日記
20. 水出しコーヒー
20.水出しコーヒー
起源・特徴
水出しコーヒー(Cold Brew Coffee -コールドブリューコーヒー)は、ダッチコーヒーとも呼ばれます。オランダ語のようですが、起源はインドネシアだと言われています。インドネシアでは、20世紀初頭に独立運動が起こり、第二次世界大戦中は日本軍政にあったわけですが、それ以前は16世紀頃からオランダ統治下にありました。水出しコーヒーの始まりには諸説あるのですが、時代的に『ダッチ = オランダ』というキーワードが関わっていたことは確かなようです。
戦前のインドネシアでは、少量の濃いコーヒーにミルクをなみなみと注いで飲んでおり、その濃いコーヒーの抽出方法として、細かく挽いた粉に水を含ませて一晩放置するというものでした。そしてこの淹れ方に興味を示し、再現しようと試みたのが、京都の老舗「はなふさ」のマスターです。彼は当時、京都大学の科学専攻の学生に協力を仰ぎ、水出しコーヒーの器具の開発も行ないました。また、水出しという技法そのものが出来た背景には、当時のインドネシアで主に栽培されていたコーヒーの品種がロブスタであったためという説もあります。
ロブスタのコーヒーの特徴は以下の通りです。
・苦みが強い
・病気に強く栽培しやすい
・ベトナム、ブラジル、インドネシア、コートジボワールが主な産地
・コモディティグレードとしての流通量が多い
・単体ストレートで飲まれることはほとんどない
・カフェイン量が多い
つまり、ロブスタ種は強い雑味があり、これをなんとか美味しく飲めないものか、と考案されたのが『水出しコーヒー』だったうわけです。
水出しコーヒーの淹れ方
水出しコーヒーの淹れ方は、大きく2通りあります。ひとつは、挽き豆を水に入れて数時間後に濾過する方法。もうひとつは、挽き豆に水を一滴ずつ滴下する方法です。前者はフレンチプレスで作ることもできますし、不織布などのバッグ入れた挽き豆を水を入れたポットに投げ込み数時間抽出するという方法も一般的です。室温でも冷蔵庫でも、どちらでも抽出できるため、とても簡単に楽しめることが特徴です。
フレンチプレスで作る 簡単水出しコーヒー
1.挽き豆をフレンチプレスに入れる
2.水を注ぎ軽く混ぜる
3.蓋をして約8時間抽出する
4.蓋を外して軽く混ぜる
5.プランジャーを押し下げる
6.ペーパードリッパーで漉す
7.来上がり
後者の挽き豆に一滴ずつ滴下する方法は、専用の滴下式器具が必要となります。そのため、喫茶店などで楽しむ特別なコーヒーというイメージがありますが、最近では小型の家庭用も販売されています。こちらは抽出自体が演出感のあるものなので、見る目を楽しませてくれます。
水出しコーヒーの味の特徴
水出しコーヒーの味の特徴ですが、水を使ってゆっくりと時間をかけて抽出するため、良質な甘味と柔らかい苦みが特徴として引き出され、嫌な苦みやエグみは抑えられます。丸みのある柔らかい飲み心地と風味は、水出しでしか味わえないものとなります。逆に、水出しコーヒーのデメリットとしては、抽出に時間がかかることと、お湯ほど成分が抽出されないので、酸味が引き出しきれないことがあります。また、コーヒー豆の品質も良いものでないと、嫌な香りが出てしまうことがあります。