セブンプレミアム:いつもの珈琲
・ネスレ日本/ NESCAFE GOLD BLEND:オリジン ホンジュラスブレンド
・クライス/ エクスプレスコーヒー
・ドトールコーヒー/ インスタントスティックコーヒー ブラック
・ドトールコーヒー/ ドトール 香り豊かなおいしい一杯
・味の素AGF/ Blendy:ブレンディ
・味の素AGF/ ちょっと贅沢な珈琲店:スペシャル・ブレンド
・味の素AGF/ MAXIM:マキシム インスタントコーヒー
・キャメル珈琲/ カルディオリジナル:カフェカルディ ザ・マイルド
・Mount Hagen/ オーガニック フェアトレード インスタントコーヒー